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「……ありがとう、こう、ちゃん。本当にありがとう。こんな、ところまで、アリアのために、助けに……」
「もう、そんな泣かんでいいよ! アリアを守るってだー姉とも約束したもん! だからアリアがどこにいても、僕が守ってあげるよ!」
「……こうちゃん、大好き! 好き好き大好き!」
「あ、アリア? きゅ、急にどうしたの……僕も、アリアの事は好きだけど……うん、アリア。僕も好き。アリアの事大好きだよ!」
「こうちゃんもアリアの事好き……? それじゃあ……ん!」
目を瞑ったアリアが、僕の唇を強引に奪う。
「!?」
「んっ、んっ……こうちゃん、こうちゃん……んっ、あっ……ん、んんっ……」
「んっ、んっっ⋯⋯アリア⋯⋯んっ」
子供で、まだ何もわからなくて、強引でめちゃくちゃなキスだけど。
呼吸がいっぱいいっぱいになるまで、アリアの小さな体を離さない様にギュッとして。
「ぷはっ……ふふふっ、こうちゃん、チュー、しちゃったね。えへへ、これでアリア、こうちゃんのお嫁さんになれるかな?」
「ふやや、はやや……あえっ? ……こほん。う、うん、なれる、なろう! 僕はアリアと結婚する! ずっとアリアと一緒にいる、アリアの事ずっと守る!」
「こうちゃん! こうちゃん、ほんとにほんとだよ! ずっとずっと、アリアの事好き好きして、ずっとずっと一緒にいてよ? 約束だよ、こうちゃん?」
「うん、約束する! ……だからもどろ、早く。お父さんもお母さんも心配してるから!」
「うん……えへへ、絶対に約束だからね。アリアはこうちゃんのお嫁さんになるんだから……えへへ」
―そう言って無邪気に笑った笑顔も。
―ずっと一緒にいると、守ってあげると誓ったその手のぬくもりも。
―好きの言葉も、初めてしたキスの感覚も、もう俺もアリアも忘れてしまって。
「ちょっとアリア、なんで無視するんだよ!」
「宏一……ううん、岩瀬君。岩瀬君、もうあんまり話しかけないで欲しいかも。新しく入る高校でも、家でも……幼馴染って知られたら恥ずかしいし、迷惑やろ? 幼馴染やと迷惑かかるやろ? ……ワタシハイイケドコウイチカノジョオルシ……め、迷惑やから!」
「え、何で? 迷惑って、それに岩瀬君って……ど、どしたんアリア?」
「……な、名前で呼ぶんも、もうやめた、方が良い! なんか用事ある時は新藤さん、って呼んだほうがいい! 私たちもう高校生やから、だからいつまでもこんなんではあかんから、あんたの隣にはあの子が……私なんかは不釣り合いやから……だからダメやで、バイバイ! バイバイ、宏い……岩瀬君!」
「ちょ、まってや! ど、どう言う事や、待ってアリア……アリア!」
「ついてきたあかん! もういいから、私の事は……ほっといていいから! だからもう……もう、ダメやで、岩瀬君。バイバイ……バイバイ!」
「……アリア? アリア! アリア!」
振り払われた手を誰も拾い上げずに。
走り去るアリアの手を掴めずにその顔も見れずに、アリアとの関係は冷えて、消えて、無くなって。
「アリアおはよう……あ、アリ、し、新藤さんおはよう」
「……うん、オハヨ」
挨拶すら、まともに交わせないくらいに。
「こ、岩瀬君、これ。落とし物、それだけ……ソレダケジャナイケド」
「あ、ありがと、アリ……新藤、さん。あの、その……」
「そ、それだけだから……ふん……マタヤッチャッタ……」
会話は必要最低限、短く小さくなっていって。
「宏一、最近アリアちゃんとどうなの? 全然家にも来ないし、アリアちゃんのお母さんお父さんも心配してたよ? 何かあったの、アリアちゃんと? ケンカしたの、アリアちゃんと? 仲悪いとこっちの関係も心配なんだけど。」
「母さんたちは相変わらず仲いいじゃん……ケンカはしてないんだけど、でも全然話してないし、なんかアリア冷たいって感じで。俺は仲良くしたいんだけど、アリアが俺の事避けてるって言うか……どうすればいいと思う、母さん?」
「知らんよ、そんなん。二人の問題やろ? 二人で解決し、大人の仲介を期待したあかん! 頑張れ、宏一!」
「さっきの突き放す流れではなかったと思うけど……まあ、うん、頑張ってみるよ。ありがとう、母さん」
母親たちの心配もあって何とか話しかけようとしたけど。
俺だって仲良くしたいから話しかけたけど。
「あ、アリア、その、今日どっか行かない? ほら、アリアのお父さんそろそろ誕生日だし、なんかプレゼントでも……どう?」
「え、それ、ほん……ウワメセンコワ、ササル、コワイ、ダメヤッパアリアジャダメ……ど、どう、ってダメに決まってるやん。なんで私があんたと出かけなあかんの。それに誕生日、全然違うし。しったかせんといて、岩瀬君」
「あ、そ、そうだよな。ご、ごめんあり……新藤、さん」
「ふん……ゴメンコウイチタンジョウビアッテルイッショイキタイデモダメ……ふん!」
話しかけようと、なんとかしようとしてもその関係は変わらなくて。
でも、あの日から。
「宏一、また、あれ⋯⋯ほら、悪霊退治せんといかんから!」
アリアが何かに怯えていたあの日から。
「ん、んっ、んっ……宏一、んっ、んんっ……んん! んんん!」
もう一度アリアを守ったその日から。
「んっ、んんっ……ぷはっ。ふふふっ、宏一……またキス、しちゃったね」
