キスから始まる悪霊退散!~ツンデレ幼馴染とキスをした。幽霊が見えるし、幼馴染もぐいぐい来るようになった。

文字の大きさ
上 下
1 / 3

プロローグ

しおりを挟む
「……ありがとう、こう、ちゃん。本当にありがとう。こんな、ところまで、アリアのために、助けに……」

「もう、そんな泣かんでいいよ! アリアを守るってだー姉とも約束したもん! だからアリアがどこにいても、僕が守ってあげるよ!」

「……こうちゃん、大好き! 好き好き大好き!」

「あ、アリア? きゅ、急にどうしたの……僕も、アリアの事は好きだけど……うん、アリア。僕も好き。アリアの事大好きだよ!」

「こうちゃんもアリアの事好き……? それじゃあ……ん!」
 目を瞑ったアリアが、僕の唇を強引に奪う。

「!?」

「んっ、んっ……こうちゃん、こうちゃん……んっ、あっ……ん、んんっ……」

「んっ、んっっ⋯⋯アリア⋯⋯んっ」
 子供で、まだ何もわからなくて、強引でめちゃくちゃなキスだけど。
 呼吸がいっぱいいっぱいになるまで、アリアの小さな体を離さない様にギュッとして。

「ぷはっ……ふふふっ、こうちゃん、チュー、しちゃったね。えへへ、これでアリア、こうちゃんのお嫁さんになれるかな?」

「ふやや、はやや……あえっ? ……こほん。う、うん、なれる、なろう! 僕はアリアと結婚する! ずっとアリアと一緒にいる、アリアの事ずっと守る!」

「こうちゃん! こうちゃん、ほんとにほんとだよ! ずっとずっと、アリアの事好き好きして、ずっとずっと一緒にいてよ? 約束だよ、こうちゃん?」

「うん、約束する! ……だからもどろ、早く。お父さんもお母さんも心配してるから!」

「うん……えへへ、絶対に約束だからね。アリアはこうちゃんのお嫁さんになるんだから……えへへ」



 ―そう言って無邪気に笑った笑顔も。

 ―ずっと一緒にいると、守ってあげると誓ったその手のぬくもりも。

 ―好きの言葉も、初めてしたキスの感覚も、もう俺もアリアも忘れてしまって。


「ちょっとアリア、なんで無視するんだよ!」

「宏一……ううん、。岩瀬君、もうあんまり話しかけないで欲しいかも。新しく入る高校でも、家でも……幼馴染って知られたら恥ずかしいし、迷惑やろ? 幼馴染やと迷惑かかるやろ? ……ワタシハイイケドコウイチカノジョオルシ……め、迷惑やから!」

「え、何で? 迷惑って、それに岩瀬君って……ど、どしたんアリア?」

「……な、名前で呼ぶんも、もうやめた、方が良い! なんか用事ある時は新藤さん、って呼んだほうがいい! 私たちもう高校生やから、だからいつまでもこんなんではあかんから、あんたの隣にはあの子が……私なんかは不釣り合いやから……だからダメやで、バイバイ! バイバイ、宏い……岩瀬君!」

「ちょ、まってや! ど、どう言う事や、待ってアリア……アリア!」

「ついてきたあかん! もういいから、私の事は……ほっといていいから! だからもう……もう、ダメやで、。バイバイ……バイバイ!」

「……アリア? アリア! アリア!」
 振り払われた手を誰も拾い上げずに。
 走り去るアリアの手を掴めずにその顔も見れずに、アリアとの関係は冷えて、消えて、無くなって。

 
「アリアおはよう……あ、アリ、し、新藤さんおはよう」

「……うん、オハヨ」
 挨拶すら、まともに交わせないくらいに。

「こ、岩瀬君、これ。落とし物、それだけ……ソレダケジャナイケド」

「あ、ありがと、アリ……新藤、さん。あの、その……」

「そ、それだけだから……ふん……マタヤッチャッタ……」
 会話は必要最低限、短く小さくなっていって。


「宏一、最近アリアちゃんとどうなの? 全然家にも来ないし、アリアちゃんのお母さんお父さんも心配してたよ? 何かあったの、アリアちゃんと? ケンカしたの、アリアちゃんと? 仲悪いとこっちの関係も心配なんだけど。」

