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第一章
40.
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隣の試着室から何かが動く音がした。
アエラウェの好んで着ている衣装は白が多く、釦が多く使われている意匠が多い。
そのトロリとした生地は月繭虫の繭糸で作られ、その糸は繊細で美しく光沢があり肌触りも良いのに少しでも粗末に扱えばすぐに痛んでしまう。
今日着ている服も同様で、アエラウェは着替えの為に左胸から右腰に向かって斜めに付けられた釦を、その細く骨ばった長い指でひとつひとつ丁寧に外していく。
もう少しで全ての釦が外し終わると言う所で、異常を察知したアエラウェの指が止まる。
「…マリーちゃん? どうかした?」
隣の試着室に話し掛けるが、マリールの返事は無い。それどころか衣擦れの音も僅かなりともしないのだ。しんとした試着室に、アエラウェが慌てて出ようと鏡に背を向けた瞬間。
床が音を立てて抜けて、アエラウェまでもが罠に落ちてしまった。
アエラウェは咄嗟に出した風を纏い、落下速度を抑える。このまま風で己の身体を押し上げようと落ちた穴を見上げれば、その光が漏れる入り口は、ギギギと音を立てて閉ざされていくところだった。
穴が閉ざされて、完全な暗闇の中をアエラウェは落下する。風魔法と光魔法を同時に使うのは難しそうだ。ならば今はこのどこまで下に続くのかわからない穴を落ちるしかない。
どれだけ落ちたのだろうか。漸く足場の悪い地面に着地すれば、アエラウェは指先に光の玉を出現させた。辺りを照らして確認すれば、足場が悪いと思った地面は大水母の死骸だった。
大水母は毒も無く、死骸は時間と共に水分が抜けて萎んでいくが、一日は変化無くその姿を保てる。落とし穴に落とした者を生かす為に、わざわざご丁寧に毎日運び込んでいるのだろう。
今まで消えた子供や女性の多くは、モルガの店で攫われていたのだ。
あの綺麗な飾り窓で引き寄せて。
「…舐めた真似してくれるじゃないの。」
アエラウェは怒りで殺気を放つ。足元からみるみると霜が広がり、次第に大水母の死骸はピキリと軋む音を立てて凍りついた。
「あらやだ、私ったら。氷魔法使えちゃってるじゃないの!」
アエラウェは頬に手を添えて、己の溢れる才能に恐れ入る。マリールの殺気を出せば冷えるからという言葉は、あながち間違っていなかった。
「さて、マリーちゃんを探さないとね。」
アエラウェが光の玉を前方へ投げれば、その光は分裂してアエラウェの行く道を街灯のように照らしてくれる。
攫った獲物を回収する為にある出入り口へと、ゆったりとした歩みで進んで行った。
--------------
「…何も見えない…。」
アエラウェが動き出した暫く後、マリールはウォーターベッドのようなものの上で目が覚めた。動く度にぽよぽよと形を変えるそのベッドのお陰でマリールの身体は無事だったのだろう。安定の悪いベッドの上を、マリールは手探りで探る。
「…あった! 良かった~…。」
マリールと一緒に落下したのは、着替えの時に足元へ置いていた拡張鞄だ。中にはマリールの背負い鞄も入れられている。
拡張カバンを腰に付けると、マリールはぽよぽよと動く足場に苦戦しながらも、なんとか固い床に降り立った。
「…アエラウェさんみたいに光魔法でも使えればなぁ。って、そうだ! アエラウェさーん!!」
マリールは真っ暗な空間の頭上に向かって大きく叫ぶ。
けれど叫んだ声はわんわんと反響して返ってくるだけで、頭上からは何も反応が得られない。
「どうしよう…背負い鞄から脱出しても良いけど…またここに出てきちゃうしなぁ。」
マリールは、ほとほと困ったと眉を下げ、見えない暗闇の中を手探りで彷徨い、壁を探し当てた。その壁に左手を当てたまま、壁伝いに歩き出す。壁があるなら出入り口もある筈だ。
