5 / 8
エンド後ストーリー~廃人エンド~【完結】
無知なる罪~元婚約者視点~
しおりを挟む
まるで物語のように語られた僕の知らないマリアの話。
命を奪っていく治療法のない病?ならば処刑などなくてもマリアは死ぬ運命にあったということ。それを悟られないために処刑されるようマリアは周りを誘導………したのだろうか?
周りに押されるままどこかでマリアを改心さえするならば周りを押し切って助けよう!なんてあまりに甘い考えだったと知った。
もっともっとしつこいくらいにマリアに問いただすべきだっただろうか?何故自分に何も話さない?なんて甘えた考えは捨て、注意深くマリアを見るようにしていたら?
少しの異変にも気づいてマリアの死を待つ苦しみを和らげることができただろうか?考えても考えてもマリアに死を与えてしまったのは僕だ。もういいと最後の言葉を聞きたくないと決断を下した僕だ。病気でもマリア自身でもない。マリアを信じきれなかった自分のせい。
未遂犯罪で出た数多くの証拠や証言に本当におかしなところはなかっただろうか?後悔ばかりが押し寄せて、ふと死ぬ前に聞こえなかったマリアの最後の呟きが記憶から呼び起こされる。
『どうか、お幸せに』
最後の最後昔のマリアを見た気がしていた。自分の願望かもしれないと忘れようとした。口の動きがそう見えただけだと。
でも今ならわかる。あれは最後の最後で塗り固めた仮面を脱いだ本当のマリアだったのだと。僕が救いたかったマリアなのだと。
「マリア……すまない……マリア、愛しているんだ、昔も今も」
実は一目惚れだったとマリアは知っているだろうか?知らないかもしれない。言えばよかった。どんなに悪さをして突き放されようとどんな君も愛していると。
今の婚約者は互いに友人以上に想うことのない別の人を想う片想いの同士なのだと。マリアが王妃になりたくないのかもしれない、僕を嫌いになってしまったのかもしれないと考えたんだ。
ならばマリアを自由にもできる。君を諦めるから、罪をもう犯す必要はない。しっかり改心して君の本当の幸せを思い出してほしいと思っていた。最後まで意地を張るように見える君を見ることがたまらなく辛かった。
けど、本当に辛かったのはマリアだ。マリアの隠す本心を知りたいなんて意地になっていたのは僕じゃないか。
「酷なことを言います。これは王太子殿下が選んだ道です。これは私が見た私の真実。マリア様の思う真実は違うところがあるかもしれません。しかし、マリア様を想うならその想いは消してください。それがマリア様の願いです。自分が死んだ後に誰も悲しんでほしくないがために、国の代表悪のように自分を捨ててまで貫き通したマリア様の願いです。処刑を決断した貴方まで悲しんでしまえば、マリア様は何のために苦しんだまま死なれたのですか?」
ああ、悲しむことすら許されないとはなんて辛いことなんだろう。これが甘い僕への罰なら、マリアのための涙ひとつ許されない罰ならば………それは、何よりも辛い罰だ。
君を想うことも君の死を悲しむことも、後悔することすら許されない。許されない罪を僕はした。
でも何も思わないことで、君の人生が無駄ではなかったと、願いが叶うと言うのなら、僕は何も………何も感じない、考えないようになろう。
そう……何も。
「マリア………君の願いを……せめて」
「王太子殿下?」
暗い暗い海の底へ沈んでいく意識。それくらいしないと僕は君を忘れ、何も思わないなんてできないから………。
それくらいに本当は君が…………
あれ、君とは一体………誰だっけ
ああ、世界は今日も灰色だ。
END
あとがき
これは廃人………エンドになるのだろうか?まあ深くは考えないでください。
皆さん色々なエンドを考えてくださるのでいっそ終わりを分岐させてみることにしました。書けそうなものに限りますが。
まずは全てを忘れ、世界の輝きすらもわからなくなる廃人?エンドです。
好みのエンディングが見つかれば幸いです。
命を奪っていく治療法のない病?ならば処刑などなくてもマリアは死ぬ運命にあったということ。それを悟られないために処刑されるようマリアは周りを誘導………したのだろうか?
