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「婚約破棄しようと私を諦めず愛を貫けるかをだな……」
婚約破棄したらそれで終わりだというのにバカなんだろうか?前侯爵当主よりは優秀と思っていたけど、所詮バレバレな不貞をするような男というわけね。
「貫く愛もないので戯言はそれくらいに。それにもっとマシな言い訳はなかったのですか?ああ、それと婚約破棄による契約違反もですが、不貞を働いた場合の慰謝料もいただかなくては」
「不貞とはなんの……」
「証拠ならありましてよ。私の家の事業でキャメラという絵を映しとる商品があることはご存知かと思うんですが、その素晴らしい技術により最近キャメラは裁判の証拠品として扱われることを許可されたので、使わないわけがないですよね!さて皆様にはこのどくず男の不貞の瞬間をお見せしましょう!」
「お、おいやめろ!」
私は隠し持っていた写真をばら撒く。このバカが悪女とキスをするという徹底的な瞬間を。ヒロインも巻き添えだけど気にする理由はない。
不貞男は私を止めようと動くがお金のためならいくらだって速くなれる私を止められはしない。不貞の証拠と共にこれはキャメラという商品の紹介でもある。正直不貞男からお金をぶんどるだけでは割に合わないと考えていた私が前々から計画していたこと。
まあキャメラというが前世ではカメラという商品だったそれと同じアイテムだ。作り方なんか知りもしなかったもののこの世界には便利な魔法というものがあり、魔道具として作れば割と簡単にできてしまうのだから魔法ってすごい。
寧ろ今までカメラのようなものがなかったのが不思議なくらいだ。
「これはまるで景色が切り取られたかのように鮮明だ」
そうでしょうそうでしょう。不貞の瞬間以上に映像の鮮明さに驚くのも無理はない。
「人物画とはまた違うのね……にしても政略的なものとはいえ、婚約者がいながら白昼堂々と侯爵家のものが……」
ええ、そうなの。真昼間から激しいディープなのを見た時は吐きかけたわ。
「この女性婚約者ハンターでは?」
そうそう婚約者ハンター……え?婚約者ハンター?
「ああ、婚約者だけを狙い不貞を持ちかける魅惑の魔女こと婚約者ハンターと言われている令嬢か」
え、何?ヒロインそんな呼ばれ方を?初耳なのだけど。とはいえそのあだ名つけた人、すごく友達になりたいわ。いいセンスしてる。
「確かこの婚約者ハンターの手に堕ちた男は将来的に期待できない男に確定されると言われているな」
何その悪の親玉感。ヒロイン貴女……何を目指していたらそんな風に言われるわけ??
「まあ実際こんな祝いの場で婚約破棄を一方的にしてあれだけしてやられるんだから若くして当主になったとはいえ、結局その程度。今後の家付き合いは見直した方がよろしいかもしれませんね」
不貞暴露、商品宣伝以上に収穫があった模様。ヒロインいい仕事するじゃない。この不貞男をより地獄へ落とせるなんてただの悪女じゃなかったわけね。話題にのぼるヒロインだからこそこんな噂までできたのだろう。お金になればそれでよかったけどおかげでそれ以上の収穫を得たわ。
元々ない愛とはいえ、この不貞男を陥れるくらいの罰を与えたかった気持ちはあったから。正直下手な演技に付き合わされたあげくに、裏でいい気になっていたこの男が私は心底嫌いだった。だからこそこの日を待ち侘びていたのだ。
「なんで……なんでこんな……」
「私をちょろい女とバカにした結果ですわ」
「……!き、聞いていたのか」
「ええ、何度もね」
「あ、あれは……訂正する。だからその……」
自分が絶望的状況であると理解しているからか顔は真っ青を通り越して真っ白な顔でこちらを伺うのがわかる。今更伺ったところでだけど。
本来の物語で彼は私を助けないのだから私だって彼を助ける理由はない。
「訂正よりもお金をくださいな」