俺とアリアはもう一度、キスで繋がる。
「もう、そんな泣かんでいいよ! アリアを守るってだー姉とも約束したもん! だからアリアがどこにいても、僕が守ってあげるよ!」
「……こうちゃん、大好き! 好き好き大好き!」
「あ、アリア? きゅ、急にどうしたの……僕も、アリアの事は好きだけど……うん、アリア。僕も好き。アリアの事大好きだよ!」
「こうちゃんもアリアの事好き……? それじゃあ……ん!」
目を瞑ったアリアが、僕の唇を強引に奪う。
「!?」
「んっ、んっ……こうちゃん、こうちゃん……んっ、あっ……ん、んんっ……」
「んっ、んっっ⋯⋯アリア⋯⋯んっ」
子供で、まだ何もわからなくて、強引でめちゃくちゃなキスだけど。
呼吸がいっぱいいっぱいになるまで、アリアの小さな体を離さない様にギュッとして。
「ぷはっ……ふふふっ、こうちゃん、チュー、しちゃったね。えへへ、これでアリア、こうちゃんのお嫁さんになれるかな?」
「ふやや、はやや……あえっ? ……こほん。う、うん、なれる、なろう! 僕はアリアと結婚する! ずっとアリアと一緒にいる、アリアの事ずっと守る!」
「こうちゃん! こうちゃん、ほんとにほんとだよ! ずっとずっと、アリアの事好き好きして、ずっとずっと一緒にいてよ? 約束だよ、こうちゃん?」
「うん、約束する! ……だからもどろ、早く。お父さんもお母さんも心配してるから!」
「うん……えへへ、絶対に約束だからね。アリアはこうちゃんのお嫁さんになるんだから……えへへ」
―そう言って無邪気に笑った笑顔も。
―ずっと一緒にいると、守ってあげると誓ったその手のぬくもりも。
―好きの言葉も、初めてしたキスの感覚も、もう俺もアリアも忘れてしまって。
「ちょっとアリア、なんで無視するんだよ!」
「宏一……ううん、岩瀬君。岩瀬君、もうあんまり話しかけないで欲しいかも。新しく入る高校でも、家でも……幼馴染って知られたら恥ずかしいし、迷惑やろ? 幼馴染やと迷惑かかるやろ? ……ワタシハイイケドコウイチカノジョオルシ……め、迷惑やから!」
「え、何で? 迷惑って、それに岩瀬君って……ど、どしたんアリア?」
「……な、名前で呼ぶんも、もうやめた、方が良い! なんか用事ある時は新藤さん、って呼んだほうがいい! 私たちもう高校生やから、だからいつまでもこんなんではあかんから、あんたの隣にはあの子が……私なんかは不釣り合いやから……だからダメやで、バイバイ! バイバイ、宏い……岩瀬君!」
「ちょ、まってや! ど、どう言う事や、待ってアリア……アリア!」
「ついてきたあかん! もういいから、私の事は……ほっといていいから! だからもう……もう、ダメやで、岩瀬君。バイバイ……バイバイ!」
「……アリア? アリア! アリア!」
振り払われた手を誰も拾い上げずに。
走り去るアリアの手を掴めずにその顔も見れずに、アリアとの関係は冷えて、消えて、無くなって。
「アリアおはよう……あ、アリ、し、新藤さんおはよう」
「……うん、オハヨ」
挨拶すら、まともに交わせないくらいに。
「こ、岩瀬君、これ。落とし物、それだけ……ソレダケジャナイケド」
「あ、ありがと、アリ……新藤、さん。あの、その……」
「そ、それだけだから……ふん……マタヤッチャッタ……」
会話は必要最低限、短く小さくなっていって。
「宏一、最近アリアちゃんとどうなの? 全然家にも来ないし、アリアちゃんのお母さんお父さんも心配してたよ? 何かあったの、アリアちゃんと? ケンカしたの、アリアちゃんと? 仲悪いとこっちの関係も心配なんだけど。」
「母さんたちは相変わらず仲いいじゃん……ケンカはしてないんだけど、でも全然話してないし、なんかアリア冷たいって感じで。俺は仲良くしたいんだけど、アリアが俺の事避けてるって言うか……どうすればいいと思う、母さん?」
「知らんよ、そんなん。二人の問題やろ? 二人で解決し、大人の仲介を期待したあかん! 頑張れ、宏一!」
「さっきの突き放す流れではなかったと思うけど……まあ、うん、頑張ってみるよ。ありがとう、母さん」
母親たちの心配もあって何とか話しかけようとしたけど。
俺だって仲良くしたいから話しかけたけど。
「あ、アリア、その、今日どっか行かない? ほら、アリアのお父さんそろそろ誕生日だし、なんかプレゼントでも……どう?」
「え、それ、ほん……ウワメセンコワ、ササル、コワイ、ダメヤッパアリアジャダメ……ど、どう、ってダメに決まってるやん。なんで私があんたと出かけなあかんの。それに誕生日、全然違うし。しったかせんといて、岩瀬君」
「あ、そ、そうだよな。ご、ごめんあり……新藤、さん」
「ふん……ゴメンコウイチタンジョウビアッテルイッショイキタイデモダメ……ふん!」
話しかけようと、なんとかしようとしてもその関係は変わらなくて。
でも、あの日から。
「宏一、また、あれ⋯⋯ほら、悪霊退治せんといかんから!」
アリアが何かに怯えていたあの日から。
「ん、んっ、んっ……宏一、んっ、んんっ……んん! んんん!」
もう一度アリアを守ったその日から。
「んっ、んんっ……ぷはっ。ふふふっ、宏一……またキス、しちゃったね」
俺とアリアはもう一度、キスで繋がる。
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