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第三章 イベントは危険な香り
攻略対象をおさらいしよう
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「ハナコ様、ごきげんよう」
「ごきげんよう、みなさん」
「お元気そうなお顔を拝見できて、わたくしたち本当にうれしいですわ」
「ええ、ありがとう。わたくしもこうしてみなさんと会えてうれしいわ」
久々に学園に来て、次々に声を掛けられる。
ここのところ華子意識でいたので、令嬢の所作がやたら窮屈なんだけど。
「下級生を庇ってお怪我をなさるなんて、さすがはハナコ様。ご勇敢でいらっしゃいますわ」
「お体よりも、お心の傷の回復にお時間がかかったとか。ほんとうに大変でしたわね」
どこに行っても持ち上げられて、ハナコに気を遣いまくっているのがひしひしと伝わってくる。
みんな立場を守るのに必死なんだろうな。
在学中に有力貴族とのパイプを作ることも社交の一部。きっとそうやってみんな貴族社会を生きてるんだよね。
公爵令嬢ハナコ・モッリは悪役令嬢の役どころだ。
だからと言って積極的に誰かをいじめたりとかは、ひとつもしてこなかった。
マナーがなってない相手には、手厳しく嫌味をお見舞いするくらいはしてきたけどさ。
でもそれってむしろハナコの方が言い分は正しいってことで。
断罪されるほど、悪いことはしてきたとは思えない。
(今は堂々とハナコとして過ごすしかないか……)
山田さえいなければ、学園生活は平和そのものだ。
日々怯えて過ごすなんて、わたしらしくなくてなんだか嫌だった。
それに放課後に未希と落ち合って今後の対策を練る予定だ。
大丈夫。わたしには味方がいるんだ。そう思って一日笑顔で過ごした。
「ごきげんよう、ジュリエッタ」
「ごきげんよう、ハナコ様。サロンの使用許可をいただいておりますから、そこでゆっくり休憩いたしましょう」
「ありがとう、いつも気が利くわね」
「ハナコ様のためですもの、お安い御用ですわ」
あー、そうそう、ジュリエッタってこんな感じだったわ。
普段は出しゃばらずおとなしくしてるのに、必要なときはさりげなくフォローを入れてくれていた。
(これって未希が陰ながらわたしを見守ってくれてたってことだよね?)
記憶がないままのわたしでも、きっと心配してくれてたんだ。
多分、そんなこと聞いても、未希は全否定してくるだろうけど。
「さてと、どう? 久しぶりの学園は?」
「んーちょっと窮屈だけど、やっぱ気分転換になっていいね」
「そ。それはよかった」
ここは個室の鍵付きのサロンだ。事前に誰が使うかを申請すれば、時間貸ししてくれるシステムだった。
「最近ユイナの動向はどう?」
「そうね、放課後は相変わらず生徒会に入り浸ってるみたいだけど」
「やっぱ学年違うから把握しづらいね」
「生徒会も中、どうなってるか分からないしね」
「ケンタもあれでいて口が硬いからなぁ」
生徒会の執行部員として、弟のケンタは生徒会長の下で働いている。
「日々の会話で探り入れても、内部機密は絶対に口にしないの」
「王子の下で働くには優秀な人材ね」
姉として誇らしくもあるが、もうちょっと姉ちゃんのために譲歩してほしい。
ま、ケンタもわたしが悪役令嬢なんて知らないから、それは仕方ないんだけどさ。
「ユイナの行動見てるとね、どうやら狙ってるのは王子だけじゃないみたいなんだよね」
「ほかのルートに行ったってこと?」
「うーん、と言うより逆ハー狙ってるのかも」
なんと、逆ハーレムとな。
「それってわたしのギロチンエンド、回避できそうなやつ?」
「わかんない。そもそもあのゲームにそんなエンドなかったし」
「そうなんだ……」
こうなってくると、単純にユイナと山田をくっつければいいって問題じゃないのかもしれない。
それでなくても山田の行動はゲームの進行から外れまくっている。
「ユイナは順調に残りの攻略対象相手にイベントをこなしてるようだから。もう手当たり次第って感じ」
そう言って未希はいつぞやの、対策用の紙を広げた。
ほんと、未希は頼りになるなぁ。男だったらマジ惚れてたと思う。
「ちょっと、今、ヘンなこと考えてなかった?」
「ま、まさかっ」
すん、と睨まれて背筋を正した。
ていうか、なんで未希分かったの!?
