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笑顔
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嫌な予感とは当たるものだ。ナイトが専属従者になったとたん最初の朝からナイトは傷をつくり、それを機に毎日傷が増えていく。止めたところで素知らぬそぶりをされ、その場限りでしか止められない。
何しろ父すらも容認した様子だから余計にエスカレートするばかりだ。なんて情けない主人なのだろう、僕は。
それでも僕に笑いかけてくれるナイトはこれくらいで見放すものかと尽くしてくれるのだから泣きそうにすらなる。
月日が経つ度、ナイトが僕に尽くしてくれる度にナイトを離せそうになくなる自分が恐い。どちらにしろ契約のせいでナイトは僕を裏切れないのだけど。離れようと思った時点でそれは死を意味するだろう。
いつか僕に誓いをたてたことを後悔されでもしたら僕の方が耐えられなくなりそうだ。ナイトの傍はあまりにも心地いいから。
「エンド様、朝食です」
「ありがとう。毎日ごめんね」
「いえ、俺がやりたいことなので」
本当なら一人称を正したりするべきなのだろうが、僕はあえて好きなようにさせている。気安い感じがしてありのままのナイトを感じるから。ただひとりの僕の味方。
「でもいつも傷が増えてる。料理は放っておけば用意されるよ?」
「……俺の料理もしかしてまずいですか?」
「そんな!凄く美味しいよ!?」
これは本当だ。ナイトの料理はいつも温かくてできたてだから余計に美味しい。なんだか珍しい料理ばかりだけどまずかったことなど一度もないのだ。
スラムで暮らしていただろうにどこで料理を習ったのか疑問だけど、もしかして契約のギフト?なんて思ったりもする。早すぎる気はするけど、これだけ尽くしてくれるのだから神様に認められてもいい気がした。親ばかならぬ主人ばかだろうか?そう思われても全く構わないけれど。
「なら問題ないですね。俺はエンド様が俺の料理を食べてくれるだけで俺がエンド様の身体を作ってると思うと興奮するくらい嬉しいので気になさらないでください」
あえて従者の欠点というか残念なところを述べようとすれば時々変なことを言うくらいだろう。笑顔は爽やかなのに言ってることが変態っぽいというか、こう背筋がぞくっとするというか……いや、まあ月日もたって何回もその言動を経験すれば慣れたものだけどね。
「うん、まあ、ありがとう」
「エンド様のお礼をいただけるだけで俺はここの騎士20人倒せそうです!いや、倒してきます!」
なんだかんだそれでも大事な従者に代わりはないし、寂しさや孤独を感じないのも彼のおかげなのだから感謝しかない。本人がしたいと言うなら理由はともかく無理にやめさせる気も起きないし、とりあえずご飯の用意は任せるしかないようだ。
なんて考えてる間に彼は有言実行を始める。正直やっぱりギフト送られてない?と思ってしまうのは彼の身体能力が尋常ではないから。そんな彼を見て心配とは別に傷が増えているのわざとかな?と思ってしまう時がある僕はおかしいだろうか。
何しろ父すらも容認した様子だから余計にエスカレートするばかりだ。なんて情けない主人なのだろう、僕は。
それでも僕に笑いかけてくれるナイトはこれくらいで見放すものかと尽くしてくれるのだから泣きそうにすらなる。
月日が経つ度、ナイトが僕に尽くしてくれる度にナイトを離せそうになくなる自分が恐い。どちらにしろ契約のせいでナイトは僕を裏切れないのだけど。離れようと思った時点でそれは死を意味するだろう。
いつか僕に誓いをたてたことを後悔されでもしたら僕の方が耐えられなくなりそうだ。ナイトの傍はあまりにも心地いいから。
「エンド様、朝食です」
「ありがとう。毎日ごめんね」
「いえ、俺がやりたいことなので」
本当なら一人称を正したりするべきなのだろうが、僕はあえて好きなようにさせている。気安い感じがしてありのままのナイトを感じるから。ただひとりの僕の味方。
「でもいつも傷が増えてる。料理は放っておけば用意されるよ?」
「……俺の料理もしかしてまずいですか?」
「そんな!凄く美味しいよ!?」
これは本当だ。ナイトの料理はいつも温かくてできたてだから余計に美味しい。なんだか珍しい料理ばかりだけどまずかったことなど一度もないのだ。
スラムで暮らしていただろうにどこで料理を習ったのか疑問だけど、もしかして契約のギフト?なんて思ったりもする。早すぎる気はするけど、これだけ尽くしてくれるのだから神様に認められてもいい気がした。親ばかならぬ主人ばかだろうか?そう思われても全く構わないけれど。
「なら問題ないですね。俺はエンド様が俺の料理を食べてくれるだけで俺がエンド様の身体を作ってると思うと興奮するくらい嬉しいので気になさらないでください」
あえて従者の欠点というか残念なところを述べようとすれば時々変なことを言うくらいだろう。笑顔は爽やかなのに言ってることが変態っぽいというか、こう背筋がぞくっとするというか……いや、まあ月日もたって何回もその言動を経験すれば慣れたものだけどね。
「うん、まあ、ありがとう」
「エンド様のお礼をいただけるだけで俺はここの騎士20人倒せそうです!いや、倒してきます!」
なんだかんだそれでも大事な従者に代わりはないし、寂しさや孤独を感じないのも彼のおかげなのだから感謝しかない。本人がしたいと言うなら理由はともかく無理にやめさせる気も起きないし、とりあえずご飯の用意は任せるしかないようだ。
なんて考えてる間に彼は有言実行を始める。正直やっぱりギフト送られてない?と思ってしまうのは彼の身体能力が尋常ではないから。そんな彼を見て心配とは別に傷が増えているのわざとかな?と思ってしまう時がある僕はおかしいだろうか。
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