マリールは慎重に足を進めて、漸くその扉を探し当てる事が出来た。押したり引いたり叩いたりと試してみるが、扉はびくとも動かない。まるで冒険者ギルドの扉のようにずっしりと重く、マリールの前に立ち塞がっていた。
「開かないよ?」
「おわぁ!! っびっくりしたぁ!」
強敵を前に途方に暮れていたマリールの足元付近から、突然子供の声がする。まさかこの部屋に先客が居るとは思いも寄らなかったものだから、その驚きはお化け屋敷のトラップの如く、マリールの心臓が止まりかける程驚かされた。
「えーと、暗くて見えないんですけど…、誰か居るんですね?」
「いるよ。ここだよ。お腹が減って、もう力が出ないの。…ねえ、何か食べるものない?」
「ありますよ? えーと…ちょっと待っててくださいね。」
マリールは腰の拡張鞄から背負い鞄を取り出して、今朝食べた胡椒餅を取り出した。今朝一人来なかった孤児院のルルナの分と、数に余りが出ていた一つだ。取り出した途端に、あたりに美味しそうな匂いが漂う。
「ちょ、ちょうだい! お願い、二日も食べてないの…!」
「匂いを辿って起きて来れますか? 私には貴女が見つけられないので…。」
「うん…。」
何かを引き摺る音が近づいて来て、胡椒餅を手にしているマリールの腕に何かが触れる。
すぐ傍まで来てくれたから、その姿が暗闇でもぼんやりと見える。マリールより少し大きいくらいの獣人の女の子だ。長い耳が彼女が何の獣人なのかを物語っている。
「もしかして、ルルナちゃん?」
「どうして知ってるの?」
「週に一度、冒険者ギルドに依頼を受けに来るんでしょう? 今日男の子達が来て、ルルナちゃんが帰って来ないって言ってたの。」
「う…うん! 私…、私…、」
「うん。落ち着いて。取り敢えずこれ、一緒に食べよう? 私も少しおなか空いちゃった。」
マリールは自分より背の高いルルナの背中を、慰めるように優しく撫でた。それから泣き出してしまったルルナの分を、その力が入らず震えてしまっている手に握らせる。
本当なら二日も何も口にしていない胃に、いきなり胡椒餅は相当負担がかかりそうだ。けれど今はこれくらいしかないから仕方ない。胃が痛むようなら青い薬を飲ませればいい。
「はい、これ。食べて食べて? 冒険者ギルドの皆で作って、ギルドマスターさんが焼いてくれたのです!」
「あ…、あの怖いおじさんが? 」
「怖くないですよ? すごく優しくて子供好きで。私の大好きな旦那様です!」
「…雇い主なの?」
「あ…そうか~…。そう言えば商人さんの事、旦那様って従者さんも呼んでたなぁ。えーと、お嫁さんです!」
「えっ」
ルルナの中で、怖いおじさんは自分よりも小さい女の子を嫁にするヤバイ人だと認識された。マリールは青褪めるルルナに気付きもせず、ルルナに胡椒餅を食べるように薦める。
「ほらほら、冷めちゃいますよ? いただきまーす!」
「い、いただきます…。」
ルルナがパクリと胡椒餅に噛り付けば、噛んだ歯にみるみる溢れる肉汁が伝わって、まるで極上のスープのように口の中へと注がれる。その美味しさにルルナは目を瞠り、熱さにはふはふと息を吐きながら、夢中になって胡椒餅を平らげていった。
「はい、どうぞ。ちょっとこのパン肉肉し過ぎてますからね、脂の吸収を抑えるやつのお茶です。」
「ありがとう…。」
お茶をもらって飲み干せば、やっと一息つく事が出来た。
「ねえ、ルルナちゃん。灯りって出せる?」
「ううん、出せないわ。私が得意なのは風と火だけだもの…。」
「そっか! それじゃぁ、えーと…あった、これこれ!」
マリールは背負い鞄からランタンを取り出した。旅の夜に使用していたものだ。中の燃料に火を付ければ使えるのだが、マリールは今は割れた魔石しか無く、せっかくあるランタンに灯りを点す事が出来なかったのだ。
ランタンに火を付けて貰えば、優しいオレンジ色の炎が小さく点る。ガラスがその明かりを広げ、周りを照らしてくれた。灯かりが確保出来た事に、マリールもルルナもほっと息を吐く。
「やっぱり文明は偉大だ…。」
「うん…?」
