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1章ー幼少期ー
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それは先生が急に行方不明になり、代わりとして来た父上直々に勉強を教えてもらっていた日。
「ちちうえ、おしごとはだいじょうぶですか?」
さすがに1ヶ月ほぼ毎日他の教師が来ることなく国王でもある父上が先生代わりとして来ているため、いいのだろうかと心配になって問いかけた。
「ルクスは仕事人間だからな。私の仕事もついでに頼んでいる。国璽も預けているから問題ない」
「こくじってなんですか?」
「国の印鑑のことだ。キリアスにも見せたことがあるだろう。あれを押せばどんな要求も国が認めたことになる」
それって宰相とはいえ、父上以外が預かっていいものなんだろうか?ふとそんなことを思う。いくら宰相が信用におけるとはいえ。
「もしわるいことにつかわれたらどうするんですか?」
「モサール先生にキリアスがお願いすればなんとかなる」
「僕がですか?」
「寧ろ私では自分の責任は自分で何とかしろと言われるだろうな」
「せいろんだとおもいます」
そもそも伯爵家の当主でもない先生に国の一大事をなんとかしてもらうといったのが間違っている。いくら先生でもそんなことをなんとか……………できる気しかしないのはなんでだろう?先生だから?
もういっそ僕が国王になるまで国を先生に預ける方が平和な気がするなぁ。なんて父上への尊敬が薄れたそんな午後に事件は起こった。
「邪魔するぜぇ!」
「誰だ!」
父上と僕、母上と先生以外しか許可なく入れないであろう場に明らかに城の者でない服装をした怪しい人たちがぞろぞろと入り込んできた。当然扉の前には衛兵がいたはずなのに争う音ひとつなく。急なことに父上は立ち上がり僕を庇うようにして立つ。
「ここに誰でも入れるように許可をいただいたんでぇ?お邪魔しましてねぇ」
にたにたと笑いながら柄の悪い人のリーダーのような人は、ぴらぴらと紙を見せつける。その紙には以前確かに見た覚えがある先ほど言い方を覚えた国璽なるものが押されていた。言い方からして城を自由に出入りできるものなのだろうか。
「ちちうえ……」
「いや、まさか、こんな許可が通るとは思わんだろう!?」
人にそんな大事なものを預けるからと父上を睨んで見せれば僕を庇っていた父上が慌てた様子で僕に振り返る。宰相も何を間違ってこんな許可を……なんて思っていれば、二枚目の紙をさらに見せ始めて嫌な予感がした。残念ながら少し離れていて小さくて字が見えない。見えたとしても僕には読めない文字があったかもしれないが。
「で、陛下及び、王子様誘拐にも許可いただいちゃったんでぇ大人しく誘拐されてくださいよぉ?まあ、抵抗したところで無駄だけどねぇ」
わざわざそんな許可をとる悪党も悪党だけど許可をした宰相の考えがわからない。仕事のしすぎで頭がおかしくなっちゃったんだろうか?父上が仕事しないから………。
「ちちうえ、かえったらさいしょうにあやまりましょうね」
「うーん……王子様よ、誘拐の意味わかってるかぁ?」
「息子は今時ないくらい純粋すぎるのだ……」
「王様も大変だなぁ」
「わかってくれるか……」
「話は聞いてやっから、腕出せよ。逃げれねぇように一応なぁ」
「ロープはだめです。僕は、はだがよわいのですぐあかくなっちゃうんです」
先生がいつか言ってました。誘拐されるときは犯人に従いながらも自分の意見も主張してみること、と。僕はまだ子供だからある程度なら聞いてもらえる可能性があるって。まずは自由を少しでも確保するよう言ってました。父上は大人だから大人しく手首を巻かれてる。僕を庇ったあれはなんだったのかななんて思うけど父上は顔こそ怖いだけで弱いのを僕は知ってるから仕方ないと思う。
父上は昔から剣や運動に関してはからっきしだめだと母上が内緒で教えてくれていたから。
「あーならあのおじさんに抱っこしてもらいなぁ。逃げようとすんなよぉ?」
「はい!」
僕は悪党のリーダーみたいな人に言われた通りに言われたおじさんに抱っこをせがめば、おじさんは悪党とは思えない優しい手付きで抱き上げてくれる。悪い人たちだけど、なんだか憎めない人たちだ。でも誘拐は悪いことだって先生が言ってたからやっぱり悪党ではあるんだろう。
「うーん、いい返事ぃ。誘拐してる気分じゃなくなるわぁ」
「じゃあ、しないでください。わるいことはだめです」
反省したのかとそう言えばぽかんとする悪党のリーダーのような人。
「いやいやいや、その通りなんだけどねぇ?そうじゃねぇんだよ。あぁもう調子狂う!まあ、目的は達成したし、とりあえず基地へ戻るぞ!」
「「「「おう!」」」」
「おへんじははいです!」
「「「「はい!」」」」
「いや、お前ら何王子様に従っちゃってんの!?」
結局悪いことはやめるつもりはないようでがっくりしながらもお返事の仕方を注意すればすぐに直してくれたおじさんやお兄さんたち。
先生が言ってました。徐々に悪党をしつけることで逃げ道が必ずできると。だからだめなことはだめって言いました。悪い人たちだけど、きっと僕がいい子にしてあげます!