周りに押されるままどこかでマリアを改心さえするならば周りを押し切って助けよう!なんてあまりに甘い考えだったと知った。
もっともっとしつこいくらいにマリアに問いただすべきだっただろうか?何故自分に何も話さない?なんて甘えた考えは捨て、注意深くマリアを見るようにしていたら?
少しの異変にも気づいてマリアの死を待つ苦しみを和らげることができただろうか?考えても考えてもマリアに死を与えてしまったのは僕だ。もういいと最後の言葉を聞きたくないと決断を下した僕だ。病気でもマリア自身でもない。マリアを信じきれなかった自分のせい。
未遂犯罪で出た数多くの証拠や証言に本当におかしなところはなかっただろうか?後悔ばかりが押し寄せて、ふと死ぬ前に聞こえなかったマリアの最後の呟きが記憶から呼び起こされる。
『どうか、お幸せに』
最後の最後昔のマリアを見た気がしていた。自分の願望かもしれないと忘れようとした。口の動きがそう見えただけだと。
でも今ならわかる。あれは最後の最後で塗り固めた仮面を脱いだ本当のマリアだったのだと。僕が救いたかったマリアなのだと。
「マリア……すまない……マリア、愛しているんだ、昔も今も」
実は一目惚れだったとマリアは知っているだろうか?知らないかもしれない。言えばよかった。どんなに悪さをして突き放されようとどんな君も愛していると。
今の婚約者は互いに友人以上に想うことのない別の人を想う片想いの同士なのだと。マリアが王妃になりたくないのかもしれない、僕を嫌いになってしまったのかもしれないと考えたんだ。
ならばマリアを自由にもできる。君を諦めるから、罪をもう犯す必要はない。しっかり改心して君の本当の幸せを思い出してほしいと思っていた。最後まで意地を張るように見える君を見ることがたまらなく辛かった。
けど、本当に辛かったのはマリアだ。マリアの隠す本心を知りたいなんて意地になっていたのは僕じゃないか。
「酷なことを言います。これは王太子殿下が選んだ道です。これは私が見た私の真実。マリア様の思う真実は違うところがあるかもしれません。しかし、マリア様を想うならその想いは消してください。それがマリア様の願いです。自分が死んだ後に誰も悲しんでほしくないがために、国の代表悪のように自分を捨ててまで貫き通したマリア様の願いです。処刑を決断した貴方まで悲しんでしまえば、マリア様は何のために苦しんだまま死なれたのですか?」
ああ、悲しむことすら許されないとはなんて辛いことなんだろう。これが甘い僕への罰なら、マリアのための涙ひとつ許されない罰ならば………それは、何よりも辛い罰だ。
君を想うことも君の死を悲しむことも、後悔することすら許されない。許されない罪を僕はした。
でも何も思わないことで、君の人生が無駄ではなかったと、願いが叶うと言うのなら、僕は何も………何も感じない、考えないようになろう。
そう……何も。
「マリア………君の願いを……せめて」
「王太子殿下?」
暗い暗い海の底へ沈んでいく意識。それくらいしないと僕は君を忘れ、何も思わないなんてできないから………。
それくらいに本当は君が…………
あれ、君とは一体………誰だっけ
ああ、世界は今日も灰色だ。
END
あとがき
これは廃人………エンドになるのだろうか?まあ深くは考えないでください。
皆さん色々なエンドを考えてくださるのでいっそ終わりを分岐させてみることにしました。書けそうなものに限りますが。
まずは全てを忘れ、世界の輝きすらもわからなくなる廃人?エンドです。
好みのエンディングが見つかれば幸いです。
16
お気に入りに追加
438
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢の大きな勘違い
神々廻
恋愛
この手紙を読んでらっしゃるという事は私は処刑されたと言う事でしょう。
もし......処刑されて居ないのなら、今はまだ見ないで下さいまし
封筒にそう書かれていた手紙は先日、処刑された悪女が書いたものだった。
お気に入り、感想お願いします!
