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大泣きするのも仕方ない
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さて、陛下の前で失礼にも気絶した私はざわざわと騒がしい声で目を覚ますこととなった。
「本当に大丈夫なのか!?急に倒れたんだぞ!もし、嘘だったらお前の命はないと思え!」
「ひぃぃっ」
よっぽど私の近くで叫ばれているのだろう。なんだかふわふわした場所でその時ばかりは気分がよかった私はその声の煩わしさに相手が誰なのか、どういう現状なのか理解せずに叫んだ。
「もうっ!うるさいっ!………ぇ?」
叫んで起き上がれば目の前には目を見開く皇帝こと陛下。そして青ざめた周囲の人たち。
私は寝ぼけていた。でなければこんな生意気な口を陛下に言えるはずもない。そうだ私は急に視界が真っ暗になってそれで………と考え、もうどう考えても殺されても仕方ないという考えにたどり着く。
そして近くに親のいない状況に、まさか先に殺されたのだろうか?このときの私はとにかく寝起きで頭が働いていなかったし、やってしまった感から嫌な考えしか浮かばず…………
「ふえぇぇ………おとうさま………っおかあさまぁぁっ」
泣いた。もう訳のわからない不安に押し潰されて泣くしかない。何故か目の前の陛下はおろおろし始めたが、綺麗な顔つきなのに人を睨みなれたような美形故の怖さと、背が高いだけに成人女性の平均より低い私には威圧感が感じられ、おろおろしてるように見えるのは気のせいだと認識していた。
「あ、お、おい」
「おとうさまぁぁっおかあさまぁぁっ」
とにかくもう父と母を呼びながら泣く以外できず、気にくわないと殺されるならそれはそれでいい父と母の元にいけるならと変な覚悟だけができていた。
「う……っ今すぐスモール家の当主とその夫人を連れてこい!」
「「「はっ」」」
バタバタと急ぎ足でメイドたちが部屋に出ていくのが見える。それはそれとして陛下の命令は泣く私の耳にも入り、すぐに涙を流しながらもぽかんとした。
「お父様、お母様………生きてるん、ですか?」
「あ、ああ、もちろんだ。妻の両親を殺すなんてことはしない」
「妻………?」
「ああ、君のことだ」
妻とは一体と思い首を傾げれば即答され私は思考が停止する。妻……え?私が陛下の………妻?
「え、え、え?」
涙が止まれば次は頭が混乱の渦に。気絶している間に何が?もうわけがわからなくて陛下を見れば綺麗な顔で笑みを浮かべられた。それはそれは凶悪な笑みが。
「ひぇ………っうぅ」
「ど、どうした?」
どう煮て食べてやろうかとそんな恐怖を覚えさせられる笑みは人生初とも言えた。
「わた、わたし、美味しくないです……..!焼いても肉ないし、あと、あと………」
「な、何の話だ……?」
「私、聞いたんです!皇帝様の好物は人肉だって………!」
これ言ってもよかったのだろうか?なんて考えもせず、私は食べられないように必死だった。本当に人肉として食べられるのだと、もはやついていけない状況に私の頭の中はてんやわんや。
「誰だ……そんな噂を流したやつは……!俺は人間を食う趣味はない。妻の君なら、別の意味ならともかく……」
「っ!?」
「あー嘘だ!ああ、嘘だとも!だから泣きそうになるな!君に嫌われるようなことはしないと誓う!」
「……?」
陛下の言い分にほっとしたものの、何故私に嫌われるようなことをしないとわざわざ誓われたのかわからない。もしかして………陛下は意外とお優しい、とか………
と思った陛下の側に残ったメイドや医師らしき人はこの世の終わりを見たかのように青ざめている。噂通りのお人な気がしてならない。寧ろこれは誰?と陛下を見る様子が伺えるくらいにはだんだんと私も冷静になって…………
「「コリー!!」」
「お父様!お母様ぁっ!」
