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名前
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「え、あ、何しちゃってるの!?」
ようやくはっとして言えた言葉。従者になる気でいてくれるのは嬉しいがここまでさせようとはさすがに思ってはいなかった。奴隷契約に近いこの誓いを躊躇わずしたこの子もこの子だが、何故その契約を知っているのかも疑問だ。
それもスラムにいた子が。
「ああ、スラム生活耐えてきてよかった……。エンド様に遣えるこの日を待ちわびておりました」
僕の言葉を気にした様子もなく意味がわからかい言葉を発する。いや待ちわびたも何も僕ら初対面だよね?スラム街だって初めて行ったのだから会えた覚えもないし、僕を見かけていたとしてもエンドなんて名前までは広まってないはずだ。
「あの、とりあえず名前教えて?」
とりあえず話を聞いているか聞いてないのかわからないこの子の名前を聞くことで落ち着くことにした僕。
「すみません、ここに生まれてから名前をつけてもらっていないんです」
名前がない。スラムならよくあることだと聞いているが、それでもどうにも引っ掛かる言い方だなと思わなくもない。
「なら名前をつけないとふべ……」
「名前をくださるんですか!?」
不便だねと言い切る前に食い気味で言葉を渡られた。物凄く目がきらきらしている。これは僕が考えてあげないと凄く落ち込みそうだ。
何よりあんな重い誓いを意味を知ってか知らずかしてくれたこの子が僕に名付けてほしいならそれくらい叶えてあげたくなるというもの。でも名付けなんて初めてだから名前にセンスないと言われたら……ちょっと試してみようか?
「ならポチとか」
「ポチですね!ありがとうございます!嬉しいです!」
「いや、ごめん!候補のひとつだからもう少し考えさせて!」
「そうですか?」
「ずっと使う名前なんだから簡単に決めるのもね……あはは」
「俺なんかにそんなに真剣に考えてくれるなんて……っありがとうございますっ!」
涙目で感動しましたとばかりにお礼を言われた。これはセンスとか関係なくどんな名前でも受け入れる気満々なのがわかる。ふざけた名前を言ってみればあまりにも嬉しそうに喜ばれたから慌てて訂正を入れたけど、本当にポチでよかったのか?なんか、その、ペットみたいな名前だというのに……。
逆に真剣に考える気にさせられたけど。自分のセンスがわからないだけにどんな名前でも受け入れそうなこの子ににセンスは求められない。変な名前だと思っても気にせず受け入れそうなのだから。
そして結局思い付いたのは単純な名前。
「あの誓いは元々忠誠心の高い騎士が始まりだと言うし、僕の騎士ってことでナイトはどうかな?」
「ああっ素敵なお名前ありがとうございます……!」
当然、ポチでも受け入れようとしていたナイトと名付けられたその子は了承した。
ようやくはっとして言えた言葉。従者になる気でいてくれるのは嬉しいがここまでさせようとはさすがに思ってはいなかった。奴隷契約に近いこの誓いを躊躇わずしたこの子もこの子だが、何故その契約を知っているのかも疑問だ。
それもスラムにいた子が。
「ああ、スラム生活耐えてきてよかった……。エンド様に遣えるこの日を待ちわびておりました」
僕の言葉を気にした様子もなく意味がわからかい言葉を発する。いや待ちわびたも何も僕ら初対面だよね?スラム街だって初めて行ったのだから会えた覚えもないし、僕を見かけていたとしてもエンドなんて名前までは広まってないはずだ。
「あの、とりあえず名前教えて?」
とりあえず話を聞いているか聞いてないのかわからないこの子の名前を聞くことで落ち着くことにした僕。
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「なら名前をつけないとふべ……」
「名前をくださるんですか!?」
不便だねと言い切る前に食い気味で言葉を渡られた。物凄く目がきらきらしている。これは僕が考えてあげないと凄く落ち込みそうだ。
何よりあんな重い誓いを意味を知ってか知らずかしてくれたこの子が僕に名付けてほしいならそれくらい叶えてあげたくなるというもの。でも名付けなんて初めてだから名前にセンスないと言われたら……ちょっと試してみようか?
「ならポチとか」
「ポチですね!ありがとうございます!嬉しいです!」
「いや、ごめん!候補のひとつだからもう少し考えさせて!」
「そうですか?」
「ずっと使う名前なんだから簡単に決めるのもね……あはは」
「俺なんかにそんなに真剣に考えてくれるなんて……っありがとうございますっ!」
涙目で感動しましたとばかりにお礼を言われた。これはセンスとか関係なくどんな名前でも受け入れる気満々なのがわかる。ふざけた名前を言ってみればあまりにも嬉しそうに喜ばれたから慌てて訂正を入れたけど、本当にポチでよかったのか?なんか、その、ペットみたいな名前だというのに……。
逆に真剣に考える気にさせられたけど。自分のセンスがわからないだけにどんな名前でも受け入れそうなこの子ににセンスは求められない。変な名前だと思っても気にせず受け入れそうなのだから。
そして結局思い付いたのは単純な名前。
「あの誓いは元々忠誠心の高い騎士が始まりだと言うし、僕の騎士ってことでナイトはどうかな?」
「ああっ素敵なお名前ありがとうございます……!」
当然、ポチでも受け入れようとしていたナイトと名付けられたその子は了承した。
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