「王子以外のイベントでも、ハナコが絡んでくるものもあるからね。学園に通うなら、ここらで頭に入れといたほうがいいと思って」
「うん、分かった」
今まで話に上がってきてた攻略対象は、王子の山田と弟のケンタだけだ。
「王子とケンタはいいとして、あとは生徒会に入ってるメンバーがふたり。副会長のダンジュウロウ・ササーキと、王子の護衛でついて来たマサト・コーガ。あと保健医がいるけどそれは除外ね」
「除外? なんで?」
「ほら、日本の高校の保健医ってヨボヨボのじいちゃんだったじゃない?」
「もしかしてそのままそっくり配置されてるから……?」
「そ、攻略対象もそのヨボヨボってわけ」
そら、さすがにユイナも狙わないわな。
この世界、ほんと意味が分からない。
「それでおしまい?」
残りふたりだけなら、まだ対応できそうな気がする。
「ううん、あと留学生がいる」
「留学生? そういや、いたね。ロレンツォ・リッチだっけ?」
「珍しいね。華子が覚えてるなんて」
「うん、顔が好みだったからそのキャラだけプレイした覚えがあって」
でも結局は面倒くさくなって途中でやめちゃったんだけど。
昔からイケメンは外国人顔の方が好みだったんだよね。
せっかく乙女ゲームの世界に生まれ変わったのに、日本人ばかりに囲まれてるってホントどういうことよって感じ。
「ロレンツォはゲーム内の顔のままいるけど……」
「マジで?」
「うん、うちらの環境で当てはまる人間がいなかったんじゃないかな」
へぇ、生で見れるなら会ってみたいかも!
「今んとこユイナはロレンツォルートは手付かずみたい」
「あーなら下手に接触しない方がいいかな。ユイナ、ライバル心高めだから」
「でもあんた好みの顔なんでしょ? 会ってみたくなったりしない?」
「今思い出したんだけど、確かロレンツォって性格が気に入らなかったんだよね。なんか自分が言ってることが一番正しいみたいな? 我が道を行ってて聞く耳持たなくてさ」
「あー、それ。同族嫌悪ってやつね」
ぼそっと言われ、耳を疑った。
てか、未希の中でわたしそんな認識になってんの?
「とにかくロレンツォルートはなしってことでいい?」
「うん」
「じゃあ王子含めた四人、まだ起きてないイベント見て行こうか」
「ケンタも入れるの?」
「もちろん。ケンタルートはあんたがケンタに串刺しにされるってエンドもあるからね?」
ひえっ、平然とコワいこと言わないでっ。
「でもさぁ、ユイナってゲームの内容知ってるんでしょう? こっちから話もちかけて、協力してあげれば話は早いんじゃ」
「それも考えたんだけど……あんたが死ぬことが条件のエンド、黙って受け入れられる?」
「む、無理っ」
「でしょ? まぁ交渉の余地はあるって思うけど」
「とりあえず、ご教授よろしくお願いしまっす!」
もう未希だけが頼りだ。
「言っとくけど、わたしも詳細を全部覚えてるわけじゃないからね? 見落としとか思い違いもあるってこと、頭に入れといて」
真剣に言う未希に、わたしは頷いた。
それでもあるのとないのじゃ大違いだ。
乗り切るべきは卒業パーティーのイベントまで。
そこを越えれば、自由な世界が待っている。
今は未希と二人三脚で頑張ろう。
最後にこの手に掴むのは、イケメンと過ごすキャッキャウフフな日々だと信じて。
「ごきげんよう、みなさん」
「お元気そうなお顔を拝見できて、わたくしたち本当にうれしいですわ」
「ええ、ありがとう。わたくしもこうしてみなさんと会えてうれしいわ」
久々に学園に来て、次々に声を掛けられる。
ここのところ華子意識でいたので、令嬢の所作がやたら窮屈なんだけど。
「下級生を庇ってお怪我をなさるなんて、さすがはハナコ様。ご勇敢でいらっしゃいますわ」
「お体よりも、お心の傷の回復にお時間がかかったとか。ほんとうに大変でしたわね」
どこに行っても持ち上げられて、ハナコに気を遣いまくっているのがひしひしと伝わってくる。
みんな立場を守るのに必死なんだろうな。
在学中に有力貴族とのパイプを作ることも社交の一部。きっとそうやってみんな貴族社会を生きてるんだよね。
公爵令嬢ハナコ・モッリは悪役令嬢の役どころだ。
だからと言って積極的に誰かをいじめたりとかは、ひとつもしてこなかった。
マナーがなってない相手には、手厳しく嫌味をお見舞いするくらいはしてきたけどさ。
でもそれってむしろハナコの方が言い分は正しいってことで。
断罪されるほど、悪いことはしてきたとは思えない。
(今は堂々とハナコとして過ごすしかないか……)
山田さえいなければ、学園生活は平和そのものだ。
日々怯えて過ごすなんて、わたしらしくなくてなんだか嫌だった。
それに放課後に未希と落ち合って今後の対策を練る予定だ。
大丈夫。わたしには味方がいるんだ。そう思って一日笑顔で過ごした。
「ごきげんよう、ジュリエッタ」
「ごきげんよう、ハナコ様。サロンの使用許可をいただいておりますから、そこでゆっくり休憩いたしましょう」
「ありがとう、いつも気が利くわね」
「ハナコ様のためですもの、お安い御用ですわ」
あー、そうそう、ジュリエッタってこんな感じだったわ。
普段は出しゃばらずおとなしくしてるのに、必要なときはさりげなくフォローを入れてくれていた。
(これって未希が陰ながらわたしを見守ってくれてたってことだよね?)
