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38~ミリーナ視点~
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そんなゼロとは違い、息子のイチはクリスに似たのかあまりにもつまらない存在。クリスはイチを可愛がったけれど、私は表面的な可愛がりだけで感情豊かなイチが苦手だった。
観察する気にもなれない。だから……自我をなくす薬を使用してみた。キャロエの存在を知るまで隠れた場所で小動物を実験体にして薬の研究をしていた。つまらない観察になりかけたときに使えるかもしれない……そう考えて。
しかし、自ら手を出すのは最終手段。あくまで観察が私の絶対。人の不幸に行き過ぎた手出しで思い通りになりすぎても楽しくはないのだから。
だからこそ予想外で私の望む以上の結果を残したゼロは私にとって最高の観察人物。
ちなみにその時、ゼロとイチが出会いはしたものの、イチは薬のせいでぼーっとしており、ゼロはゼロで母のことが気になるのか、大してゼロが会釈したくらいで会話をせずに終わった。
そうしてキャロエがついに殺人を……と聞いたのだ。お義母様は確実にキャロエではあるが、お義父様はゼロだということを知らずにまんまとキャロエはそう騙したということ。
キャロエが息子を庇ったことにも驚いたけれど、それはそれでキャロエも無意識に母親として子供を守らなければならない意識にさせられでもしたのだろうか?と少し考えさせられた。
イチに私がそう思うときが来るのだろうか……?そう思ったが、守るどころか薬を与えてコントロールしようとするような私がそんなはずはないと考え直す。
薬の量が子供には多かったのか、あまりにぼーっとするイチにクリスが怪しむため、体調不良として風邪薬と偽って解毒剤を少量飲ませたりと、自分が怪しまれないために調整することしか考えない私が、息子のためにを思って何かするなんて………ひとかけらも思わない。
興味のある何かをしてくれるならば見方が変わるかもしれないけれど。守りたい……だなんて思う日が来るとは思えない。
その点、どんなに憎む自分の子でも殺人を庇おうとしたキャロエの心情が気になって仕方なかった。私に誰にも話すなと言われてゼロが話したことをバラす形にはなったが、気にするつもりはない。
親子関係がより破綻するのは私にとって望ましいのだから。
だから、手紙で聞いた。
『何故子供を庇ったの?』
何の捻りもなく、私は事実を知っていると暗に伝えながら直球で。
誰かにバラすつもりはない。証拠もないし、見たわけでもなければ、ハワードとクリスが動いて事件を有耶無耶にしたから。
死体処理も立派な犯罪なのに。キャロエのためにそこまでする二人もまたいい観察対象だ。
観察する気にもなれない。だから……自我をなくす薬を使用してみた。キャロエの存在を知るまで隠れた場所で小動物を実験体にして薬の研究をしていた。つまらない観察になりかけたときに使えるかもしれない……そう考えて。
しかし、自ら手を出すのは最終手段。あくまで観察が私の絶対。人の不幸に行き過ぎた手出しで思い通りになりすぎても楽しくはないのだから。
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だから、手紙で聞いた。
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誰かにバラすつもりはない。証拠もないし、見たわけでもなければ、ハワードとクリスが動いて事件を有耶無耶にしたから。
死体処理も立派な犯罪なのに。キャロエのためにそこまでする二人もまたいい観察対象だ。
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