1にお嬢様2にお嬢様3にお嬢様で4と5ももちろんお嬢様です!~私の皇子様(本物)は世話焼きで困ります~

荷居人(にいと)

文字の大きさ
上 下
3 / 6

3

しおりを挟む
「よいよい。ルシフェスは事情があって表に出せなんだ。それに教育こそルシフェスの母となりわしの妻であるエレンに頼んでいたが十分な教育環境ではなかったからな。平民と思うのも無理はない。私もルシフェスを絵姿でしか見られず結局エレンを守れなかっただめな父親じゃ……本当にルシフェスだけでも生きていてくれたことが嬉しいと言うのにここまで無事健やかに育ててくれたことに礼を言わず罰を与えるなどもってのほかじゃ………それよりルシフェス」

「は、はい!」

「わしを父と、父と呼んでおくれ!」

「ち、父上……?」

「あー!念願の夢、今叶うとは!これでわしも掃除したかいがあったというもの!ルシフェスはこちらで引き取るがよいな?」

「も、もちろんでございます」

「え?」

陛下の機嫌のよさに誰もがたじろぎつつ、陛下のお言葉に逆らえることなどできはせずその日、ルシフェス様と急な別れとなりました。そんなとばかりにショックを受けるルシフェス様に胸が痛みつつ、私はどうすることもできなかったわけですが……後日ルシフェス様から縁談の申し込みに私と父、使用人たちに、動物たちまでみんなで慌てに慌てることになるのでした。

次誰か拾うときには冷静な方が必要かもしれません。

というわけで断るはずもなくルシフェス様との縁談の日。婚約は一瞬でした。

「エンファント嬢、ルシフェスの婚約者になることを命じる」

王命です。縁談とは名ばかりの強制的な婚約でした。

「は、はい……」

嫌ではないですが、婚約って……ルシフェス様はいいのかしら?なんて思わなくもありません。

「ありがとうございます!父上!」

しかし、満面の笑みで陛下に感謝を述べるルシフェス様を見ればそれは杞憂だったのでしょう。

「うむうむ!」

そんなルシフェスの様子にか、父上と呼ばれたからか、もしくは両方か、満足そうに頷く陛下。ルシフェス様こういう時可愛いですからね、わかります。

というわけでなんだかんだ両者納得の婚約を結べたわけです。そこに恋愛感情はないだろうとそれを理解した上で。いや、行き遅れこそ気にならないとはいえ、これでも恋愛に興味はあるので自分の恋を見つけようとは考えていますが。

だってこの婚約も一時的なものだと思っておりますから。急に離されてルシフェス様は一生懸命考えたのでしょう。エンファント家と関係を持つ方法を。まあ確かに婚約なら一緒にいられます。

これはルシフェスが誰かに恋をし、幸せな結婚をするまで寂しさを埋める家族の役割とも言えるでしょう。詳しいことはわかりませんが、陛下は随分とルシフェス様を愛しておられるようですしそれを理解した上での王命による婚約で、ルシフェスさえ望めばそれは解消されるのが目に見えています。

とはいえ……とはいえね?

「これでお嬢様のお世話をこの先もできますね!」

「いやいやいや、殿下、殿下は私より今や地位は上ですのよ?」

これでは恋愛どころではなく、ただ私の世話がしたいだけの世話焼き皇子でしかないわけです。

さすがにルシフェス様が皇子とわかった今、使用人扱いはさすがの私も気が引けますわよ?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

5年経っても軽率に故郷に戻っては駄目!

158
恋愛
伯爵令嬢であるオリビアは、この世界が前世でやった乙女ゲームの世界であることに気づく。このまま学園に入学してしまうと、死亡エンドの可能性があるため学園に入学する前に家出することにした。婚約者もさらっとスルーして、早や5年。結局誰ルートを主人公は選んだのかしらと軽率にも故郷に舞い戻ってしまい・・・ 2話完結を目指してます!

美しい公爵様の、凄まじい独占欲と溺れるほどの愛

らがまふぃん
恋愛
 こちらは以前投稿いたしました、 美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛 の続編となっております。前作よりマイルドな作品に仕上がっておりますが、内面のダークさが前作よりはあるのではなかろうかと。こちらのみでも楽しめるとは思いますが、わかりづらいかもしれません。よろしかったら前作をお読みいただいた方が、より楽しんでいただけるかと思いますので、お時間の都合のつく方は、是非。時々予告なく残酷な表現が入りますので、苦手な方はお控えください。 *早速のお気に入り登録、しおり、エールをありがとうございます。とても励みになります。前作もお読みくださっている方々にも、多大なる感謝を! ※R5.7/23本編完結いたしました。たくさんの方々に支えられ、ここまで続けることが出来ました。本当にありがとうございます。ばんがいへんを数話投稿いたしますので、引き続きお付き合いくださるとありがたいです。この作品の前作が、お気に入り登録をしてくださった方が、ありがたいことに200を超えておりました。感謝を込めて、前作の方に一話、近日中にお届けいたします。よろしかったらお付き合いください。 ※R5.8/6ばんがいへん終了いたしました。長い間お付き合いくださり、また、たくさんのお気に入り登録、しおり、エールを、本当にありがとうございました。 ※R5.9/3お気に入り登録200になっていました。本当にありがとうございます(泣)。嬉しかったので、一話書いてみました。 ※R5.10/30らがまふぃん活動一周年記念として、一話お届けいたします。 ※R6.1/27美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛(前作) と、こちらの作品の間のお話し 美しく冷酷な公爵令息様の、狂おしい熱情に彩られた愛 始めました。お時間の都合のつく方は、是非ご一読くださると嬉しいです。 *らがまふぃん活動二周年記念として、R6.11/4に一話お届けいたします。少しでも楽しんでいただけますように。

