主人の僕を悪役にはさせません?何を言っているかわからないけどうちの従者は有能でやばい人~スラムの子を拾った結果~

荷居人(にいと)

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決行は早い

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その後は結局変に同情され、今後の話はまたということになった。学園に行くのは他とは遅れて入ることだけは伝えられたが。急な王族格上げに先んじて覚えとくべきことがあるとか。

そういうわけでただただのんびり過ごすだけの日となる。ナイトは黙って僕についてくるだけでどうしたものかと思ったけど、このまま朝言ってたこと忘れてくれないかななんて思う。

父に命まで狙われることに驚きはあっても死ななければいいと思っている僕は楽観的すぎるだろうか?ナイトが傍にいて死ぬ気がしないのもある。ああ、でも暗殺ならナイトも気づかないだろうか。

「ナイト、あまり隙を見せるわけにはいかないからもう普通に寝よう」

「……そうですね。もう殺しましょう、あのくそ公爵」

「いや、寝るんだよ。それにまだ実行してない内からはまずいよ……」

しかし、おかげでどうやら夜変なことはされずに済みそうだ。ナイトがご立腹すぎて後が怖いけれど。できれば暗殺はしばらく様子見てくれないかなと思う。下手に始末したら翌日ナイトに何されるか………。

死にたい訳じゃないけど暗殺頼りなんておかしな話だよね。べ、別にナイトに触られるのが嫌とかではないんだけど、そういうことじゃなくて、ね?一度ナイトに任せて色々されたら後に戻れない気もするし……。

僕は誰に何を言ってるんだろう……。とりあえず落ち着かないと。

「一緒に寝るのは絶対です」

「でもナイトも危険だよ?」

「エンド様ひとりの方が危険です」

「そうだね。まあ、僕一人じゃさっくりやられちゃうから助かるよ」

元々一緒に寝ない選択は暗殺のことがなくてもなかっただろうから構わない。今日の朝みたく起きたら二人して裸なんて事態にさえならないのなら。

「……!曲者!」

「え?」

どこに隠し持ってたの?というナイフを窓に向かって投げたナイト。パリンと窓は割れ風が入ってくる。

「……?気のせいでしょうか?」

「窓割って何してるの?」

平然とした様子のナイトに呆れながらバタバタと外から音が。ああ、さすがに窓の割れる音に何かあったのかと兵が駆けつけてきたのかもしれない。

窓割った本人は曲者でも暗殺者でもなく王子様だけど。どうしたものか。

「殿下~!無事でございますか!」

「敵は敵は何処に!」

ばーんっと扉を開けてフル装備で来た兵士たち。大事にしすぎて後で陛下に叱られないか心配だ。

「大丈夫だ。俺が勘違いをして窓を割ってしまった」

「そ、そうでしたか!ご無事で何よりです!窓が割れた部屋では寝れませんよね!隣の部屋へ移動をお願いします。窓は朝までに修復しときますので!」

「頼む」

なんだかうちのナイトが申し訳ないなと思いながら部屋を移動してようやく眠りにつく。その間、ナイトに気づかれ命からがら逃げ帰る曲者に誰も気がつくことはなかった。
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