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1章ー幼少期ー

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………しばらくして落ち着いた様子のエリーナだけど、泣きすぎて話せないのは変わらないどころかまだぽろぽろと泣いてはいる。でも筆談ができる辺り本人的には落ち着いているんだろう。

「ふぇ……っうう……っ」

【ありがとうございます。ほとんどおとうさまがいってたのとかわりはないんですが、なにをおはなししたらいいですか】

字が震えた様子がないのも確認してとりあえずは大丈夫そうだと話を進めることにした。色々気になることはあるけどまずは人物についてだろうか?

「まずはヒロイン?ってこがどんなこかわかりますか?」

「……っ」

【みたら、わかります】

「いや、そうじゃなくて……」

気のせいかもしかしてあまりヒロインについて話したくない?ああ、やっぱ僕が不貞を働かないか心配なのかな?うーん、でもそれじゃあ僕も誰に警戒すればいいかわからないし……。

「ひっく……」

【ごめんなさい。わかってるんです。でも、やっぱりこわくて。ヒロインはとてもかわいいから】

「エリーナいじょうにかわいいひとっているの?」

エリーナの言葉に無意識に出た声。とたんにうるうるとしたエリーナの目が開かれ……

「……っ!?」

あ、あれ?なんか固まっちゃった?というか顔が真っ赤……もしかして照れてる……?うわぁ、本当にどうしよう!可愛すぎない?こんな可愛い子と婚約者になれる人が羨ましいよ!あ、その婚約者僕だった!うんうん、やっぱどう考えてもエリーナと婚約破棄なんて絶対考えられないよ。

【きっとキリアスさまはまだわたしいがいのごれいじょうにあったことないから、そうおもわれるんです】

あ、僕の名前書いてくれたと嬉しくなりながらも、顔を真っ赤にしてそう筆談してくれたエリーナに、はて?と思う。どうしてそんな風に思われたのかと。

「僕、エリーナいがいにもほかのことあったことありますよ?エリーナはきょうはじめてですけど……」

「あぅ……っひくっ」

【おとうさまがキリアスさまはふだんおべんきょうなどでいそがしいからあまりひととはあわないっていってました】

「たしかに、あうのはおとながたいはんですが、僕たちみたいなこどもとまったくあわないわけじゃないですよ?こどもでもでられるパーティーにもなんかいかはでてますし……」

「う……うう……っ」

【すみません。わたし、ないてばかりでパーティーはずっとやすんでました】

そこでなるほどと思う。何故婚約者でありながら今までこうして場を用意してもらうまで会えなかったのか。確かに祝い事など明るいパーティーで泣いている子を連れてくるのもどうかとなるだろう。なんならエリーナは公爵家のご令嬢。周りが気を遣ってしまい楽しむパーティーも楽しめなくなるかもしれない。そういう気遣いと泣くエリーナを無理に行かせる必要はないだろうというジルバス公爵の心遣いが伺える。

出会った今ではそれでよかったように思う。何せ、こんなに可愛いエリーナを他の子に見せたくはないななんてそんな心の狭いことを思ってしまったから。なんだか、エリーナといると僕が僕じゃないみたいだ。

「じゃあ、こんどから僕といっしょにでませんか?エリーナをいじめるやつは僕がやっつけます!ヒロインってこも!」

それはそれとしてエリーナが変に気にかけないように今度からは僕と一緒にと誘いつつ、不安の原因だろうヒロインをやっつける発言をする。

僕の中でヒロインはエリーナを泣かせる魔女の図が出来上がっていた。なんでかって?だって魔法でもないと僕がエリーナと婚約破棄してエリーナを処刑だなんて信じられないから。

「うく……っ」

【ヒロインはおんなのこですよ?】

「うーん、おんなのこにはやさしくしなきゃだめだけど、エリーナをなかせるわるものですよね?僕、エリーナなかせるこはおんなのこだってゆるさないです!」

今の僕はエリーナにかっこよく、頼れる男としてアピールした。好きな子には誰だって自分が一番よく見られたいのは当然でしょ?
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