そういうわけでにっこりと私は彼にそう告げた。
婚約破棄したらそれで終わりだというのにバカなんだろうか?前侯爵当主よりは優秀と思っていたけど、所詮バレバレな不貞をするような男というわけね。
「貫く愛もないので戯言はそれくらいに。それにもっとマシな言い訳はなかったのですか?ああ、それと婚約破棄による契約違反もですが、不貞を働いた場合の慰謝料もいただかなくては」
「不貞とはなんの……」
「証拠ならありましてよ。私の家の事業でキャメラという絵を映しとる商品があることはご存知かと思うんですが、その素晴らしい技術により最近キャメラは裁判の証拠品として扱われることを許可されたので、使わないわけがないですよね!さて皆様にはこのどくず男の不貞の瞬間をお見せしましょう!」
「お、おいやめろ!」
私は隠し持っていた写真をばら撒く。このバカが悪女とキスをするという徹底的な瞬間を。ヒロインも巻き添えだけど気にする理由はない。
不貞男は私を止めようと動くがお金のためならいくらだって速くなれる私を止められはしない。不貞の証拠と共にこれはキャメラという商品の紹介でもある。正直不貞男からお金をぶんどるだけでは割に合わないと考えていた私が前々から計画していたこと。
まあキャメラというが前世ではカメラという商品だったそれと同じアイテムだ。作り方なんか知りもしなかったもののこの世界には便利な魔法というものがあり、魔道具として作れば割と簡単にできてしまうのだから魔法ってすごい。
寧ろ今までカメラのようなものがなかったのが不思議なくらいだ。
「これはまるで景色が切り取られたかのように鮮明だ」
そうでしょうそうでしょう。不貞の瞬間以上に映像の鮮明さに驚くのも無理はない。
「人物画とはまた違うのね……にしても政略的なものとはいえ、婚約者がいながら白昼堂々と侯爵家のものが……」
ええ、そうなの。真昼間から激しいディープなのを見た時は吐きかけたわ。
「この女性婚約者ハンターでは?」
そうそう婚約者ハンター……え?婚約者ハンター?
「ああ、婚約者だけを狙い不貞を持ちかける魅惑の魔女こと婚約者ハンターと言われている令嬢か」
え、何?ヒロインそんな呼ばれ方を?初耳なのだけど。とはいえそのあだ名つけた人、すごく友達になりたいわ。いいセンスしてる。
「確かこの婚約者ハンターの手に堕ちた男は将来的に期待できない男に確定されると言われているな」
何その悪の親玉感。ヒロイン貴女……何を目指していたらそんな風に言われるわけ??
「まあ実際こんな祝いの場で婚約破棄を一方的にしてあれだけしてやられるんだから若くして当主になったとはいえ、結局その程度。今後の家付き合いは見直した方がよろしいかもしれませんね」
不貞暴露、商品宣伝以上に収穫があった模様。ヒロインいい仕事するじゃない。この不貞男をより地獄へ落とせるなんてただの悪女じゃなかったわけね。話題にのぼるヒロインだからこそこんな噂までできたのだろう。お金になればそれでよかったけどおかげでそれ以上の収穫を得たわ。
元々ない愛とはいえ、この不貞男を陥れるくらいの罰を与えたかった気持ちはあったから。正直下手な演技に付き合わされたあげくに、裏でいい気になっていたこの男が私は心底嫌いだった。だからこそこの日を待ち侘びていたのだ。
「なんで……なんでこんな……」
「私をちょろい女とバカにした結果ですわ」
「……!き、聞いていたのか」
「ええ、何度もね」
「あ、あれは……訂正する。だからその……」
自分が絶望的状況であると理解しているからか顔は真っ青を通り越して真っ白な顔でこちらを伺うのがわかる。今更伺ったところでだけど。
本来の物語で彼は私を助けないのだから私だって彼を助ける理由はない。
「訂正よりもお金をくださいな」
そういうわけでにっこりと私は彼にそう告げた。
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