3 / 4
学園一部編
しおりを挟む
「うぐ……ひく……っ」
「あーレーヴェ嬢?せ、先生の顔が怖いかな?大丈夫だよー?」
授業で泣き続けるエリーナについに根負けしたとばかりに教師が授業を止めて泣き止まそうとするのがわかる。しかし、決してエリーナは教師を怖がっているわけじゃない。
「先生、エリーナは学園に入れた感動とついていけるか不安で泣いているようです」
「後者はともかく、学園に入れた感動って入学式からもう1ヶ月経ってるけど………?」
「エリーナは感受性が強くて幼い頃私の家の庭の薔薇の輝かしさに感動して毎日薔薇を見ながら一年間泣き続けました。今では我慢して黙ってはしまいますけど、泣くことはなくなりましたよ?」
それからは毎度同じように授業で教師が変わる度説明した。婚約者として当然のことだと思ってエリーナの通訳も同時にやり続けた結果、気がつけば俺たちの席は隣同士が固定に。
どうやら俺たちの愛が伝わりすぎたようだ。エリーナも俺の隣で安心するようだし、俺も嬉しいしで何よりである。
「う……っう………っ」
「先生!エリーナがそこがわからないのでもう少し詳しくと」
「そ、そうか?どこがわからないんだ?」
「ひく……っ」
「だそうです」
「すみません、キリアス様、私にはレーヴェ嬢語がわからなくてですね」
この学園では生徒のわからないことを理解するのが教師と聞いていたけど、想像より怠けているんだろうか?まあ俺の家庭教師もエリーナのことを理解してなかったが……うん、まあ、エリーナのことは俺が理解していればいいか。
「そこの公式問題の途中式が簡略しすぎてわからないようです。一度細かく書いていただけますか?それを見れば自分なりに解けそうだそうです。後、できれば私は書くのが遅いのでもう少し消すのを待っていただけたら助かりますと。話はとてもわかりやすいです。でも指摘ばかりして不快にさせたら申し訳ありませんと謝罪もしています。ですが、できれば授業の後質問をしたいと」
「あのしゃっくりにそんな長文が……?し、質問は構いませんが、キリアス様、同行をお願いできますか?」
「それは構いませんが……エリーナはいいか?」
「ひく……っ」
「レーヴェ嬢はなんと……?」
「はは、俺が……私がいないと心細いからぜひと」
「………キリアス様、授業中に惚気ないように」
「え?」
聞かれたから答えたのに叱られたのは何故。なんだかなあと思いながらその日の授業は終わったし、質問もできてエリーナのご機嫌がよかったので気にしないことにした。
泣くほどに理解できたことが嬉しいなんてエリーナは本当に真面目だと思う。もちろんそんなエリーナも可愛いわけだけど。
「キリアス様、惚気は帰ってからお願いします」
「え?」
口に出しただろうか?その日はなんだか数学の教師の視線が痛かった。そういえばあの教師は独身………そう考えたとたん背中に寒気がしたので考えるのをやめた。
~宣伝学園一部編終了~
あとがき
宣伝一部はこれで全てです。意外と好評なようなので長編がんばってみようかなと思います。
とりあえずはタイトルから……今回の名前はあくまで仮ですが、そのまま使う可能性もあります。
いい名前あればぜひお願いします!
