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公爵金尽きる~ループ公爵視点~
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「ふざけるなふざけるなふざけるなぁあぁぁ!」
「父上落ち着いてください!」
「これが落ち着けるか!」
たった一人の暗殺に金ばかりがすり減り聞くのは失敗と言う二文字だけ。私が聞きたいのはそんな報告ではない。いくら王城とはいえ、傷ひとつつけることもせず、暗殺騒ぎすらないことに暗殺実行前に帰る愚か者たちばかりしかいないことには気づいている。
そこらの暗殺者では無理だと判断して最後に多額費用で有名な暗殺者を雇ったと言うのに行方知れずと報告が来てもはや万策尽きる。金はもはやないに等しい。公爵である私がだ。
むしゃくしゃし、暴れようがどうしようもない。既に領民の税すらあげなければやっていけない始末。今までそういったことをしてこなかっただけに何か理由があるのだろうと文句の言わない領民たちの愚かさには助かるものだが。
税をあげることで暴動でも起こされたら面倒でしかない。
「父上もう諦めましょう。愚弟はともかく、あの愚弟の従者であったあのスラムから王族と知られた殿下は得体が知れません。失敗するのもやつのせいでしょう。今なら領民に何も悟らせることなくなんとかできます。あちらに証拠もない今、陛下から何か言われることもないでしょう」
「領民などどうでもいい!私はとにかくあれが気に食わんのだ!私の目の届かないところで生きていることが!幸福を感じるようなら尚更な!」
「………母のことは確かに思うところがないわけではありません。ですが、私は常々思っておりました。何故そこまでエンドを恨むのですか?母上を亡くされた父上が一番辛いのだと従ってきましたがエンドの命を狙うほどとは思いもしませんでした。もはや民すら蔑むほどに」
私の跡継ぎと言える長男の言葉にむしゃくしゃした気持ちがピタっと止み、笑いが込み上げてきた。
「そうか、お前たちには教えていなかったな。あれは私の血を継いでないと」
「な……っまさか優しき母上が?そんな……」
優しくされてきた愚息たちからしたら信じられまい。お前たちの前では仲のよい夫婦面をあの女は完璧に演じてきたのだから。私をギリギリ刺激しすぎない程度をあれはよくわかっていた。
「優しい、優しいか。あいつは私の前ではお前たちを産むのすら嫌々だったがな」
「嫌々……?」
「お前たちの母は私を憎んでいた!その私の子をあれが愛するはずがないだろう?いくら私が愛を注ごうと全く答えもしなかったからな!あれからすればお前たちへの対応は優しくしてやったに過ぎない。全てはあのエンドを産みたいがために。あれに愛された子は皮肉にも俺によってお前たちも冷たく接したエンドだけだ」
「そんな………っ私は……私たちは……」
「もうひとりの愚息に伝えるかどうかはお前の好きにすればいい。私はあの女が唯一愛した子の処分をまた一から考え直さなければならないからな」
もはや息子すらどうでもいい。だが、母に唯一愛された子としてあれを恨むならば父として協力してやらんでもないがな。
「父上落ち着いてください!」
「これが落ち着けるか!」
たった一人の暗殺に金ばかりがすり減り聞くのは失敗と言う二文字だけ。私が聞きたいのはそんな報告ではない。いくら王城とはいえ、傷ひとつつけることもせず、暗殺騒ぎすらないことに暗殺実行前に帰る愚か者たちばかりしかいないことには気づいている。
そこらの暗殺者では無理だと判断して最後に多額費用で有名な暗殺者を雇ったと言うのに行方知れずと報告が来てもはや万策尽きる。金はもはやないに等しい。公爵である私がだ。
むしゃくしゃし、暴れようがどうしようもない。既に領民の税すらあげなければやっていけない始末。今までそういったことをしてこなかっただけに何か理由があるのだろうと文句の言わない領民たちの愚かさには助かるものだが。
税をあげることで暴動でも起こされたら面倒でしかない。
「父上もう諦めましょう。愚弟はともかく、あの愚弟の従者であったあのスラムから王族と知られた殿下は得体が知れません。失敗するのもやつのせいでしょう。今なら領民に何も悟らせることなくなんとかできます。あちらに証拠もない今、陛下から何か言われることもないでしょう」
「領民などどうでもいい!私はとにかくあれが気に食わんのだ!私の目の届かないところで生きていることが!幸福を感じるようなら尚更な!」
「………母のことは確かに思うところがないわけではありません。ですが、私は常々思っておりました。何故そこまでエンドを恨むのですか?母上を亡くされた父上が一番辛いのだと従ってきましたがエンドの命を狙うほどとは思いもしませんでした。もはや民すら蔑むほどに」
私の跡継ぎと言える長男の言葉にむしゃくしゃした気持ちがピタっと止み、笑いが込み上げてきた。
「そうか、お前たちには教えていなかったな。あれは私の血を継いでないと」
「な……っまさか優しき母上が?そんな……」
優しくされてきた愚息たちからしたら信じられまい。お前たちの前では仲のよい夫婦面をあの女は完璧に演じてきたのだから。私をギリギリ刺激しすぎない程度をあれはよくわかっていた。
「優しい、優しいか。あいつは私の前ではお前たちを産むのすら嫌々だったがな」
「嫌々……?」
「お前たちの母は私を憎んでいた!その私の子をあれが愛するはずがないだろう?いくら私が愛を注ごうと全く答えもしなかったからな!あれからすればお前たちへの対応は優しくしてやったに過ぎない。全てはあのエンドを産みたいがために。あれに愛された子は皮肉にも俺によってお前たちも冷たく接したエンドだけだ」
「そんな………っ私は……私たちは……」
「もうひとりの愚息に伝えるかどうかはお前の好きにすればいい。私はあの女が唯一愛した子の処分をまた一から考え直さなければならないからな」
もはや息子すらどうでもいい。だが、母に唯一愛された子としてあれを恨むならば父として協力してやらんでもないがな。
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