19 / 27
まだその時ではなくて
しおりを挟む
「父を殺した事情はまだ話せない。しかし、皇帝の跡継ぎとして必要な………ことだった」
陛下の瞳が揺らぐ。どこか納得しきれてないような、後悔をするようなそんな瞳。それを見ると噂のように皇帝になるために父親を殺したようには思えない。
「そうですか……」
「聞きたいとは思わないのか?」
「気にならないとは言いませんが、陛下が話せないことを話せという権利もございませんから。それに、殺したくて殺した訳じゃないって顔に出てます」
「……! そんなにわかりやすかったか?」
「ふふっはい」
あれで出してないつもりだったのかと思えば陛下も少し可愛く思えた。こういった姿が昨日トールには見えていたのかもしれない。トールに指摘されず、陛下の噂ばかり気にして今も怖がっていれば私は未だそれに気づきもしなかっただろう。
トールには感謝すべきかもしれない。でも寝起きの私に準備もさせず、上着だけ着せてみっともない姿で陛下の前に連れてきたのは許さないんだから!
「………っ」
「陛下?」
それはそれとして陛下の反応につい笑ってしまえば陛下は驚いたように目を見開いた。さすがに気に触っただろうかと少し不安になる。
「初めて………笑ったな」
「え?」
「可愛い」
「っ!?」
ただ私が笑っただけで何故そんなに嬉しそうなのか。何よりその愛しいとばかりの甘さを含んだ声で可愛いと言うだけでなく、顔面凶器とばかりの美しい容姿で笑みを浮かべながらは反則だと思う。顔が熱くて仕方ない。
「? 顔が赤いな……疲れでも出たか?」
「ち、ちが………うぅっ」
「こ、怖がらせただろうか?」
「そそそうじゃなくてぇ……っ」
頼むから少しばかりそっとしてほしいのに、陛下に誤解をさせたくはなくてもう頭が大パニックだ。鋭いようで意外と陛下は鈍感なのかもしれない。これでは陛下が勝手に誤解して傷ついてしまいかねない。
「コルトリア………」
「へ、陛下がかっこいい顔で可愛いなんか言うから照れてるんですぅーっ!」
だから私は自爆の道を選んだ。人を傷つけてまで羞恥から逃げようなんてことはしたくないから。例えその原因の人でも!
「照れて………?意識、してくれたのか?」
「うう……っ」
なんで、なんでわざわざそれを聞くのか!意識も何も陛下はご自身の容姿と声のよさを自覚すべきだ。誰だって陛下に可愛いなんて言われたらなんとも言えぬこの気持ちと共に身体中が熱くなるに違いない。
「く、くく………っこんなに嬉しい気持ちは久々だ」
私が羞恥と闘ってる中、嬉しそうに笑う陛下は暴君という言葉とはかけはなれた青年のようだった。
陛下の瞳が揺らぐ。どこか納得しきれてないような、後悔をするようなそんな瞳。それを見ると噂のように皇帝になるために父親を殺したようには思えない。
「そうですか……」
「聞きたいとは思わないのか?」
「気にならないとは言いませんが、陛下が話せないことを話せという権利もございませんから。それに、殺したくて殺した訳じゃないって顔に出てます」
「……! そんなにわかりやすかったか?」
「ふふっはい」
あれで出してないつもりだったのかと思えば陛下も少し可愛く思えた。こういった姿が昨日トールには見えていたのかもしれない。トールに指摘されず、陛下の噂ばかり気にして今も怖がっていれば私は未だそれに気づきもしなかっただろう。
トールには感謝すべきかもしれない。でも寝起きの私に準備もさせず、上着だけ着せてみっともない姿で陛下の前に連れてきたのは許さないんだから!