「あーレーヴェ嬢?せ、先生の顔が怖いかな?大丈夫だよー?」
授業で泣き続けるエリーナについに根負けしたとばかりに教師が授業を止めて泣き止まそうとするのがわかる。しかし、決してエリーナは教師を怖がっているわけじゃない。
「先生、エリーナは学園に入れた感動とついていけるか不安で泣いているようです」
「後者はともかく、学園に入れた感動って入学式からもう1ヶ月経ってるけど………?」
「エリーナは感受性が強くて幼い頃私の家の庭の薔薇の輝かしさに感動して毎日薔薇を見ながら一年間泣き続けました。今では我慢して黙ってはしまいますけど、泣くことはなくなりましたよ?」
それからは毎度同じように授業で教師が変わる度説明した。婚約者として当然のことだと思ってエリーナの通訳も同時にやり続けた結果、気がつけば俺たちの席は隣同士が固定に。
どうやら俺たちの愛が伝わりすぎたようだ。エリーナも俺の隣で安心するようだし、俺も嬉しいしで何よりである。
「う……っう………っ」
「先生!エリーナがそこがわからないのでもう少し詳しくと」
「そ、そうか?どこがわからないんだ?」
「ひく……っ」
「だそうです」
「すみません、キリアス様、私にはレーヴェ嬢語がわからなくてですね」
この学園では生徒のわからないことを理解するのが教師と聞いていたけど、想像より怠けているんだろうか?まあ俺の家庭教師もエリーナのことを理解してなかったが……うん、まあ、エリーナのことは俺が理解していればいいか。
「そこの公式問題の途中式が簡略しすぎてわからないようです。一度細かく書いていただけますか?それを見れば自分なりに解けそうだそうです。後、できれば私は書くのが遅いのでもう少し消すのを待っていただけたら助かりますと。話はとてもわかりやすいです。でも指摘ばかりして不快にさせたら申し訳ありませんと謝罪もしています。ですが、できれば授業の後質問をしたいと」
「あのしゃっくりにそんな長文が……?し、質問は構いませんが、キリアス様、同行をお願いできますか?」
「それは構いませんが……エリーナはいいか?」
「ひく……っ」
「レーヴェ嬢はなんと……?」
「はは、俺が……私がいないと心細いからぜひと」
「………キリアス様、授業中に惚気ないように」
「え?」
聞かれたから答えたのに叱られたのは何故。なんだかなあと思いながらその日の授業は終わったし、質問もできてエリーナのご機嫌がよかったので気にしないことにした。
泣くほどに理解できたことが嬉しいなんてエリーナは本当に真面目だと思う。もちろんそんなエリーナも可愛いわけだけど。
「キリアス様、惚気は帰ってからお願いします」
「え?」
口に出しただろうか?その日はなんだか数学の教師の視線が痛かった。そういえばあの教師は独身………そう考えたとたん背中に寒気がしたので考えるのをやめた。
~宣伝学園一部編終了~
あとがき
宣伝一部はこれで全てです。意外と好評なようなので長編がんばってみようかなと思います。
とりあえずはタイトルから……今回の名前はあくまで仮ですが、そのまま使う可能性もあります。
いい名前あればぜひお願いします!
23
お気に入りに追加
757
あなたにおすすめの小説
王子の片思いに気付いたので、悪役令嬢になって婚約破棄に協力しようとしてるのに、なぜ執着するんですか?
いりん
恋愛
婚約者の王子が好きだったが、
たまたま付き人と、
「婚約者のことが好きなわけじゃないー
王族なんて恋愛して結婚なんてできないだろう」
と話ながら切なそうに聖女を見つめている王子を見て、王子の片思いに気付いた。
私が悪役令嬢になれば、聖女と王子は結婚できるはず!と婚約破棄を目指してたのに…、
「僕と婚約破棄して、あいつと結婚するつもり?許さないよ」
なんで執着するんてすか??
策略家王子×天然令嬢の両片思いストーリー
基本的に悪い人が出てこないほのぼのした話です。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。
「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?


光の王太子殿下は愛したい
葵川真衣
恋愛
王太子アドレーには、婚約者がいる。公爵令嬢のクリスティンだ。
わがままな婚約者に、アドレーは元々関心をもっていなかった。
だが、彼女はあるときを境に変わる。
アドレーはそんなクリスティンに惹かれていくのだった。しかし彼女は変わりはじめたときから、よそよそしい。
どうやら、他の少女にアドレーが惹かれると思い込んでいるようである。
目移りなどしないのに。
果たしてアドレーは、乙女ゲームの悪役令嬢に転生している婚約者を、振り向かせることができるのか……!?
ラブラブを望む王太子と、未来を恐れる悪役令嬢の攻防のラブ(?)コメディ。
☆完結しました。ありがとうございました。番外編等、不定期更新です。
泣かないで!~王子様は悪役令嬢に笑ってほしい~
荷居人(にいと)
恋愛
「う……うえぇえぇぇんっ」
「え?え?どうしたの!?な、なかないで!」
今日は僕の婚約者となる人の初対面日。一目惚れしたと同時に、出会って初めての顔合わせで僕を見て急に泣き出した僕の婚約者。
何々?君は悪役令嬢で?(こんなに可愛い子が?)未来で僕はヒロイン(誰それ?)に惚れて君と婚約破棄をする!?
(こんな可愛い)君にそんな酷いことをするなんて考えられない!
「ぜったい、きみをしあわせにするから僕をしんじて!」
宣伝にて様子見したところ意外と好評だったため、長編がんばることにしました!
王子視点で送る悪役令嬢とは名ばかりの婚約者溺愛ストーリー。
好きな人の幸せのためならなんだって頑張れる。そんな一途な王子と涙が溢れて止まらない。そんな泣きすぎて言葉が話せない泣き虫婚約者の一味違ったラブストーリー!
早くもHOTランキング5位ありがとうございます!

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる