泣かないで!~王子様は悪役令嬢に笑ってほしい~

荷居人(にいと)

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1章ー幼少期ー

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「ふぇ……っ」

ぐずぐずと泣きながら口をぱくぱくとするエリーナとそれを見ながらひっひっひっと笑う先生。少し仲間外れな感じがするので僕も読唇術を覚えたい。エリーナのためにも。

「ひひっなんと……私にですか?ありえませんね!ひっひっひっ」

「せ、せんせい?」

少ししてエリーナに何かを質問でもされたのか、ありえないと言い放った先生に首を傾げる。急に大声を出した先生にエリーナは目を見開けているがどことなく安心した様子が伺えた。先生の答えはエリーナにとって不安要素を取り除くものだったのだろう。

「ひっひっひっ説明いたしますとね、エリーナ嬢の夢では騎士団長に息子がいて、その息子もヒロインとやらに惚れて、エリーナ嬢を断罪するひとりのようです」

「え?でもせんせい、どくしんですよね?」

「ひひっそうなんですよ。私自身キリアス殿下以外愛せるとは思いませんからね。私は一生独身ですよ、ひっひっひっ」

それは光栄だけど一生独身宣言はどうなんだろう……?まあ、先生がそれでいいならいいのかなぁ?

「ひく……っ」

「ん?なら、やっぱり悪夢なだけと?ひひっまあ、いくら私でも未来がわかるわけではないので……」

「わからないんですか?」

思わず口を挟んでしまった。だって先生なら未来すらも知ってそうな気がして。普通に考えたら先生がいくらすごくても先生も人間だから不可能はあるだろうに。

「ひっひっひっ未来予想ならできるかもしれません」

さすが先生。僕の期待を裏切らない。あくまで予想なのは本当に未来がわかるわけではないからだろう。それでも予想できるだけすごいと思う。

「どうやってみらいのよそうをしるんですか?」

「ひひっ占いです。私、占い師でもありまして。滅多にすることはありませんが、よく当たるから怖いと言われますひっひっひっ」

もはや予想じゃなくて未来を当てにいってる……?先生はもう神様にでもなれるんじゃないだろうか。

「いままでどんなことをうらなったんですか?」

「ひひっこの一年の気候やこの国が危機に見舞われないかなどですね」

僕の知ってる占いと違う。規模が、違いすぎるよ!それって占えるものなの?それが当たるなら確かに占ってもらうのは怖いかもしれない。

「エリーナ、うらなってもらいますか?」

それでもエリーナを安心させるきっかけになる可能性もあるならとエリーナに問えば、エリーナはゆっくりと頷いた。少し怯えてか下唇を噛み締めながら。

「ひひっ悪い未来でも私ならそれを変えるにはどうすればいいかも占えますのでご安心を」

未来を操作できるなんて先生は僕の先生にとどまっていい人なんだろうか?なんて思う。だって、なんかもうすごいを超えてしまっているんだもん!先生なら正直なんにでもなれそう………………あ、既になんにでもなってるか。

僕は考えすぎて頭がおかしくなりそうだったのでそれ以上考えるのをやめた。
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