記憶がないままのわたしでも、きっと心配してくれてたんだ。
多分、そんなこと聞いても、未希は全否定してくるだろうけど。
「さてと、どう? 久しぶりの学園は?」
「んーちょっと窮屈だけど、やっぱ気分転換になっていいね」
「そ。それはよかった」
ここは個室の鍵付きのサロンだ。事前に誰が使うかを申請すれば、時間貸ししてくれるシステムだった。
「最近ユイナの動向はどう?」
「そうね、放課後は相変わらず生徒会に入り浸ってるみたいだけど」
「やっぱ学年違うから把握しづらいね」
「生徒会も中、どうなってるか分からないしね」
「ケンタもあれでいて口が硬いからなぁ」
生徒会の執行部員として、弟のケンタは生徒会長の下で働いている。
「日々の会話で探り入れても、内部機密は絶対に口にしないの」
「王子の下で働くには優秀な人材ね」
姉として誇らしくもあるが、もうちょっと姉ちゃんのために譲歩してほしい。
ま、ケンタもわたしが悪役令嬢なんて知らないから、それは仕方ないんだけどさ。
「ユイナの行動見てるとね、どうやら狙ってるのは王子だけじゃないみたいなんだよね」
「ほかのルートに行ったってこと?」
「うーん、と言うより逆ハー狙ってるのかも」
なんと、逆ハーレムとな。
「それってわたしのギロチンエンド、回避できそうなやつ?」
「わかんない。そもそもあのゲームにそんなエンドなかったし」
「そうなんだ……」
こうなってくると、単純にユイナと山田をくっつければいいって問題じゃないのかもしれない。
それでなくても山田の行動はゲームの進行から外れまくっている。
「ユイナは順調に残りの攻略対象相手にイベントをこなしてるようだから。もう手当たり次第って感じ」
そう言って未希はいつぞやの、対策用の紙を広げた。
ほんと、未希は頼りになるなぁ。男だったらマジ惚れてたと思う。
「ちょっと、今、ヘンなこと考えてなかった?」
「ま、まさかっ」
すん、と睨まれて背筋を正した。
ていうか、なんで未希分かったの!?
「王子以外のイベントでも、ハナコが絡んでくるものもあるからね。学園に通うなら、ここらで頭に入れといたほうがいいと思って」
「うん、分かった」
今まで話に上がってきてた攻略対象は、王子の山田と弟のケンタだけだ。
「王子とケンタはいいとして、あとは生徒会に入ってるメンバーがふたり。副会長のダンジュウロウ・ササーキと、王子の護衛でついて来たマサト・コーガ。あと保健医がいるけどそれは除外ね」
「除外? なんで?」
「ほら、日本の高校の保健医ってヨボヨボのじいちゃんだったじゃない?」
「もしかしてそのままそっくり配置されてるから……?」
「そ、攻略対象もそのヨボヨボってわけ」
そら、さすがにユイナも狙わないわな。
この世界、ほんと意味が分からない。
「それでおしまい?」
残りふたりだけなら、まだ対応できそうな気がする。
「ううん、あと留学生がいる」
「留学生? そういや、いたね。ロレンツォ・リッチだっけ?」
「珍しいね。華子が覚えてるなんて」
「うん、顔が好みだったからそのキャラだけプレイした覚えがあって」
でも結局は面倒くさくなって途中でやめちゃったんだけど。
昔からイケメンは外国人顔の方が好みだったんだよね。
せっかく乙女ゲームの世界に生まれ変わったのに、日本人ばかりに囲まれてるってホントどういうことよって感じ。
「ロレンツォはゲーム内の顔のままいるけど……」
「マジで?」
「うん、うちらの環境で当てはまる人間がいなかったんじゃないかな」
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「でもあんた好みの顔なんでしょ? 会ってみたくなったりしない?」
「今思い出したんだけど、確かロレンツォって性格が気に入らなかったんだよね。なんか自分が言ってることが一番正しいみたいな? 我が道を行ってて聞く耳持たなくてさ」
「あー、それ。同族嫌悪ってやつね」
ぼそっと言われ、耳を疑った。
てか、未希の中でわたしそんな認識になってんの?
「とにかくロレンツォルートはなしってことでいい?」
「うん」
「じゃあ王子含めた四人、まだ起きてないイベント見て行こうか」
「ケンタも入れるの?」
「もちろん。ケンタルートはあんたがケンタに串刺しにされるってエンドもあるからね?」
ひえっ、平然とコワいこと言わないでっ。
「でもさぁ、ユイナってゲームの内容知ってるんでしょう? こっちから話もちかけて、協力してあげれば話は早いんじゃ」
「それも考えたんだけど……あんたが死ぬことが条件のエンド、黙って受け入れられる?」
「む、無理っ」
「でしょ? まぁ交渉の余地はあるって思うけど」
「とりあえず、ご教授よろしくお願いしまっす!」
もう未希だけが頼りだ。
「言っとくけど、わたしも詳細を全部覚えてるわけじゃないからね? 見落としとか思い違いもあるってこと、頭に入れといて」
真剣に言う未希に、わたしは頷いた。
それでもあるのとないのじゃ大違いだ。
乗り切るべきは卒業パーティーのイベントまで。
そこを越えれば、自由な世界が待っている。
今は未希と二人三脚で頑張ろう。
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