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2章ー少年期ー
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そんなわけでエリーナの時間をできる限りとり、エリーナをずっと見続けていたからだろうか?気がつけばエリーナが口を動かさなくともなんとなくエリーナの気持ちがわかるようになっていた。
「ひく………っ」
「エリーナは喉が乾いたようなのでお茶の用意を」
「え?はい」
「う………?」
メイドがびっくりしたようにお茶をとりにいけば、エリーナはエリーナで涙をぽろぽろとさせながら驚いたように目を見開いている。何故、わかったの?と。
「ひひっ今、エリーナ嬢は何も言ってなかったように思えますが」
「なんとなく……そう聞こえたような気がして」
「なるほど………ひっひっひっついに読唇術を読心術に進化させたわけですね?これは心を読むに近いもの、中々習得できるものではありません。かなりの集中力もいりますからねひひっ」
「そうなんですか……」
そう言われるとエリーナだけしかわかりそうにはないけど、悪くない気持ちだ。だって中々できないことをエリーナだからこそ習得できたのだから。これならエリーナと学園生活を始めたときにエリーナが困っていればすぐ察せられるというもの。短い学園生活は初めての一日の長い時間での団体生活。側近候補にもなれないようなあんな人たちばかりの可能性だってある。
まだ先ではあるけど、いくら勉強をしたところで学園生活は必ずしなければいけない科目のひとつ。まあ他の貴族たちと比べれば圧倒的に少ない時間ではあるけれど。いっそ自分で見極めて側近候補を選びたいと思っている。エリーナの意見も交えて。
学園にどれだけ優良な人材がいるかはわからないけれど。
「ふぇ………っ」
「そう思ってもらえたら嬉しいです」
私のことをわかってくれる存在がいることが嬉しい、安心できるという気持ちが伝わってくる。安心できるということは少しは頼りにできると認めてもらえたようで先生に褒められる以上に嬉しく思えた。でももっともっと頼られるようになりたいと思うおれは欲張りすぎるだろうか?
「ひひっ男として好きな女性にそう思うのは当然かと」
「せ、先生………」
おれは口に出した覚えはない。つまりは先生もまた読心術が可能ということ。おれにできて先生にできないことはないとは思っていたけれど………いや、でもエリーナに対しては未だに読唇術を活用している。まさか、おれができる範囲で合わせていたんだろうか?
「ご想像にお任せします。ひっひっひっ」
「もう………先生には敵いません」
「……?」
先生ほどなんでもできるようになれば……とは思うけど、追いつける気がしないのは先生のすごさを知っているから。父上がいつしかあれは人間とは思えないと言っていた気持ちに今でも共感できるくらいに。首をかしげて何の話?と目で問いかけるエリーナに軽く笑ってなんでもないと言っては、メイドがタイミングよくお茶を持ってきたのでそれ以上問い詰められることはなかった。
「ひく………っ」
「エリーナは喉が乾いたようなのでお茶の用意を」
「え?はい」
「う………?」
メイドがびっくりしたようにお茶をとりにいけば、エリーナはエリーナで涙をぽろぽろとさせながら驚いたように目を見開いている。何故、わかったの?と。
「ひひっ今、エリーナ嬢は何も言ってなかったように思えますが」
「なんとなく……そう聞こえたような気がして」
「なるほど………ひっひっひっついに読唇術を読心術に進化させたわけですね?これは心を読むに近いもの、中々習得できるものではありません。かなりの集中力もいりますからねひひっ」
「そうなんですか……」
そう言われるとエリーナだけしかわかりそうにはないけど、悪くない気持ちだ。だって中々できないことをエリーナだからこそ習得できたのだから。これならエリーナと学園生活を始めたときにエリーナが困っていればすぐ察せられるというもの。短い学園生活は初めての一日の長い時間での団体生活。側近候補にもなれないようなあんな人たちばかりの可能性だってある。
まだ先ではあるけど、いくら勉強をしたところで学園生活は必ずしなければいけない科目のひとつ。まあ他の貴族たちと比べれば圧倒的に少ない時間ではあるけれど。いっそ自分で見極めて側近候補を選びたいと思っている。エリーナの意見も交えて。
学園にどれだけ優良な人材がいるかはわからないけれど。
「ふぇ………っ」
「そう思ってもらえたら嬉しいです」
私のことをわかってくれる存在がいることが嬉しい、安心できるという気持ちが伝わってくる。安心できるということは少しは頼りにできると認めてもらえたようで先生に褒められる以上に嬉しく思えた。でももっともっと頼られるようになりたいと思うおれは欲張りすぎるだろうか?
「ひひっ男として好きな女性にそう思うのは当然かと」
「せ、先生………」
おれは口に出した覚えはない。つまりは先生もまた読心術が可能ということ。おれにできて先生にできないことはないとは思っていたけれど………いや、でもエリーナに対しては未だに読唇術を活用している。まさか、おれができる範囲で合わせていたんだろうか?
「ご想像にお任せします。ひっひっひっ」
「もう………先生には敵いません」
「……?」
先生ほどなんでもできるようになれば……とは思うけど、追いつける気がしないのは先生のすごさを知っているから。父上がいつしかあれは人間とは思えないと言っていた気持ちに今でも共感できるくらいに。首をかしげて何の話?と目で問いかけるエリーナに軽く笑ってなんでもないと言っては、メイドがタイミングよくお茶を持ってきたのでそれ以上問い詰められることはなかった。
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