いや、気のせいだった。とりあえず私はお父様お母様に再び会えた喜びにベッドから飛び出して抱きついた。お父様お母様も周囲を気にせず抱き締めてくれてようやく安心できたように思う。陛下の存在をその間忘れるくらいには。
「本当に大丈夫なのか!?急に倒れたんだぞ!もし、嘘だったらお前の命はないと思え!」
「ひぃぃっ」
よっぽど私の近くで叫ばれているのだろう。なんだかふわふわした場所でその時ばかりは気分がよかった私はその声の煩わしさに相手が誰なのか、どういう現状なのか理解せずに叫んだ。
「もうっ!うるさいっ!………ぇ?」
叫んで起き上がれば目の前には目を見開く皇帝こと陛下。そして青ざめた周囲の人たち。
私は寝ぼけていた。でなければこんな生意気な口を陛下に言えるはずもない。そうだ私は急に視界が真っ暗になってそれで………と考え、もうどう考えても殺されても仕方ないという考えにたどり着く。
そして近くに親のいない状況に、まさか先に殺されたのだろうか?このときの私はとにかく寝起きで頭が働いていなかったし、やってしまった感から嫌な考えしか浮かばず…………
「ふえぇぇ………おとうさま………っおかあさまぁぁっ」
泣いた。もう訳のわからない不安に押し潰されて泣くしかない。何故か目の前の陛下はおろおろし始めたが、綺麗な顔つきなのに人を睨みなれたような美形故の怖さと、背が高いだけに成人女性の平均より低い私には威圧感が感じられ、おろおろしてるように見えるのは気のせいだと認識していた。
「あ、お、おい」
「おとうさまぁぁっおかあさまぁぁっ」
とにかくもう父と母を呼びながら泣く以外できず、気にくわないと殺されるならそれはそれでいい父と母の元にいけるならと変な覚悟だけができていた。
「う……っ今すぐスモール家の当主とその夫人を連れてこい!」
「「「はっ」」」
バタバタと急ぎ足でメイドたちが部屋に出ていくのが見える。それはそれとして陛下の命令は泣く私の耳にも入り、すぐに涙を流しながらもぽかんとした。
「お父様、お母様………生きてるん、ですか?」
「あ、ああ、もちろんだ。妻の両親を殺すなんてことはしない」
「妻………?」
「ああ、君のことだ」
妻とは一体と思い首を傾げれば即答され私は思考が停止する。妻……え?私が陛下の………妻?
「え、え、え?」
涙が止まれば次は頭が混乱の渦に。気絶している間に何が?もうわけがわからなくて陛下を見れば綺麗な顔で笑みを浮かべられた。それはそれは凶悪な笑みが。
「ひぇ………っうぅ」
「ど、どうした?」
どう煮て食べてやろうかとそんな恐怖を覚えさせられる笑みは人生初とも言えた。
「わた、わたし、美味しくないです……..!焼いても肉ないし、あと、あと………」
「な、何の話だ……?」
「私、聞いたんです!皇帝様の好物は人肉だって………!」
これ言ってもよかったのだろうか?なんて考えもせず、私は食べられないように必死だった。本当に人肉として食べられるのだと、もはやついていけない状況に私の頭の中はてんやわんや。
「誰だ……そんな噂を流したやつは……!俺は人間を食う趣味はない。妻の君なら、別の意味ならともかく……」
「っ!?」
「あー嘘だ!ああ、嘘だとも!だから泣きそうになるな!君に嫌われるようなことはしないと誓う!」
「……?」
陛下の言い分にほっとしたものの、何故私に嫌われるようなことをしないとわざわざ誓われたのかわからない。もしかして………陛下は意外とお優しい、とか………
と思った陛下の側に残ったメイドや医師らしき人はこの世の終わりを見たかのように青ざめている。噂通りのお人な気がしてならない。寧ろこれは誰?と陛下を見る様子が伺えるくらいにはだんだんと私も冷静になって…………
「「コリー!!」」
「お父様!お母様ぁっ!」
いや、気のせいだった。とりあえず私はお父様お母様に再び会えた喜びにベッドから飛び出して抱きついた。お父様お母様も周囲を気にせず抱き締めてくれてようやく安心できたように思う。陛下の存在をその間忘れるくらいには。
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