1にお嬢様2にお嬢様3にお嬢様で4と5ももちろんお嬢様です!~私の皇子様(本物)は世話焼きで困ります~

荷居人(にいと)

文字の大きさ
上 下
5 / 6

5

しおりを挟む
それからは色々すごかったです。なんだかルシフェス様に逆らえなくてご飯を食べさせてもらったり移動は抱っこにおんぶで、気にはなっていたけどあの日から誰ひとり……いや、エンファント家以外の人物には会わせてもらえずルシフェスにお願いをしないと本すら読めない状況。

読み聞かせに、添い寝に、お……お風呂まで………羞恥でおかしくなりそうです。でも逆らえない何かを感じていてこれが皇子様の威厳なのかもしれません。

何もかもがルシフェス様によってお世話をされる毎日。ルシフェス様が使用人であったとき以上の世話焼きで気のせいかあの日からルシフェス様の暗い笑みに箔がかかった気がします。

「お嬢様、ご不便はありませんか?」

そう言うルシフェス様はふわりと私を抱き上げては私を膝に乗せ自分はベッドに座る。

「寧ろ快適すぎます。ただ、外に……」

「外?外に出て、私から逃げるんですか?だめですよ、お嬢様は誰にも渡しません。逃げようとするなら国中の兵をあげて探します。お嬢様専用の檻に入れて何一つ不自由のない生活を与えましょう」

「い、いえ、遠慮するわ」

優しい声に油断して外に出たいと言おうとすればこれです。言葉から声から表情に本気が伺えて私もひきつった笑顔で外に出る提案はなしにせざるをえません。

何故ここまで私に執着するのでしょう?酷いことをされるようなことはなくただただ必要以上に大事にされています。

そこまでさせてしまうのはやはり私と急に離れたせいで不安を与えたせいなのでしょうか?でもそれなら父だってそう。何故私だけにここまで?いえ、私はもう気づいていました。気づかざるをえない言葉を言われて知らぬふりをしていたのはひとえに私自身の気持ちの問題だったのでしょう。

「ルシフェス、何故そんなにも私を逃がしたくないの?」

気がつけば聞くに聞けなかった言葉が簡単に声に出ました。

「それは………お嬢様を愛しているからです」

「ふふ……そう、やっと言ったわね」

「お嬢様?」

聞いてしまえばずっと聞きたかったようなそんな気がしてなりません。無自覚な恋ってこういうのを言うのかしら?

「私も愛してるわ……ルシフェス」

「え、あ、お……」

あれだけ私を脅して離そうとしなかったルシフェスの動揺した声に思わずくすくす笑ってしまう。本当どこまでも可愛い子。

「結婚式はいつにする?」

「あ、明日にでも!準備してきます!」

「まあまあ」

どんなに慌てても私を乱雑には扱わず優しくベッドに座らせてはどたばたと部屋を出てしっかり鍵をかけた音を鳴らして去るルシフェス様。

どんなに頑張っても明日は無理でしょうに……。でもそれほど早く私と結ばれたい気持ちがわかってそんな気持ちに胸が温かくなるのを感じます。

結婚式の後には初夜がありますものね?その日の私はしばらく笑みが止まなかったし、その日からルシフェス様の笑みに暗さが消えたのは言うまでもありません。

おわり









あとがき
長編予定でしたが他にも色々たまっているため短編にて完結いたしました。楽しんでいただければ幸いです。

ルシフェスがお披露目されなかった理由は想像にお任せします。気が向けば書くかもですが。

気まぐれで完結していない作品も多数あるのに新作出したくなる私はだめ人間………がんばらないとですねぇ……。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

5年経っても軽率に故郷に戻っては駄目!

158
恋愛
伯爵令嬢であるオリビアは、この世界が前世でやった乙女ゲームの世界であることに気づく。このまま学園に入学してしまうと、死亡エンドの可能性があるため学園に入学する前に家出することにした。婚約者もさらっとスルーして、早や5年。結局誰ルートを主人公は選んだのかしらと軽率にも故郷に舞い戻ってしまい・・・ 2話完結を目指してます!

美しい公爵様の、凄まじい独占欲と溺れるほどの愛

らがまふぃん
恋愛
 こちらは以前投稿いたしました、 美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛 の続編となっております。前作よりマイルドな作品に仕上がっておりますが、内面のダークさが前作よりはあるのではなかろうかと。こちらのみでも楽しめるとは思いますが、わかりづらいかもしれません。よろしかったら前作をお読みいただいた方が、より楽しんでいただけるかと思いますので、お時間の都合のつく方は、是非。時々予告なく残酷な表現が入りますので、苦手な方はお控えください。 *早速のお気に入り登録、しおり、エールをありがとうございます。とても励みになります。前作もお読みくださっている方々にも、多大なる感謝を! ※R5.7/23本編完結いたしました。たくさんの方々に支えられ、ここまで続けることが出来ました。本当にありがとうございます。ばんがいへんを数話投稿いたしますので、引き続きお付き合いくださるとありがたいです。この作品の前作が、お気に入り登録をしてくださった方が、ありがたいことに200を超えておりました。感謝を込めて、前作の方に一話、近日中にお届けいたします。よろしかったらお付き合いください。 ※R5.8/6ばんがいへん終了いたしました。長い間お付き合いくださり、また、たくさんのお気に入り登録、しおり、エールを、本当にありがとうございました。 ※R5.9/3お気に入り登録200になっていました。本当にありがとうございます(泣)。嬉しかったので、一話書いてみました。 ※R5.10/30らがまふぃん活動一周年記念として、一話お届けいたします。 ※R6.1/27美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛(前作) と、こちらの作品の間のお話し 美しく冷酷な公爵令息様の、狂おしい熱情に彩られた愛 始めました。お時間の都合のつく方は、是非ご一読くださると嬉しいです。 *らがまふぃん活動二周年記念として、R6.11/4に一話お届けいたします。少しでも楽しんでいただけますように。

誰の代わりに愛されているのか知った私は優しい嘘に溺れていく

矢野りと
恋愛
彼がかつて愛した人は私の知っている人だった。 髪色、瞳の色、そして後ろ姿は私にとても似ている。 いいえ違う…、似ているのは彼女ではなく私だ。望まれて嫁いだから愛されているのかと思っていたけれども、それは間違いだと知ってしまった。 『私はただの身代わりだったのね…』 彼は変わらない。 いつも優しい言葉を紡いでくれる。 でも真実を知ってしまった私にはそれが嘘だと分かっているから…。

【コミカライズ】今夜中に婚約破棄してもらわナイト

待鳥園子
恋愛
気がつけば私、悪役令嬢に転生してしまったらしい。 不幸なことに記憶を取り戻したのが、なんと断罪不可避の婚約破棄される予定の、その日の朝だった! けど、後日談に書かれていた悪役令嬢の末路は珍しくぬるい。都会好きで派手好きな彼女はヒロインをいじめた罰として、都会を離れて静かな田舎で暮らすことになるだけ。 前世から筋金入りの陰キャな私は、華やかな社交界なんか興味ないし、のんびり田舎暮らしも悪くない。罰でもなく、単なるご褒美。文句など一言も言わずに、潔く婚約破棄されましょう。 ……えっ! ヒロインも探しているし、私の婚約者会場に不在なんだけど……私と婚約破棄する予定の王子様、どこに行ったのか、誰か知りませんか?! ♡コミカライズされることになりました。詳細は追って発表いたします。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

私を幽閉した王子がこちらを気にしているのはなぜですか?

水谷繭
恋愛
婚約者である王太子リュシアンから日々疎まれながら過ごしてきたジスレーヌ。ある日のお茶会で、リュシアンが何者かに毒を盛られ倒れてしまう。 日ごろからジスレーヌをよく思っていなかった令嬢たちは、揃ってジスレーヌが毒を入れるところを見たと証言。令嬢たちの嘘を信じたリュシアンは、ジスレーヌを「裁きの家」というお屋敷に幽閉するよう指示する。 そこは二十年前に魔女と呼ばれた女が幽閉されて死んだ、いわくつきの屋敷だった。何とか幽閉期間を耐えようと怯えながら過ごすジスレーヌ。 一方、ジスレーヌを閉じ込めた張本人の王子はジスレーヌを気にしているようで……。 ◇小説家になろうにも掲載中です! ◆表紙はGilry Drop様からお借りした画像を加工して使用しています

急に運命の番と言われても。夜会で永遠の愛を誓われ駆け落ちし、数年後ぽい捨てされた母を持つ平民娘は、氷の騎士の甘い求婚を冷たく拒む。

石河 翠
恋愛
ルビーの花屋に、隣国の氷の騎士ディランが現れた。 雪豹の獣人である彼は番の匂いを追いかけていたらしい。ところが花屋に着いたとたんに、手がかりを失ってしまったというのだ。 一時的に鼻が詰まった人間並みの嗅覚になったディランだが、番が見つかるまでは帰らないと言い張る始末。ルビーは彼の世話をする羽目に。 ルビーと喧嘩をしつつ、人間についての理解を深めていくディラン。 その後嗅覚を取り戻したディランは番の正体に歓喜し、公衆の面前で結婚を申し込むが冷たく拒まれる。ルビーが求婚を断ったのには理由があって……。 愛されることが怖い臆病なヒロインと、彼女のためならすべてを捨てる一途でだだ甘なヒーローの恋物語。 この作品は、他サイトにも投稿しております。 扉絵は写真ACより、チョコラテさまの作品(ID25481643)をお借りしています。

関係を終わらせる勢いで留学して数年後、犬猿の仲の狼王子がおかしいことになっている

百門一新
恋愛
人族貴族の公爵令嬢であるシェスティと、獣人族であり六歳年上の第一王子カディオが、出会った時からずっと犬猿の仲なのは有名な話だった。賢い彼女はある日、それを終わらせるべく(全部捨てる勢いで)隣国へ保留学した。だが、それから数年、彼女のもとに「――カディオが、私を見ないと動機息切れが収まらないので来てくれ、というお願いはなんなの?」という変な手紙か実家から来て、帰国することに。そうしたら、彼の様子が変で……? ※さくっと読める短篇です、お楽しみいだたけましたら幸いです! ※他サイト様にも掲載

処理中です...