「母さんたちは相変わらず仲いいじゃん……ケンカはしてないんだけど、でも全然話してないし、なんかアリア冷たいって感じで。俺は仲良くしたいんだけど、アリアが俺の事避けてるって言うか……どうすればいいと思う、母さん?」

「知らんよ、そんなん。二人の問題やろ? 二人で解決し、大人の仲介を期待したあかん! 頑張れ、宏一!」

「さっきの突き放す流れではなかったと思うけど……まあ、うん、頑張ってみるよ。ありがとう、母さん」
 母親たちの心配もあって何とか話しかけようとしたけど。
 俺だって仲良くしたいから話しかけたけど。


「あ、アリア、その、今日どっか行かない? ほら、アリアのお父さんそろそろ誕生日だし、なんかプレゼントでも……どう?」

「え、それ、ほん……ウワメセンコワ、ササル、コワイ、ダメヤッパアリアジャダメ……ど、どう、ってダメに決まってるやん。なんで私があんたと出かけなあかんの。それに誕生日、全然違うし。しったかせんといて、岩瀬君」

「あ、そ、そうだよな。ご、ごめんあり……新藤、さん」

「ふん……ゴメンコウイチタンジョウビアッテルイッショイキタイデモダメ……ふん!」
 話しかけようと、なんとかしようとしてもその関係は変わらなくて。


 でも、あの日から。
「宏一、また、あれ⋯⋯ほら、悪霊退治せんといかんから!」
 アリアが何かに怯えていたあの日から。

「ん、んっ、んっ……宏一、んっ、んんっ……んん! んんん!」
 もう一度アリアを守ったその日から。

「んっ、んんっ……ぷはっ。ふふふっ、宏一……またキス、しちゃったね」
 俺とアリアはもう一度、キスで繋がる。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

【しかも】襲われたところを、ヤンキーに助けてもらった件【暴走族の総長だった】

一樹
恋愛
暴走族の総長に助けてもらった女の子が、彼とお近付きになる話です。 暴走族総長×お嬢様の恋愛モノです。 ※基本掲示板だけの話となります。 古いネタが多いです。

僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた

楠富 つかさ
恋愛
ある朝、目覚めたら女の子になっていた主人公と主人公に恋をしていたが、女の子になって主人公を見て百合に目覚めたヒロインのドタバタした日常。 この作品はハーメルン様でも掲載しています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

アルバートの屈辱

プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。 『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。

実在しないのかもしれない

真朱
恋愛
実家の小さい商会を仕切っているロゼリエに、お見合いの話が舞い込んだ。相手は大きな商会を営む伯爵家のご嫡男。が、お見合いの席に相手はいなかった。「極度の人見知りのため、直接顔を見せることが難しい」なんて無茶な理由でいつまでも逃げ回る伯爵家。お見合い相手とやら、もしかして実在しない・・・? ※異世界か不明ですが、中世ヨーロッパ風の架空の国のお話です。 ※細かく設定しておりませんので、何でもあり・ご都合主義をご容赦ください。 ※内輪でドタバタしてるだけの、高い山も深い谷もない平和なお話です。何かすみません。

愛する貴方の心から消えた私は…

矢野りと
恋愛
愛する夫が事故に巻き込まれ隣国で行方不明となったのは一年以上前のこと。 周りが諦めの言葉を口にしても、私は決して諦めなかった。  …彼は絶対に生きている。 そう信じて待ち続けていると、願いが天に通じたのか奇跡的に彼は戻って来た。 だが彼は妻である私のことを忘れてしまっていた。 「すまない、君を愛せない」 そう言った彼の目からは私に対する愛情はなくなっていて…。 *設定はゆるいです。

処理中です...