婚約破棄を望むなら〜私の愛した人はあなたじゃありません〜
みおな
恋愛
王家主催のパーティーにて、私の婚約者がやらかした。
「お前との婚約を破棄する!!」
私はこの馬鹿何言っているんだと思いながらも、婚約破棄を受け入れてやった。
だって、私は何ひとつ困らない。
困るのは目の前でふんぞり返っている元婚約者なのだから。
婚約破棄してくださって結構です
二位関りをん
恋愛
伯爵家の令嬢イヴには同じく伯爵家令息のバトラーという婚約者がいる。しかしバトラーにはユミアという子爵令嬢がいつもべったりくっついており、イヴよりもユミアを優先している。そんなイヴを公爵家次期当主のコーディが優しく包み込む……。
※表紙にはAIピクターズで生成した画像を使用しています


【コミカライズ】今夜中に婚約破棄してもらわナイト
待鳥園子
恋愛
気がつけば私、悪役令嬢に転生してしまったらしい。
不幸なことに記憶を取り戻したのが、なんと断罪不可避の婚約破棄される予定の、その日の朝だった!
けど、後日談に書かれていた悪役令嬢の末路は珍しくぬるい。都会好きで派手好きな彼女はヒロインをいじめた罰として、都会を離れて静かな田舎で暮らすことになるだけ。
前世から筋金入りの陰キャな私は、華やかな社交界なんか興味ないし、のんびり田舎暮らしも悪くない。罰でもなく、単なるご褒美。文句など一言も言わずに、潔く婚約破棄されましょう。
……えっ! ヒロインも探しているし、私の婚約者会場に不在なんだけど……私と婚約破棄する予定の王子様、どこに行ったのか、誰か知りませんか?!
♡コミカライズされることになりました。詳細は追って発表いたします。

皇太子殿下の御心のままに~悪役は誰なのか~
桜木弥生
恋愛
「この場にいる皆に証人となって欲しい。私、ウルグスタ皇太子、アーサー・ウルグスタは、レスガンティ公爵令嬢、ロベリア・レスガンティに婚約者の座を降りて貰おうと思う」
ウルグスタ皇国の立太子式典の最中、皇太子になったアーサーは婚約者のロベリアへの急な婚約破棄宣言?
◆本編◆
婚約破棄を回避しようとしたけれど物語の強制力に巻き込まれた公爵令嬢ロベリア。
物語の通りに進めようとして画策したヒロインエリー。
そして攻略者達の後日談の三部作です。
◆番外編◆
番外編を随時更新しています。
全てタイトルの人物が主役となっています。
ありがちな設定なので、もしかしたら同じようなお話があるかもしれません。もし似たような作品があったら大変申し訳ありません。
なろう様にも掲載中です。

【改稿版】婚約破棄は私から
どくりんご
恋愛
ある日、婚約者である殿下が妹へ愛を語っている所を目撃したニナ。ここが乙女ゲームの世界であり、自分が悪役令嬢、妹がヒロインだということを知っていたけれど、好きな人が妹に愛を語る所を見ていると流石にショックを受けた。
乙女ゲームである死亡エンドは絶対に嫌だし、殿下から婚約破棄を告げられるのも嫌だ。そんな辛いことは耐えられない!
婚約破棄は私から!
※大幅な修正が入っています。登場人物の立ち位置変更など。
◆3/20 恋愛ランキング、人気ランキング7位
◆3/20 HOT6位
短編&拙い私の作品でここまでいけるなんて…!読んでくれた皆さん、感謝感激雨あられです〜!!(´;ω;`)

悪役令嬢を追い込んだ王太子殿下こそが黒幕だったと知った私は、ざまぁすることにいたしました!
奏音 美都
恋愛
私、フローラは、王太子殿下からご婚約のお申し込みをいただきました。憧れていた王太子殿下からの求愛はとても嬉しかったのですが、気がかりは婚約者であるダリア様のことでした。そこで私は、ダリア様と婚約破棄してからでしたら、ご婚約をお受けいたしますと王太子殿下にお答えしたのでした。
その1ヶ月後、ダリア様とお父上のクノーリ宰相殿が法廷で糾弾され、断罪されることなど知らずに……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる