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実はもうひとり
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「おかえりなさい、姉様、母上、父上」
帰って出迎えてくれたのはスモール家の留守を任されていた二つ下の弟のトール。まだ成人していないのに誰よりもしっかりした子だ。さらにスモール家でごく稀にある突然変異と言える遺伝子により、スモール家の血を確かに受け継ぎながら背が高い。なんなら皇帝より高い。2メートルだから突然変異にしても度が過ぎる。父や母が言うには所謂先祖返りというものらしい。先祖には背が高い人との結婚で程よい身長の子ができぬかとそれだけのための結婚があったとか。
しかし、スモール家の血は強いようで未だ低い身長を多くが受け継いでいる。とは言っても弟のように背が高い子も稀に生まれるが、極端なのだ。何故背が低すぎるか、高すぎるかなのか。程よい身長がほしいなと思う毎日です。
まあそれはそれとしてトールは逆に目立つのが嫌だからと、本人から心配はいらないと言いながら留守を受け持ったのだ。行くとき念のため遺言も泣きながら渡したが、トールには呆れられただけで心配どころか不安そうな表情ひとつ浮かべず笑顔で私たちを見送った。
自立が早すぎる弟に姉の私の方が泣きそうでした。はい。
「生きて帰れたよ!トール!」
「ああっまた会えて嬉しいわ!トール!」
「トールひとりにさせてごめんねぇっ」
「はいはい、だから大丈夫って言ったでしょ。で、なんで見たこともない馬車と護衛がいるのか聞いても?」
「それが私陛下の妻になったのぉおぉぉ!」
「なるほど……姉様が陛下の……………陛下の???」
さすがのトールも混乱しているようだ。父と母は陛下から解放されて舞踏会に行く前より生きている実感を得たとばかりにトールの足にしがみついて泣きついている。私も同じく。
「失礼ですが、そちらの方は………?」
そんな家族の団らんに口を挟んだのは護衛の代表であろうお方。見上げるほどに高いトールの身長に頬がひきつっているご様子。
「あ、ああ、すみません。スモール家の長男トール・スモールと申します」
「え、あ、兄妹……!?あ、いえ失礼しました、お兄様でいらっしゃいましたか」
「いえ……弟です………」
「おと………!?あの、え、あの………!」
「ははは、よく驚かれるので大丈夫です……。まあ姉とは血の繋がった家族なのでご安心を。調べてもらっても大丈夫です。ただ、その、恐れながら陛下と改めて姉について話すお時間をいただけないかと取り次ぎをお願いしてもよろしいですか?改めてこちらからもお手紙は出しますので」
ああ、なるほどと思う。知らぬ男が自宅にいて陛下の妻になる人が抱きついているから確認したかったのかなと。にしても弟はもはや父よりもスモール家の当主らしい。
しかも自ら陛下に会おうとする度胸………ううっお姉ちゃんはトールのような弟を持てて誇らしいわ!でも命は大事にしないと!
「は、はい!し、失礼いたしました!では、無事お送りできたのも確認いたしましたので失礼いたします」
そうしてようやく城の馬車と護衛ともおさらばできた。
「ほら、もう僕たちだけだからそろそろ泣き止んで?詳しい話も聞きたいし、こんな玄関口で突っ立ったままではなく部屋へ行こう。この三人は僕がなんとかするから君たちは何か気持ちの落ち着くようなお茶の用意を」
「「「はい、すぐにご用意いたします」」」
そうして近くの使用人に指示すれば、泣きつく私たちをトールは歩きにくそうにしながらも慣れた足取りで部屋へ連れていき、そこでようやく自分から離れるように私たちに言い聞かせ、ソファに座らせたのだった。
帰って出迎えてくれたのはスモール家の留守を任されていた二つ下の弟のトール。まだ成人していないのに誰よりもしっかりした子だ。さらにスモール家でごく稀にある突然変異と言える遺伝子により、スモール家の血を確かに受け継ぎながら背が高い。なんなら皇帝より高い。2メートルだから突然変異にしても度が過ぎる。父や母が言うには所謂先祖返りというものらしい。先祖には背が高い人との結婚で程よい身長の子ができぬかとそれだけのための結婚があったとか。
しかし、スモール家の血は強いようで未だ低い身長を多くが受け継いでいる。とは言っても弟のように背が高い子も稀に生まれるが、極端なのだ。何故背が低すぎるか、高すぎるかなのか。程よい身長がほしいなと思う毎日です。
まあそれはそれとしてトールは逆に目立つのが嫌だからと、本人から心配はいらないと言いながら留守を受け持ったのだ。行くとき念のため遺言も泣きながら渡したが、トールには呆れられただけで心配どころか不安そうな表情ひとつ浮かべず笑顔で私たちを見送った。
自立が早すぎる弟に姉の私の方が泣きそうでした。はい。
「生きて帰れたよ!トール!」
「ああっまた会えて嬉しいわ!トール!」
「トールひとりにさせてごめんねぇっ」
「はいはい、だから大丈夫って言ったでしょ。で、なんで見たこともない馬車と護衛がいるのか聞いても?」
「それが私陛下の妻になったのぉおぉぉ!」
「なるほど……姉様が陛下の……………陛下の???」
さすがのトールも混乱しているようだ。父と母は陛下から解放されて舞踏会に行く前より生きている実感を得たとばかりにトールの足にしがみついて泣きついている。私も同じく。
「失礼ですが、そちらの方は………?」
そんな家族の団らんに口を挟んだのは護衛の代表であろうお方。見上げるほどに高いトールの身長に頬がひきつっているご様子。
「あ、ああ、すみません。スモール家の長男トール・スモールと申します」
「え、あ、兄妹……!?あ、いえ失礼しました、お兄様でいらっしゃいましたか」
「いえ……弟です………」
「おと………!?あの、え、あの………!」
「ははは、よく驚かれるので大丈夫です……。まあ姉とは血の繋がった家族なのでご安心を。調べてもらっても大丈夫です。ただ、その、恐れながら陛下と改めて姉について話すお時間をいただけないかと取り次ぎをお願いしてもよろしいですか?改めてこちらからもお手紙は出しますので」
ああ、なるほどと思う。知らぬ男が自宅にいて陛下の妻になる人が抱きついているから確認したかったのかなと。にしても弟はもはや父よりもスモール家の当主らしい。
しかも自ら陛下に会おうとする度胸………ううっお姉ちゃんはトールのような弟を持てて誇らしいわ!でも命は大事にしないと!
「は、はい!し、失礼いたしました!では、無事お送りできたのも確認いたしましたので失礼いたします」
そうしてようやく城の馬車と護衛ともおさらばできた。
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「「「はい、すぐにご用意いたします」」」
そうして近くの使用人に指示すれば、泣きつく私たちをトールは歩きにくそうにしながらも慣れた足取りで部屋へ連れていき、そこでようやく自分から離れるように私たちに言い聞かせ、ソファに座らせたのだった。
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