ルルナはマリールの言葉が良く分からなかったが、摂り合えず頷いておいた。
アエラウェの好んで着ている衣装は白が多く、釦が多く使われている意匠が多い。
そのトロリとした生地は月繭虫の繭糸で作られ、その糸は繊細で美しく光沢があり肌触りも良いのに少しでも粗末に扱えばすぐに痛んでしまう。
今日着ている服も同様で、アエラウェは着替えの為に左胸から右腰に向かって斜めに付けられた釦を、その細く骨ばった長い指でひとつひとつ丁寧に外していく。
もう少しで全ての釦が外し終わると言う所で、異常を察知したアエラウェの指が止まる。
「…マリーちゃん? どうかした?」
隣の試着室に話し掛けるが、マリールの返事は無い。それどころか衣擦れの音も僅かなりともしないのだ。しんとした試着室に、アエラウェが慌てて出ようと鏡に背を向けた瞬間。
床が音を立てて抜けて、アエラウェまでもが罠に落ちてしまった。
アエラウェは咄嗟に出した風を纏い、落下速度を抑える。このまま風で己の身体を押し上げようと落ちた穴を見上げれば、その光が漏れる入り口は、ギギギと音を立てて閉ざされていくところだった。
穴が閉ざされて、完全な暗闇の中をアエラウェは落下する。風魔法と光魔法を同時に使うのは難しそうだ。ならば今はこのどこまで下に続くのかわからない穴を落ちるしかない。
どれだけ落ちたのだろうか。漸く足場の悪い地面に着地すれば、アエラウェは指先に光の玉を出現させた。辺りを照らして確認すれば、足場が悪いと思った地面は大水母の死骸だった。
大水母は毒も無く、死骸は時間と共に水分が抜けて萎んでいくが、一日は変化無くその姿を保てる。落とし穴に落とした者を生かす為に、わざわざご丁寧に毎日運び込んでいるのだろう。
今まで消えた子供や女性の多くは、モルガの店で攫われていたのだ。
あの綺麗な飾り窓で引き寄せて。
「…舐めた真似してくれるじゃないの。」
アエラウェは怒りで殺気を放つ。足元からみるみると霜が広がり、次第に大水母の死骸はピキリと軋む音を立てて凍りついた。
「あらやだ、私ったら。氷魔法使えちゃってるじゃないの!」
アエラウェは頬に手を添えて、己の溢れる才能に恐れ入る。マリールの殺気を出せば冷えるからという言葉は、あながち間違っていなかった。
「さて、マリーちゃんを探さないとね。」
アエラウェが光の玉を前方へ投げれば、その光は分裂してアエラウェの行く道を街灯のように照らしてくれる。
攫った獲物を回収する為にある出入り口へと、ゆったりとした歩みで進んで行った。
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「…何も見えない…。」
アエラウェが動き出した暫く後、マリールはウォーターベッドのようなものの上で目が覚めた。動く度にぽよぽよと形を変えるそのベッドのお陰でマリールの身体は無事だったのだろう。安定の悪いベッドの上を、マリールは手探りで探る。
「…あった! 良かった~…。」
マリールと一緒に落下したのは、着替えの時に足元へ置いていた拡張鞄だ。中にはマリールの背負い鞄も入れられている。
拡張カバンを腰に付けると、マリールはぽよぽよと動く足場に苦戦しながらも、なんとか固い床に降り立った。
「…アエラウェさんみたいに光魔法でも使えればなぁ。って、そうだ! アエラウェさーん!!」
マリールは真っ暗な空間の頭上に向かって大きく叫ぶ。
けれど叫んだ声はわんわんと反響して返ってくるだけで、頭上からは何も反応が得られない。
「どうしよう…背負い鞄から脱出しても良いけど…またここに出てきちゃうしなぁ。」
マリールは、ほとほと困ったと眉を下げ、見えない暗闇の中を手探りで彷徨い、壁を探し当てた。その壁に左手を当てたまま、壁伝いに歩き出す。壁があるなら出入り口もある筈だ。
マリールは慎重に足を進めて、漸くその扉を探し当てる事が出来た。押したり引いたり叩いたりと試してみるが、扉はびくとも動かない。まるで冒険者ギルドの扉のようにずっしりと重く、マリールの前に立ち塞がっていた。
「開かないよ?」
「おわぁ!! っびっくりしたぁ!」
強敵を前に途方に暮れていたマリールの足元付近から、突然子供の声がする。まさかこの部屋に先客が居るとは思いも寄らなかったものだから、その驚きはお化け屋敷のトラップの如く、マリールの心臓が止まりかける程驚かされた。
「えーと、暗くて見えないんですけど…、誰か居るんですね?」
「いるよ。ここだよ。お腹が減って、もう力が出ないの。…ねえ、何か食べるものない?」
「ありますよ? えーと…ちょっと待っててくださいね。」
マリールは腰の拡張鞄から背負い鞄を取り出して、今朝食べた胡椒餅を取り出した。今朝一人来なかった孤児院のルルナの分と、数に余りが出ていた一つだ。取り出した途端に、あたりに美味しそうな匂いが漂う。
「ちょ、ちょうだい! お願い、二日も食べてないの…!」
「匂いを辿って起きて来れますか? 私には貴女が見つけられないので…。」
「うん…。」
何かを引き摺る音が近づいて来て、胡椒餅を手にしているマリールの腕に何かが触れる。
すぐ傍まで来てくれたから、その姿が暗闇でもぼんやりと見える。マリールより少し大きいくらいの獣人の女の子だ。長い耳が彼女が何の獣人なのかを物語っている。
「もしかして、ルルナちゃん?」
「どうして知ってるの?」
「週に一度、冒険者ギルドに依頼を受けに来るんでしょう? 今日男の子達が来て、ルルナちゃんが帰って来ないって言ってたの。」
「う…うん! 私…、私…、」
「うん。落ち着いて。取り敢えずこれ、一緒に食べよう? 私も少しおなか空いちゃった。」
マリールは自分より背の高いルルナの背中を、慰めるように優しく撫でた。それから泣き出してしまったルルナの分を、その力が入らず震えてしまっている手に握らせる。
本当なら二日も何も口にしていない胃に、いきなり胡椒餅は相当負担がかかりそうだ。けれど今はこれくらいしかないから仕方ない。胃が痛むようなら青い薬を飲ませればいい。
「はい、これ。食べて食べて? 冒険者ギルドの皆で作って、ギルドマスターさんが焼いてくれたのです!」
「あ…、あの怖いおじさんが? 」
「怖くないですよ? すごく優しくて子供好きで。私の大好きな旦那様です!」
「…雇い主なの?」
「あ…そうか~…。そう言えば商人さんの事、旦那様って従者さんも呼んでたなぁ。えーと、お嫁さんです!」
「えっ」
ルルナの中で、怖いおじさんは自分よりも小さい女の子を嫁にするヤバイ人だと認識された。マリールは青褪めるルルナに気付きもせず、ルルナに胡椒餅を食べるように薦める。
「ほらほら、冷めちゃいますよ? いただきまーす!」
「い、いただきます…。」
ルルナがパクリと胡椒餅に噛り付けば、噛んだ歯にみるみる溢れる肉汁が伝わって、まるで極上のスープのように口の中へと注がれる。その美味しさにルルナは目を瞠り、熱さにはふはふと息を吐きながら、夢中になって胡椒餅を平らげていった。
「はい、どうぞ。ちょっとこのパン肉肉し過ぎてますからね、脂の吸収を抑えるやつのお茶です。」
「ありがとう…。」
お茶をもらって飲み干せば、やっと一息つく事が出来た。
「ねえ、ルルナちゃん。灯りって出せる?」
「ううん、出せないわ。私が得意なのは風と火だけだもの…。」
「そっか! それじゃぁ、えーと…あった、これこれ!」
マリールは背負い鞄からランタンを取り出した。旅の夜に使用していたものだ。中の燃料に火を付ければ使えるのだが、マリールは今は割れた魔石しか無く、せっかくあるランタンに灯りを点す事が出来なかったのだ。
ランタンに火を付けて貰えば、優しいオレンジ色の炎が小さく点る。ガラスがその明かりを広げ、周りを照らしてくれた。灯かりが確保出来た事に、マリールもルルナもほっと息を吐く。
「やっぱり文明は偉大だ…。」
「うん…?」
ルルナはマリールの言葉が良く分からなかったが、摂り合えず頷いておいた。
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