婚約破棄は想定済みでしたので利用させていただきました

荷居人(にいと)

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しかし、バカの拳が当たることはなかった。衝撃が来なかったことで目を開けた私が見たものは男性の背中だった。

「令嬢に暴力まで振るうとなればより自身の価値を下げるとも考えないんだろうね、君は」

「なんだお前は!そこを退け!」

どうやら目の前の男性は、颯爽と御伽話の王子様のように私のような成金令嬢を庇ってくれたようである。

「どなたか存じませんが庇ってくださりありがとうございます」

「いえ、好む令嬢を庇うのは当然のことですから」

「まあ」

まさか成金令嬢と言われる私を好むとは………………お金目当てかしら?助かった分お礼はしますけどときめきはしなかったわ。

「おい!無視するな!俺を誰だと」

「「バカの暴力男」」

「あら」

「おや、気が合いますね」

思わずハモったことでチラッと男性はこちらに顔を向けて私ははっとした。後ろ姿でわからなかったけれどこの美形男子……えぇ?さっきから周りがざわついてたのは急に暴力に出ようとしたバカに対してかと思っていたけれど、そういうことだったのね……。

「気づくのが遅れてすみません、公爵閣下。庇ってくださり改めて感謝申し上げます」

「いえいえ後ろ姿では判断つかないのも仕方ありませんよ。侯爵は目の前で見てもわかっていないようでしたし」

「公爵……だと?」

バカな男は本当にわからなかったらしい。元第三王子であり、幼い内から継承権を自ら放棄後、子のいない公爵の後継ぎとして公爵家の輪に入り、成人間も無くすぐ公爵の当主になり、さらには国王陛下の相談役も担える天才中の天才、若きイケメン公爵ルウト・キーン様を。月とスッポンとはこういうことだろう。

「なんだお前はそこを退け!おい!無視をするな!俺を誰だと……でしたっけ?侯爵当主ともあろう人が身分の上の方に随分無礼なお言葉を言ってたように思うんですけれど……」

これはチャンスとばかりにぽかんとするバカを私は言葉で叩く。いくら計画通りとはいえ、今までの鬱憤を晴らせる場があるなら私は容赦しない。正直私はこの男が嫌いで仕方ないのだ。恩を仇で返すクズ以前に大して偉くもないくせに人を見下す様が。それに惚れてる演技はどれだけ吐き気を催したか。

「いや、これは……そのこ、公爵様が何故その女を……」

その女とは随分な言いようである。借金あげてやろうかしら。

「先に言いたいのはそれかい?」

「え」

まずは謝罪が先だろうに、やっぱり優秀と思っていた今までは目の錯覚だったに違いない。










ーーーーーーーーーー
熱で寝込んでました。まだ本調子ではないですが少しずつ励みます。






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感想 5

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みんなの感想(5件)

kingashinnen
2024.12.08 kingashinnen

早く元気になってくださいね。
続き楽しみにしてます( *´꒳`* )

2024.12.08 荷居人(にいと)

ありがとうございます……気圧や気温の急激な変化が辛いですがなんとかやってます

解除
セリ
2023.10.07 セリ

偏頭痛大丈夫ですか?
早く良くなる事祈ってます。

2023.10.10 荷居人(にいと)

大分よくなりました。ありがとうございます

解除
灰雲
2023.09.13 灰雲

更新よりも体調を優先してくださいませ。

2023.10.10 荷居人(にいと)

ありがとうございます

解除

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