みんなもやってるから浮気ですか?なら、みんながやってるので婚約破棄いたしますね

荷居人(にいと)

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36~ミリーナ視点~

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ああ、私の日記が読まれていく。でも今更止められはしないし、止める気もはい。

キャロエの存在を知ってから、ハワードと会うように仕向け、二人が関わっていくのを見てタイミングを見計らってキャロエに復讐の相手を伝えた。

その時の一回だけだ。まだゼロの生んでいないキャロエに出会ったのは。

我ながらよいタイミングだったと思う。信じられないと言いながら、絶望したような瞳は今でも思い出せる。人の死とは別で、人間を見る中では一番好きな表情にぞくぞくした。

別に信じなくてもよかった。キャロエは孤独な存在だったから、余計なことを言う周りの人間はいないし、疑いさえ持てば、最初はそれで十分。

愛とやらが続くか見物であったし、今まで幸せそうだった二人がぎくしゃくし、幸せの崩れていく瞬間を眺めているだけでも私は楽しかった。

これが復讐となり、血生臭い話となればより楽しいだろうなんて思いながら。

そんな中でハワードは、ぎくしゃくする前に放った種が幸か不幸か、キャロエのお腹に子を宿したことで、どこかぎくしゃくした関係から感じとれずにはいられなかったハワードは、自分のした過ちを勇気を持って話すべきか悩んでいたから、私は二人を繋ぐ子供が二人の愛を紡いでくれるはずと背中を押した。

子が堕ろせなくなったタイミングで。

どちらにしろキャロエはハワードなしでは孤独。子供を堕ろせたとしても、キャロエはハワードから離れられなかっただろう。そういう確信があった。

ハワードがいなければ罪の子に逆戻りなのだから。進んでも去っても地獄。キャロエはまさに私の観察という名の実験材料に相応しいと感じ、文通を始めた。

『復讐を手伝いましょうか?真実を教えたものより』

そんな手紙を最初に送って。

キャロエからは、最悪返信は来ないとも考えていたけれど、案外早くに、いつか耐えきれなくなったときには……と返事が来たので、私は確信せずにはいられなかった。

すでにキャロエには復讐の炎が心の中で育ちつつあると。

キャロエにも自覚はあったのだろう。その文通を最初に、ときどき子を愛せない、ゼロに罪はないのにといった懺悔か何かよくわからないものが届くようになった。

急に現れた怪しいやつでも、両親の処刑の後、孤独に生きてきたキャロエにとっての捌け口が私しかいなかった証拠。

それだけキャロエは追い詰められていた。だからこそしばらくはその手紙とときどき隠れて様子を見に行くだけで私は満足できていた。………そう、しばらくは。
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