誰の代わりに愛されているのか知った私は優しい嘘に溺れていく

矢野りと
恋愛
彼がかつて愛した人は私の知っている人だった。 髪色、瞳の色、そして後ろ姿は私にとても似ている。 いいえ違う…、似ているのは彼女ではなく私だ。望まれて嫁いだから愛されているのかと思っていたけれども、それは間違いだと知ってしまった。 『私はただの身代わりだったのね…』 彼は変わらない。 いつも優しい言葉を紡いでくれる。 でも真実を知ってしまった私にはそれが嘘だと分かっているから…。

【コミカライズ】今夜中に婚約破棄してもらわナイト

待鳥園子
恋愛
気がつけば私、悪役令嬢に転生してしまったらしい。 不幸なことに記憶を取り戻したのが、なんと断罪不可避の婚約破棄される予定の、その日の朝だった! けど、後日談に書かれていた悪役令嬢の末路は珍しくぬるい。都会好きで派手好きな彼女はヒロインをいじめた罰として、都会を離れて静かな田舎で暮らすことになるだけ。 前世から筋金入りの陰キャな私は、華やかな社交界なんか興味ないし、のんびり田舎暮らしも悪くない。罰でもなく、単なるご褒美。文句など一言も言わずに、潔く婚約破棄されましょう。 ……えっ! ヒロインも探しているし、私の婚約者会場に不在なんだけど……私と婚約破棄する予定の王子様、どこに行ったのか、誰か知りませんか?! ♡コミカライズされることになりました。詳細は追って発表いたします。

婚約破棄を望むなら〜私の愛した人はあなたじゃありません〜

みおな
恋愛
 王家主催のパーティーにて、私の婚約者がやらかした。 「お前との婚約を破棄する!!」  私はこの馬鹿何言っているんだと思いながらも、婚約破棄を受け入れてやった。  だって、私は何ひとつ困らない。 困るのは目の前でふんぞり返っている元婚約者なのだから。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

私を幽閉した王子がこちらを気にしているのはなぜですか?

水谷繭
恋愛
婚約者である王太子リュシアンから日々疎まれながら過ごしてきたジスレーヌ。ある日のお茶会で、リュシアンが何者かに毒を盛られ倒れてしまう。 日ごろからジスレーヌをよく思っていなかった令嬢たちは、揃ってジスレーヌが毒を入れるところを見たと証言。令嬢たちの嘘を信じたリュシアンは、ジスレーヌを「裁きの家」というお屋敷に幽閉するよう指示する。 そこは二十年前に魔女と呼ばれた女が幽閉されて死んだ、いわくつきの屋敷だった。何とか幽閉期間を耐えようと怯えながら過ごすジスレーヌ。 一方、ジスレーヌを閉じ込めた張本人の王子はジスレーヌを気にしているようで……。 ◇小説家になろうにも掲載中です! ◆表紙はGilry Drop様からお借りした画像を加工して使用しています

急に運命の番と言われても。夜会で永遠の愛を誓われ駆け落ちし、数年後ぽい捨てされた母を持つ平民娘は、氷の騎士の甘い求婚を冷たく拒む。

石河 翠
恋愛
ルビーの花屋に、隣国の氷の騎士ディランが現れた。 雪豹の獣人である彼は番の匂いを追いかけていたらしい。ところが花屋に着いたとたんに、手がかりを失ってしまったというのだ。 一時的に鼻が詰まった人間並みの嗅覚になったディランだが、番が見つかるまでは帰らないと言い張る始末。ルビーは彼の世話をする羽目に。 ルビーと喧嘩をしつつ、人間についての理解を深めていくディラン。 その後嗅覚を取り戻したディランは番の正体に歓喜し、公衆の面前で結婚を申し込むが冷たく拒まれる。ルビーが求婚を断ったのには理由があって……。 愛されることが怖い臆病なヒロインと、彼女のためならすべてを捨てる一途でだだ甘なヒーローの恋物語。 この作品は、他サイトにも投稿しております。 扉絵は写真ACより、チョコラテさまの作品(ID25481643)をお借りしています。

処理中です...