そう僕は決意して父上と一緒に誘拐された。前代未聞の誘拐許可にどうしたらいいのかと戸惑う衛兵たちを置き去りに。
「ちゃんとかえってきますからだいじょうぶですよー!」
せめて心配させないようにそう大声で伝えれば
「いや、帰られても困るんだけどよぉ……どんな教育してるわけぇ?」
「面目ない……」
リーダーのような人にそんなことを言われて、ため息を吐くようにして返す父上に、僕はよくわからず首を傾げたのだった。
「ちちうえ、おしごとはだいじょうぶですか?」
さすがに1ヶ月ほぼ毎日他の教師が来ることなく国王でもある父上が先生代わりとして来ているため、いいのだろうかと心配になって問いかけた。
「ルクスは仕事人間だからな。私の仕事もついでに頼んでいる。国璽も預けているから問題ない」
「こくじってなんですか?」
「国の印鑑のことだ。キリアスにも見せたことがあるだろう。あれを押せばどんな要求も国が認めたことになる」
それって宰相とはいえ、父上以外が預かっていいものなんだろうか?ふとそんなことを思う。いくら宰相が信用におけるとはいえ。
「もしわるいことにつかわれたらどうするんですか?」
「モサール先生にキリアスがお願いすればなんとかなる」
「僕がですか?」
「寧ろ私では自分の責任は自分で何とかしろと言われるだろうな」
「せいろんだとおもいます」
そもそも伯爵家の当主でもない先生に国の一大事をなんとかしてもらうといったのが間違っている。いくら先生でもそんなことをなんとか……………できる気しかしないのはなんでだろう?先生だから?
もういっそ僕が国王になるまで国を先生に預ける方が平和な気がするなぁ。なんて父上への尊敬が薄れたそんな午後に事件は起こった。
「邪魔するぜぇ!」
「誰だ!」
父上と僕、母上と先生以外しか許可なく入れないであろう場に明らかに城の者でない服装をした怪しい人たちがぞろぞろと入り込んできた。当然扉の前には衛兵がいたはずなのに争う音ひとつなく。急なことに父上は立ち上がり僕を庇うようにして立つ。
「ここに誰でも入れるように許可をいただいたんでぇ?お邪魔しましてねぇ」
にたにたと笑いながら柄の悪い人のリーダーのような人は、ぴらぴらと紙を見せつける。その紙には以前確かに見た覚えがある先ほど言い方を覚えた国璽なるものが押されていた。言い方からして城を自由に出入りできるものなのだろうか。
「ちちうえ……」
「いや、まさか、こんな許可が通るとは思わんだろう!?」
人にそんな大事なものを預けるからと父上を睨んで見せれば僕を庇っていた父上が慌てた様子で僕に振り返る。宰相も何を間違ってこんな許可を……なんて思っていれば、二枚目の紙をさらに見せ始めて嫌な予感がした。残念ながら少し離れていて小さくて字が見えない。見えたとしても僕には読めない文字があったかもしれないが。
「で、陛下及び、王子様誘拐にも許可いただいちゃったんでぇ大人しく誘拐されてくださいよぉ?まあ、抵抗したところで無駄だけどねぇ」
わざわざそんな許可をとる悪党も悪党だけど許可をした宰相の考えがわからない。仕事のしすぎで頭がおかしくなっちゃったんだろうか?父上が仕事しないから………。
「ちちうえ、かえったらさいしょうにあやまりましょうね」
「うーん……王子様よ、誘拐の意味わかってるかぁ?」
「息子は今時ないくらい純粋すぎるのだ……」
「王様も大変だなぁ」
「わかってくれるか……」
「話は聞いてやっから、腕出せよ。逃げれねぇように一応なぁ」
「ロープはだめです。僕は、はだがよわいのですぐあかくなっちゃうんです」
先生がいつか言ってました。誘拐されるときは犯人に従いながらも自分の意見も主張してみること、と。僕はまだ子供だからある程度なら聞いてもらえる可能性があるって。まずは自由を少しでも確保するよう言ってました。父上は大人だから大人しく手首を巻かれてる。僕を庇ったあれはなんだったのかななんて思うけど父上は顔こそ怖いだけで弱いのを僕は知ってるから仕方ないと思う。
父上は昔から剣や運動に関してはからっきしだめだと母上が内緒で教えてくれていたから。
「あーならあのおじさんに抱っこしてもらいなぁ。逃げようとすんなよぉ?」
「はい!」
僕は悪党のリーダーみたいな人に言われた通りに言われたおじさんに抱っこをせがめば、おじさんは悪党とは思えない優しい手付きで抱き上げてくれる。悪い人たちだけど、なんだか憎めない人たちだ。でも誘拐は悪いことだって先生が言ってたからやっぱり悪党ではあるんだろう。
「うーん、いい返事ぃ。誘拐してる気分じゃなくなるわぁ」
「じゃあ、しないでください。わるいことはだめです」
反省したのかとそう言えばぽかんとする悪党のリーダーのような人。
「いやいやいや、その通りなんだけどねぇ?そうじゃねぇんだよ。あぁもう調子狂う!まあ、目的は達成したし、とりあえず基地へ戻るぞ!」
「「「「おう!」」」」
「おへんじははいです!」
「「「「はい!」」」」
「いや、お前ら何王子様に従っちゃってんの!?」
結局悪いことはやめるつもりはないようでがっくりしながらもお返事の仕方を注意すればすぐに直してくれたおじさんやお兄さんたち。
先生が言ってました。徐々に悪党をしつけることで逃げ道が必ずできると。だからだめなことはだめって言いました。悪い人たちだけど、きっと僕がいい子にしてあげます!
そう僕は決意して父上と一緒に誘拐された。前代未聞の誘拐許可にどうしたらいいのかと戸惑う衛兵たちを置き去りに。
「ちゃんとかえってきますからだいじょうぶですよー!」
せめて心配させないようにそう大声で伝えれば
「いや、帰られても困るんだけどよぉ……どんな教育してるわけぇ?」
「面目ない……」
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