「………っ」
「陛下?」
それはそれとして陛下の反応につい笑ってしまえば陛下は驚いたように目を見開いた。さすがに気に触っただろうかと少し不安になる。
「初めて………笑ったな」
「え?」
「可愛い」
「っ!?」
ただ私が笑っただけで何故そんなに嬉しそうなのか。何よりその愛しいとばかりの甘さを含んだ声で可愛いと言うだけでなく、顔面凶器とばかりの美しい容姿で笑みを浮かべながらは反則だと思う。顔が熱くて仕方ない。
「? 顔が赤いな……疲れでも出たか?」
「ち、ちが………うぅっ」
「こ、怖がらせただろうか?」
「そそそうじゃなくてぇ……っ」
頼むから少しばかりそっとしてほしいのに、陛下に誤解をさせたくはなくてもう頭が大パニックだ。鋭いようで意外と陛下は鈍感なのかもしれない。これでは陛下が勝手に誤解して傷ついてしまいかねない。
「コルトリア………」
「へ、陛下がかっこいい顔で可愛いなんか言うから照れてるんですぅーっ!」
だから私は自爆の道を選んだ。人を傷つけてまで羞恥から逃げようなんてことはしたくないから。例えその原因の人でも!
「照れて………?意識、してくれたのか?」
「うう……っ」
なんで、なんでわざわざそれを聞くのか!意識も何も陛下はご自身の容姿と声のよさを自覚すべきだ。誰だって陛下に可愛いなんて言われたらなんとも言えぬこの気持ちと共に身体中が熱くなるに違いない。
「く、くく………っこんなに嬉しい気持ちは久々だ」
私が羞恥と闘ってる中、嬉しそうに笑う陛下は暴君という言葉とはかけはなれた青年のようだった。
1
お気に入りに追加
4,096
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~
真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
お知らせ有り※※束縛上司!~溺愛体質の上司の深すぎる愛情~
ひなの琴莉
恋愛
イケメンで完璧な上司は自分にだけなぜかとても過保護でしつこい。そんな店長に秘密を握られた。秘密をすることに交換条件として色々求められてしまう。 溺愛体質のヒーロー☓地味子。ドタバタラブコメディ。
2021/3/10
しおりを挟んでくださっている皆様へ。
こちらの作品はすごく昔に書いたのをリメイクして連載していたものです。
しかし、古い作品なので……時代背景と言うか……いろいろ突っ込みどころ満載で、修正しながら書いていたのですが、やはり難しかったです(汗)
楽しい作品に仕上げるのが厳しいと判断し、連載を中止させていただくことにしました。
申しわけありません。
新作を書いて更新していきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
お詫びに過去に書いた原文のママ載せておきます。
修正していないのと、若かりし頃の作品のため、
甘めに見てくださいm(__)m
イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。
すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。
そこで私は一人の男の人と出会う。
「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」
そんな言葉をかけてきた彼。
でも私には秘密があった。
「キミ・・・目が・・?」
「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」
ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。
「お願いだから俺を好きになって・・・。」
その言葉を聞いてお付き合いが始まる。
「やぁぁっ・・!」
「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」
激しくなっていく夜の生活。
私の身はもつの!?
※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
では、お楽しみください。
美幼女に転生したら地獄のような逆ハーレム状態になりました
市森 唯
恋愛
極々普通の学生だった私は……目が覚めたら美幼女になっていました。
私は侯爵令嬢らしく多分異世界転生してるし、そして何故か婚約者が2人?!
しかも婚約者達との関係も最悪で……
まぁ転生しちゃったのでなんとか上手く生きていけるよう頑張ります!
地味女で喪女でもよく濡れる。~俺様海運王に開発されました~
あこや(亜胡夜カイ)
恋愛
新米学芸員の工藤貴奈(くどうあてな)は、自他ともに認める地味女で喪女だが、素敵な思い出がある。卒業旅行で訪れたギリシャで出会った美麗な男とのワンナイトラブだ。文字通り「ワンナイト」のつもりだったのに、なぜか貴奈に執着した男は日本へやってきた。貴奈が所属する博物館を含むグループ企業を丸ごと買収、CEOとして乗り込んできたのだ。「お前は俺が開発する」と宣言して、貴奈を学芸員兼秘書として側に置くという。彼氏いない歴=年齢、好きな相手は壁画の住人、「だったはず」の貴奈は、昼も夜も彼の執着に翻弄され、やがて体が応えるように……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる