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エンド後ストーリー~医療発展エンド~
君が生まれ変わったら
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物語のように聞かされた残酷な真実。
狂えたならどんなに楽だろうか……そんな風に思ってしまう。例え病で短い命だったとしてもマリアの命を奪ったのは僕だ。
周りに流されたところもあるなんていうのは言い訳でしかない。処刑を実行した罪は償うべきだ。
死んで償う?
違う、きっとマリアは望まない。マリアの母親の旅立ちの日から、誰よりも死を望んでいなかったはずだから。
ならば自ら不幸を被る?
それも違うだろう。マリアは誰も悲しまないでほしいからこそ悪役となったのだから……。
マリアを……忘れること?
忘れてほしい人ならわざわざ公開処刑を望むだろうか。
わかっている。マリアがそんな償いを求めていないのは。だけど、罪を……罰を欲しがってしまうんだ。そうでもしないと心が……壊れそうだから。
「何故……マリア様たちの病は手がかりひとつ見つからないんでしょうか……。延命治療の手立てばかりでした。それも予定より数日伸ばす程度………見つかりさえすればマリア様は……」
処刑なんて望まなかっただろう。……考えたところで何も取り戻せないというのに僕はバカだ。
病……病か。人は死んだら転生するのだろうか?それともそれは夢物語……なんだろうか?
もし、マリアが生まれ変わるなら……次は健康に生まれてほしい。でもまたしても病気だったら?同じ病気で苦しんだら?
未来なんて誰にもわからない。夢物語にすがってみようかなんて思う。
「世界中の未知の病を解明しよう」
「それは素晴らしいですね」
「王太子殿下……」
神父と医師がそれぞれ声を出す。医師からすれば今更……となるのだろう。遅いかもしれないが、また遅かったとならないよう思ったときにはしていきたい。
国民を幸せにするのが未来の僕だから。マリアのように病を苦しむ人たちを救わなければ。夢物語だけで終わらせてはいけない。きっかけは夢物語だとしても。
それが………きっとそれがいいと思う。僕にとってもマリアにとっても。
「この国はずっと平和であればいいと単純に思っていた。けど………今は思う。平和だけじゃない、争いはなくてもマリアのように苦しむ人たちもいるんだと。だから、医療の国と言われるくらいに健康で平和な国をつくりたい。いや、つくっていく」
命の重みを知ったから。だから、こうして決意ができた。処刑をした僕が言えたことではないのはわかってる。けど、自分の命令で手にかけたからこそ重いのだ……物凄く。大切な人の死は。
処刑じゃなく、病死だったとしても、何もできない自分は命の重みを感じたことだろう。
今更、本当に今更だ。
だけど、今更ながらに僕は権力から何まで使えるものは使い、国の仕事をちょっとずつ任されながらも医療発展に尽力した。計画書類まで仕上げて必要性も訴えて。
そうして建てられた医療開発部では医療発展に協力的な医師を探しだし、最初こそ未知の病をあげていった後、対処法を調べて考え、話し合ったりと無駄な時間は一切なかった。
お陰さまで数年後には未知の病は数を減らしていき、それこそ今更マリアの病だった治療法も発見され、発見できた日には何度も泣いた。
もっと早くに発見できていたならと。数年経った今でも思ってしまう。
「まりあのね、びょーき、まえはなおらないものだったんだって」
「いまはなおるの?」
「うん!いまのおうじさまががんばってくれたんだって!まりあ、びょーきといっぱいたたかうんだ!」
たまに視察で訪れる病院の扉越しに聞こえた元気な子供の声。まりあと言う女の子はマリアと同じ病気で、名前まで一緒だったから気になって盗み聞きしてしまった。丸聞こえだったけれど。
でも、おかげで違うのはわかっているのに、僕の知るマリアを少し助けられた気がするのは………傲慢だろうか。
「マリア……」
君を想い、今日もひとりでも多くの命を助けるよ。
END
あとがき
医療……発展エンド?
なんか、難しくなってしまいました。
書くやる気が体調崩したため、低下いたしました。なのでここにて完結といたします。
気が向けばまた再開するかもしれませんが………ここまでありがとうございました!
狂えたならどんなに楽だろうか……そんな風に思ってしまう。例え病で短い命だったとしてもマリアの命を奪ったのは僕だ。
周りに流されたところもあるなんていうのは言い訳でしかない。処刑を実行した罪は償うべきだ。
死んで償う?
違う、きっとマリアは望まない。マリアの母親の旅立ちの日から、誰よりも死を望んでいなかったはずだから。
ならば自ら不幸を被る?
それも違うだろう。マリアは誰も悲しまないでほしいからこそ悪役となったのだから……。
マリアを……忘れること?
