主人の僕を悪役にはさせません?何を言っているかわからないけどうちの従者は有能でやばい人~スラムの子を拾った結果~

荷居人(にいと)

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頑張れ

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「基本条件はイルクの言ったそれくらいだ。後は犯罪経歴があったり、本人の素行に問題点、もしくは国を滅ぼしかねないバカでなければ問題はない。何よりお主は公爵家の三男だろう。ならば跡継ぎ問題もなく教育も問題ない。よってイルクと共に今日からエンドもまた我の息子だ」

いや、確かに陛下の言う通りだけど頭がついていけない。急に王太子に任命されて父親が陛下ってそんな簡単に受け入れるなんてできるわけが……

「話が長くなったがそういうわけだ。皆の者、今日は本来祝いのパーティである!存分に楽しんでほしい」

え、冗談でしょう?こんな誰もが急な決まりごとに動揺してるというのにパーティ開始の合図って……強引すぎない?そう思っても言えないし、陛下がその場を去ろうと誰も止めない。

「まあどうせ反論は許されませんからパーティを楽しみましょう、エンド様」

そしてそもそもの元凶である人物がこれである。ため息をつきかけて、あれ?そういえば……とふと思い出す陛下の言葉。

「ナイト、僕陛下に公爵家の三男だって言ったかな?」

「あはは、言いましたよ?俺が……ねぇ、皆さん?」

平然とした態度で言うナイトは周りを見渡すようにして言えば、コクコクと音が鳴りそうなくらいに貴族の親子らは共に首を縦に振る。何だか怪しいところだけど、ナイトはたまに変なところがあるしスラムの子が王太子だったという衝撃な事実があっただけに誰もが挙動不審になってもおかしくはない。

そういうわけでかなりの証人もいるようだし、混乱しすぎて僕が聞き逃した可能性は十分にあった。

「僕改めて思うと大分混乱してたんだね……」

今もこれからのことを思うと頭がいっぱいいっぱいではあるけど。

「とても可愛らしかったですよ」

「もう、からかわないで!」

でもこうしてこれからもナイトといられるというのは素直に嬉しい。変だし、意味がわからないときが多々あるけどそれでも僕の孤独感をなくしてくれる人物であることに変わりはないから。

「で、どうします?」

「え?」

「王太子二人に対して無礼を働いたこの公爵家のご子息バカについてですよ」

なんて思っていれば唐突すぎる質問。パーティを楽しむと言った口でまたもや何を言い出すのか。明らかに誰もに緊張する様子が雰囲気から読めた。これをどう楽しめというのか、無茶ぶりにもほどがある。

何より何もしてないのにその言われた本人が既に顔が白く倒れそうだよ……?見た目で判断はよくないけど食べ過ぎかな?うん、さすがに冗談です。正直どうしていいかなんてわからない。

「あの……ナイトならどうする?」

「不敬罪で首から下を離すのはいかがですか?」

「きゃ、却下で」

「残念です……」

すごい満面の笑みで言われ、却下したらかなり落ち込まれたけどそれはただの処刑だ。どうしていいかわからないからとナイトに聞いた僕がバカでした。でも何もしないわけにはいかないし……腕を切り落とすくらいなら……。

いやいやだめだよ。ナイトのせいで余計ろくな考えができなくなった。誰か助けて……。
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