主人の僕を悪役にはさせません?何を言っているかわからないけどうちの従者は有能でやばい人~スラムの子を拾った結果~

荷居人(にいと)

文字の大きさ
上 下
4 / 34

名前

しおりを挟む
「え、あ、何しちゃってるの!?」

ようやくはっとして言えた言葉。従者になる気でいてくれるのは嬉しいがここまでさせようとはさすがに思ってはいなかった。奴隷契約に近いこの誓いを躊躇わずしたこの子もこの子だが、何故その契約を知っているのかも疑問だ。

それもスラムにいた子が。

「ああ、スラム生活耐えてきてよかった……。エンド様に遣えるこの日を待ちわびておりました」

僕の言葉を気にした様子もなく意味がわからかい言葉を発する。いや待ちわびたも何も僕ら初対面だよね?スラム街だって初めて行ったのだから会えた覚えもないし、僕を見かけていたとしてもエンドなんて名前までは広まってないはずだ。

「あの、とりあえず名前教えて?」

とりあえず話を聞いているか聞いてないのかわからないこの子の名前を聞くことで落ち着くことにした僕。

「すみません、ここに生まれてから名前をつけてもらっていないんです」

名前がない。スラムならよくあることだと聞いているが、それでもどうにも引っ掛かる言い方だなと思わなくもない。

「なら名前をつけないとふべ……」

「名前をくださるんですか!?」

不便だねと言い切る前に食い気味で言葉を渡られた。物凄く目がきらきらしている。これは僕が考えてあげないと凄く落ち込みそうだ。

何よりあんな重い誓いを意味を知ってか知らずかしてくれたこの子が僕に名付けてほしいならそれくらい叶えてあげたくなるというもの。でも名付けなんて初めてだから名前にセンスないと言われたら……ちょっと試してみようか?

「ならポチとか」

「ポチですね!ありがとうございます!嬉しいです!」

「いや、ごめん!候補のひとつだからもう少し考えさせて!」

「そうですか?」

「ずっと使う名前なんだから簡単に決めるのもね……あはは」

「俺なんかにそんなに真剣に考えてくれるなんて……っありがとうございますっ!」

涙目で感動しましたとばかりにお礼を言われた。これはセンスとか関係なくどんな名前でも受け入れる気満々なのがわかる。ふざけた名前を言ってみればあまりにも嬉しそうに喜ばれたから慌てて訂正を入れたけど、本当にポチでよかったのか?なんか、その、ペットみたいな名前だというのに……。

逆に真剣に考える気にさせられたけど。自分のセンスがわからないだけにどんな名前でも受け入れそうなこの子ににセンスは求められない。変な名前だと思っても気にせず受け入れそうなのだから。

そして結局思い付いたのは単純な名前。

「あの誓いは元々忠誠心の高い騎士が始まりだと言うし、僕の騎士ってことでナイトはどうかな?」

「ああっ素敵なお名前ありがとうございます……!」

当然、ポチでも受け入れようとしていたナイトと名付けられたその子は了承した。
しおりを挟む
感想 37

あなたにおすすめの小説

堕とされた悪役令息

SEKISUI
BL
 転生したら恋い焦がれたあの人がいるゲームの世界だった  王子ルートのシナリオを成立させてあの人を確実手に入れる  それまであの人との関係を楽しむ主人公  

ヤンデレ蠱毒

まいど
BL
王道学園の生徒会が全員ヤンデレ。四面楚歌ならぬ四面ヤンデレの今頼れるのは幼馴染しかいない!幼馴染は普通に見えるが…………?

勇者パーティーハーレム!…の荷物番の俺の話

バナナ男さん
BL
突然異世界に召喚された普通の平凡アラサーおじさん< 山野 石郎 >改め【 イシ 】 世界を救う勇者とそれを支えし美少女戦士達の勇者パーティーの中・・俺の能力、ゼロ!あるのは訳の分からない< 覗く >という能力だけ。 これは、ちょっとしたおじさんイジメを受けながらもマイペースに旅に同行する荷物番のおじさんと、世界最強の力を持った勇者様のお話。 無気力、性格破綻勇者様 ✕ 平凡荷物番のおじさんのBLです。 不憫受けが書きたくて書いてみたのですが、少々意地悪な場面がありますので、どうかそういった表現が苦手なお方はご注意ください_○/|_ 土下座!

弟勇者と保護した魔王に狙われているので家出します。

あじ/Jio
BL
父親に殴られた時、俺は前世を思い出した。 だが、前世を思い出したところで、俺が腹違いの弟を嫌うことに変わりはない。 よくある漫画や小説のように、断罪されるのを回避するために、弟と仲良くする気は毛頭なかった。 弟は600年の眠りから醒めた魔王を退治する英雄だ。 そして俺は、そんな弟に嫉妬して何かと邪魔をしようとするモブ悪役。 どうせ互いに相容れない存在だと、大嫌いな弟から離れて辺境の地で過ごしていた幼少期。 俺は眠りから醒めたばかりの魔王を見つけた。 そして時が過ぎた今、なぜか弟と魔王に執着されてケツ穴を狙われている。 ◎1話完結型になります

悪役令嬢は永眠しました

詩海猫
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」 長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。 だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。 ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」 *思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m

【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。

氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。 私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。 「でも、白い結婚だったのよね……」 奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。 全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。 一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。 断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

ヤンデレ化していた幼稚園ぶりの友人に食べられました

ミルク珈琲
BL
幼稚園の頃ずっと後ろを着いてきて、泣き虫だった男の子がいた。 「優ちゃんは絶対に僕のものにする♡」 ストーリーを分かりやすくするために少しだけ変更させて頂きましたm(_ _)m ・洸sideも投稿させて頂く予定です

隠れヤンデレは自制しながら、鈍感幼なじみを溺愛する

知世
BL
大輝は悩んでいた。 完璧な幼なじみ―聖にとって、自分の存在は負担なんじゃないか。 自分に優しい…むしろ甘い聖は、俺のせいで、色んなことを我慢しているのでは? 自分は聖の邪魔なのでは? ネガティブな思考に陥った大輝は、ある日、決断する。 幼なじみ離れをしよう、と。 一方で、聖もまた、悩んでいた。 彼は狂おしいまでの愛情を抑え込み、大輝の隣にいる。 自制しがたい恋情を、暴走してしまいそうな心身を、理性でひたすら耐えていた。 心から愛する人を、大切にしたい、慈しみたい、その一心で。 大輝が望むなら、ずっと親友でいるよ。頼りになって、甘えられる、そんな幼なじみのままでいい。 だから、せめて、隣にいたい。一生。死ぬまで共にいよう、大輝。 それが叶わないなら、俺は…。俺は、大輝の望む、幼なじみで親友の聖、ではいられなくなるかもしれない。 小説未満、小ネタ以上、な短編です(スランプの時、思い付いたので書きました) 受けと攻め、交互に視点が変わります。 受けは現在、攻めは過去から現在の話です。 拙い文章ですが、少しでも楽しんで頂けたら幸いです。 宜しくお願い致します。

処理中です...