忘れてほしい人ならわざわざ公開処刑を望むだろうか。
わかっている。マリアがそんな償いを求めていないのは。だけど、罪を……罰を欲しがってしまうんだ。そうでもしないと心が……壊れそうだから。
「何故……マリア様たちの病は手がかりひとつ見つからないんでしょうか……。延命治療の手立てばかりでした。それも予定より数日伸ばす程度………見つかりさえすればマリア様は……」
処刑なんて望まなかっただろう。……考えたところで何も取り戻せないというのに僕はバカだ。
病……病か。人は死んだら転生するのだろうか?それともそれは夢物語……なんだろうか?
もし、マリアが生まれ変わるなら……次は健康に生まれてほしい。でもまたしても病気だったら?同じ病気で苦しんだら?
未来なんて誰にもわからない。夢物語にすがってみようかなんて思う。
「世界中の未知の病を解明しよう」
「それは素晴らしいですね」
「王太子殿下……」
神父と医師がそれぞれ声を出す。医師からすれば今更……となるのだろう。遅いかもしれないが、また遅かったとならないよう思ったときにはしていきたい。
国民を幸せにするのが未来の僕だから。マリアのように病を苦しむ人たちを救わなければ。夢物語だけで終わらせてはいけない。きっかけは夢物語だとしても。
それが………きっとそれがいいと思う。僕にとってもマリアにとっても。
「この国はずっと平和であればいいと単純に思っていた。けど………今は思う。平和だけじゃない、争いはなくてもマリアのように苦しむ人たちもいるんだと。だから、医療の国と言われるくらいに健康で平和な国をつくりたい。いや、つくっていく」
命の重みを知ったから。だから、こうして決意ができた。処刑をした僕が言えたことではないのはわかってる。けど、自分の命令で手にかけたからこそ重いのだ……物凄く。大切な人の死は。
処刑じゃなく、病死だったとしても、何もできない自分は命の重みを感じたことだろう。
今更、本当に今更だ。
だけど、今更ながらに僕は権力から何まで使えるものは使い、国の仕事をちょっとずつ任されながらも医療発展に尽力した。計画書類まで仕上げて必要性も訴えて。
そうして建てられた医療開発部では医療発展に協力的な医師を探しだし、最初こそ未知の病をあげていった後、対処法を調べて考え、話し合ったりと無駄な時間は一切なかった。
お陰さまで数年後には未知の病は数を減らしていき、それこそ今更マリアの病だった治療法も発見され、発見できた日には何度も泣いた。
もっと早くに発見できていたならと。数年経った今でも思ってしまう。
「まりあのね、びょーき、まえはなおらないものだったんだって」
「いまはなおるの?」
「うん!いまのおうじさまががんばってくれたんだって!まりあ、びょーきといっぱいたたかうんだ!」
たまに視察で訪れる病院の扉越しに聞こえた元気な子供の声。まりあと言う女の子はマリアと同じ病気で、名前まで一緒だったから気になって盗み聞きしてしまった。丸聞こえだったけれど。
でも、おかげで違うのはわかっているのに、僕の知るマリアを少し助けられた気がするのは………傲慢だろうか。
「マリア……」
君を想い、今日もひとりでも多くの命を助けるよ。
END
あとがき
医療……発展エンド?
なんか、難しくなってしまいました。
書くやる気が体調崩したため、低下いたしました。なのでここにて完結といたします。
気が向けばまた再開するかもしれませんが………ここまでありがとうございました!
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ありがとうございましたm(。≧Д≦。)m
我が儘言ってすみません。でもおかげで素敵なお話と触れあえて幸せでした。
まずは体調回復なさってください。
またお話楽しみにお待ち申し上げます。
ありがとうございます!いつも励まされております!
医療発展エンド、多分これが一番マリアが喜ぶ未来なんじゃないかなーと。
彼女自身、母親と同じ病気で将来を悲観したわけですし、確か自分でも時間さえ残っていれば治療法を探して同じ病気の人の役に立ちたい、みたいなこと言ってましたよね?
一読者としても、将来に希望が持てる終わり方で、メリバだとしても前向きに終われる読後感の爽やかなエンドと言えると思います。
ということで、しばらくはお大事に療養なさって下さいな。作者まで病気に倒れたとあってはマリアもきっと泣きますよ?( ̄∀ ̄;
確かに言ってた気がします(うろ覚え)
最後にするならまあ、希望あるエンドかなと………一番希望あるパターンでしたね
病気というほどではないので明日は休みだし、ゆっくりします……。
医療発展エンド、有り難うございますヽ(;▽;)ノ。私にはこれが一番希望有るエンドでした。
確かに!にしても、もう少し長くするつもりが短く……ご満足いただけたらと思います!