主人の僕を悪役にはさせません?何を言っているかわからないけどうちの従者は有能でやばい人~スラムの子を拾った結果~

荷居人(にいと)

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狂喜~ナイト視点~

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今この瞬間、エンド様に会えた今日が夢のようだった。目の前にはずっとずっと自分の支えになり、好きで仕方なかった人物が現実にいるのだから。

ずっと、ずっと、長い間耐えてきたかいがあったというもの。

だが、エンド様と俺は今日が初対面。あくまで俺が一方的に知っているに過ぎない。それは何故か?俺には前世の記憶があるからだ。

意味がわからないと思われるかもしれないが、前世でここはゲームという夢の世界みたいなもので俺にとっては現実ではなかった。そのゲームとは乙女ゲームなるものでヒロインが目につけたキャラを自分のものにすべくあざとく小賢しい頭を働かせて、それにやられた憐れでバカな男たちがしてやられるというゲーム。

シスコンの友人が大好きな姉の語り相手になるべくやってはまってしまったようで、毎度毎度聞かされてスマホで見せられた乙女ゲームに、どこにはまる要素があるのだと思わなくはなかった。

だが、ひとりのキャラクターを見て物凄く惹かれたのが悪役であるエンド・ループ様。後々にイベントで語られる家族とうまくいってない理由など聞けば聞くほどに同情してしまうその話はどことなく俺と似ていた。

前世同じように俺が生まれたことで母を亡くし、姉も兄も父も仲良く談話するのに対してその輪に必ず俺はいない。虐待があるわけじゃない、ご飯が食べられないわけでもお風呂にいれさせてもらえないわけでもないが、ただそこに俺はいないかのように無視される日々。

幼い頃からそうだったせいで人との関わり方などわからなくて、高校で初めて関われたのが乙女ゲームを教えてくれたシスコン友人だった。俺はきっと身分とかないだけにエンド様よりも救いはあった方だろう。それも結局壊してしまうのだけれど。

それはともかくゲームのエンド様は友人とは違い、スラムで子供を拾って自分だけの従者をもつが、その従者もまた攻略者のひとりなために最終的にはヒロインにとられてしまうのだ。

俺ならぽっとでのヒロインよりもエンド様の傍にいるのになんて気がつけば友人に乙女ゲームの行く末を自ら見せてもらっていて色んなエンド様を見る度に夢中になっていった。

夢中になるほどにどのルートへ行っても最後は死ぬエンド様を見ることに気が狂いそうになり、気がつけば友人になんとかできないのかと詰め寄っていた。

『し、知らねぇよ。悪役だし………あ、でも、隠しルートとしてエンドルートがあるって聞いたな』

『エンド……ルート?』

今思えば俺はエンド様に叶わぬ恋をしていたのだろう。エンド様のルート……それを聞いた瞬間に心が凍りつくように思えた。だってその単語だとまるでヒロインとやらにエンド様が……トラレルミタイジャナイカ?

『そうそうなんかある条件を達成するとあの悪役エンドを攻略できるらしいんだよな。あくまで噂だけ……ど……っお、い……っ』

気がつけばたったひとりの友人の首を締めていた。周囲がうるさい。やめろ、何をしてる、悲鳴、でもそれよりエンド様をとろうとするヒロインをひとりでも減らさないと、エンド様を攻略?何様だ、ヒロインもヒロインを操るバカたちも。頭の中はただそれだけ。

エンド様を悪役に陥れたヒロインにエンド様をやるものか。それがエンド様のハッピーエンドなど認めない。ああっ何故俺はエンド様の世界の住民ではないのだろう?

画面越しの恋とはなんて辛いものなのか!

気がつけば周囲に押さえられている自分。友人がごほごほと咳き込んでおののくように自分を見ていた。ああ、このままではどちらにしろ画面越しですらエンド様と会えなくなる。俺はスマホなんて買ってもらえやしないのだから。

友人のそんな姿を見て思ったのはただそれだけ。どちらにしろエンド様の不幸しか描かないゲームは見るだけでこれからは壊してしまいそうだ。

どうせエンド様に会えない世界なら………

そんな思考で頭を回らせていた俺から力が抜け始め、押さえてた者は油断したのだろう。俺はその隙を狙ってそこから抜け出し、気がつけば三階の校舎から飛び降りて………目を覚ました時にはスラム街でぼろぼろの女性に抱かれている赤ん坊になっていた。
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