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言葉が勝手に
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ブーデらは強制退場となった。僕の耳に悲鳴だけを残して。次に目を開けた時、僕やナイトの陰口を言っていた貴族らは親子揃って、もしくは従者と共に顔を真っ青にして僕とナイトを見ていた。次は自分達かと。
でも正直彼らは既に大きな失敗で罰を受けている。将来に関して。
「スラムの出身と言えど、民のおかげで生活できている貴族がこそこそしながら聞こえる声で民の陰口とはろくな貴族ではないんでしょうね。せっかくの祝いパーティーなのにとても不快でした」
ブーデで吹っ切れたのか、気がつけばそんな言葉を言っていた。周囲が青から白へと変わる有り様に、まるで悪役にでもなったような気分だ。けれど、悪なのは僕じゃない。民をバカにできる愚か者たちだ。
「しかも身分制度がある中で仮にも公爵の息子である僕のことまで。立場的には侯爵以下ご当主であらせられる人たちは僕より身分が高いものとして至らぬ部分を気にしてくださったとしてもご子息、令嬢から付き添いの従者に関しては今の立場をなしにしてもおかしな話ですよね?」
「お、王太子殿下!な、ならば私はこの立場を弁えぬこの愚息と縁を切りましょう!」
あえて当主である立場を庇うかのような言い分をすれば鴨が釣れたとばかりに声をあげるのは自分の利しか考えていないバカな当主だろうことがありありとわかる人物。
「父上っそんな……っ」
見捨てられた愚息と言われたその子は絶望したとばかりの表情。命をとるわけでも、辱しめを受けるわけでも、スラムに送られるわけでもないと言うのに。
次は自分か?貴族の子があれなら自分はどうなる?と貴族の子供ら及び従者はガチガチと震え始め、貴族当主本人たちはこちらの様子を見ているようだ。当主は欠席、夫人のみの親子は荷が重いのだろう。陰口を子と共に言っていた夫人はただおろおろとしている者が大半だ。
「で?」
「で?とは……」
そんな中、僕が返したのはただの一文字。思わぬ返しに目の前の本人はどうすればいいとばかりに聞き返してくる。自分で考えることもできないなんて恐らくろくに貴族の仕事をしていない証明ではないだろうか?
「身勝手ですね。子の責任をとるならばともかく、縁を切る?子を育てたのはあなたでしょう?子を簡単に見捨てれる人物が民を思いやれるとは思いません。ねぇ、ナイト」
「ええ、ええ!そう思います!さすがはエンド様!」
目の前の人物は間違えたのだと悟らざる終えなかったのだろう。顔は今にも倒れそうなほどに酷い顔色に。
でもそれよりもナイトの喜びように僕はそれだけで満足してしまい、目の前の者などどうでもよく感じられていた。意外にも自分でも知らなかった薄情な自分に、嫌な感じは全くと言っていいほどにしなかった。
でも正直彼らは既に大きな失敗で罰を受けている。将来に関して。
「スラムの出身と言えど、民のおかげで生活できている貴族がこそこそしながら聞こえる声で民の陰口とはろくな貴族ではないんでしょうね。せっかくの祝いパーティーなのにとても不快でした」
ブーデで吹っ切れたのか、気がつけばそんな言葉を言っていた。周囲が青から白へと変わる有り様に、まるで悪役にでもなったような気分だ。けれど、悪なのは僕じゃない。民をバカにできる愚か者たちだ。
「しかも身分制度がある中で仮にも公爵の息子である僕のことまで。立場的には侯爵以下ご当主であらせられる人たちは僕より身分が高いものとして至らぬ部分を気にしてくださったとしてもご子息、令嬢から付き添いの従者に関しては今の立場をなしにしてもおかしな話ですよね?」
「お、王太子殿下!な、ならば私はこの立場を弁えぬこの愚息と縁を切りましょう!」
あえて当主である立場を庇うかのような言い分をすれば鴨が釣れたとばかりに声をあげるのは自分の利しか考えていないバカな当主だろうことがありありとわかる人物。
「父上っそんな……っ」
見捨てられた愚息と言われたその子は絶望したとばかりの表情。命をとるわけでも、辱しめを受けるわけでも、スラムに送られるわけでもないと言うのに。
次は自分か?貴族の子があれなら自分はどうなる?と貴族の子供ら及び従者はガチガチと震え始め、貴族当主本人たちはこちらの様子を見ているようだ。当主は欠席、夫人のみの親子は荷が重いのだろう。陰口を子と共に言っていた夫人はただおろおろとしている者が大半だ。
「で?」
「で?とは……」
そんな中、僕が返したのはただの一文字。思わぬ返しに目の前の本人はどうすればいいとばかりに聞き返してくる。自分で考えることもできないなんて恐らくろくに貴族の仕事をしていない証明ではないだろうか?
「身勝手ですね。子の責任をとるならばともかく、縁を切る?子を育てたのはあなたでしょう?子を簡単に見捨てれる人物が民を思いやれるとは思いません。ねぇ、ナイト」
「ええ、ええ!そう思います!さすがはエンド様!」
目の前の人物は間違えたのだと悟らざる終えなかったのだろう。顔は今にも倒れそうなほどに酷い顔色に。
でもそれよりもナイトの喜びように僕はそれだけで満足してしまい、目の前の者などどうでもよく感じられていた。意外にも自分でも知らなかった薄情な自分に、嫌な感じは全くと言っていいほどにしなかった。
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