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幼少期一部編
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エリーナと出会った運命の日、エリーナが泣きすぎて話せない状況だったため筆談をとった。実はそれからもエリーナは常に泣いていて泣き声しか聞いたことはない。
それでも筆談しながら僕に一生懸命伝えようとする姿は可愛らしくて、笑ったらもっと可愛いんだろうなと想像する。
「ひく……っうぐ」
そんな想像をしていたらくいくいと可愛らしい手が僕の袖を引っ張るのでああ、文字が書けたのかと紙を見た。
『わたし、げーむではきりあすさまがいちばんおしでした』
「おし?」
エリーナは前世の影響かたまにわからない言葉を書く。もしかしたら僕の勉強不足かもしれないとも思うので俄然エリーナのためにも勉強しないとと燃えているのはここだけの秘密だ。エリーナに引かれたりしたら僕が泣く自信があるから。努力は見せびらかすものじゃないと従者も言っていたし。
「う……っう……っ」
『すきってことです』
この瞬間推しって言葉は一生忘れない言葉となった。初めてのエリーナからの好きという言葉なのだから当然である。
「……エリーナ、ここにじぶんのなまえと、僕のことがすきってかいて」
「……っ?」
『えりーな、きりあすさまがすき』
「たからものにする!」
「や……っうう……っ」
思わず嬉しくて紙を持っては懐に仕舞えばエリーナが恥ずかしそうに泣きながらこちらを見つめる。え、なに、かわいい……これが未来の悪役令嬢だなんて誰が思うだろう?
エリーナの話を信じるとしてもエリーナが悪いことするとは思えないし。エリーナが悪いことして死んじゃうなら僕は王子をやめてでも庇う。絶対げーむとかいう僕みたいにヒロインって子と浮気とかしない。
こんな可愛いエリーナを放って他の女の子と仲良くだなんてげーむの僕を殴りたいくらいだ。でもヤキモチ妬いて意地悪するエリーナは可愛いかもしれないけど……それでエリーナが死んじゃうなら阻止しないといけない。
そんな感じで僕たちは会える日を仲良く過ごしていたんだけど……ある日、教育係に言われた言葉で、僕は筆談なしにエリーナの言いたいことを理解しようという決意が宿る。
それは貴族内で珍しい恋愛結婚をしたと言われる教育係エドワイド・ラント先生からどうすればエリーナともっと仲良くなれるかと勉強の休憩時間に聞いたときだった。
「そうですなぁ、私たちは誰よりもラブラブであると言われたら否定できませぬ。何せ何も言わずとも意志疎通ができますからな」
「こ、ことばもなく?」
「相手を想う気持ちさえあれば時に言葉なく互いを理解できますとも」
この時、エドワイド先生が時と場合によると遠回しに言っていたつもりだったようだが、泣いて言葉を言えないエリーナに筆談させてばかりじゃ仲良くなれないんだと本気で思った僕。げーむとやらの話をきいてから仲良くなれないのはエリーナを不安にさせる一因でもあるということでもあった僕はその日からエリーナが僕に何を伝えたいかの特訓を開始した。
「ひっく……」
「りんごがたべたい!」
「うく……っ」
『おしいです。あっぷるぱいがたべたいです』
「あっぷるぱいかー!くそぅ……ジード、アップルパイ用意して!」
「……はい」
答えを出されて悔しい思いをしながらも近くにいた従者ジードにエリーナの食べたいものを用意するように言う。そういうわけで始まったエリーナと仲良くなる特訓はみるみるうちに上達し、ジードに何故わかるんです?と言われようともわかるからわかると返せるぐらいに成長した。
これでいつ泣いていても黙っていてもエリーナの言いたいことがわかるぞと確かな自信を持って。
「えぐ……っ」
「きにしなくていいよ!なくのはつかれをとるのにだいじなんだってエドワイドせんせいがいってたから!つかれをためるとしんじゃうこともあるみたいだからいっぱいないていいよ!」
おかげですぐエリーナの不安も汲み取れてよかったと思う。いつかエリーナに笑う日が来ることを願いながらも、泣くほどに未来を重く受け止めてそれがストレスになっているだろうエリーナの涙を止めることはできない。
だから今はたくさん泣いてその分思いっきり笑える日が来たらと願う。それまで不安や恐怖は僕が全て感じとってなくしてあげるから。
~宣伝幼少期編一部終了~
あとがき
思った以上に続き読みたいと言ってくださる方がいたことに驚きと喜びでいっぱいです。
書くとすれば改めて新作で出すかと思います。タイトルはもう少し短くできないかと検討中です。
泣いてばかりのヒロインになにこいつと思われないかひやひやだったための宣伝小説ですが、意外と受け入れてもらえているようで何よりです。
他にも意見あればぜひお願いします。爵位に関しては本編にて明らかにする予定のためあえての名前のみです。
話やキャラについての意見も嬉しいですが、タイトルについても意見いただけたら参考にしたいです!あまりにも長いので……。
ちなみに今回はあっさりと書きましたが、長編では特訓場面はもっと長くなるかと思います。
それでも筆談しながら僕に一生懸命伝えようとする姿は可愛らしくて、笑ったらもっと可愛いんだろうなと想像する。
「ひく……っうぐ」
そんな想像をしていたらくいくいと可愛らしい手が僕の袖を引っ張るのでああ、文字が書けたのかと紙を見た。
『わたし、げーむではきりあすさまがいちばんおしでした』
「おし?」
エリーナは前世の影響かたまにわからない言葉を書く。もしかしたら僕の勉強不足かもしれないとも思うので俄然エリーナのためにも勉強しないとと燃えているのはここだけの秘密だ。エリーナに引かれたりしたら僕が泣く自信があるから。努力は見せびらかすものじゃないと従者も言っていたし。
「う……っう……っ」
『すきってことです』
この瞬間推しって言葉は一生忘れない言葉となった。初めてのエリーナからの好きという言葉なのだから当然である。
「……エリーナ、ここにじぶんのなまえと、僕のことがすきってかいて」
「……っ?」
『えりーな、きりあすさまがすき』
「たからものにする!」
「や……っうう……っ」
思わず嬉しくて紙を持っては懐に仕舞えばエリーナが恥ずかしそうに泣きながらこちらを見つめる。え、なに、かわいい……これが未来の悪役令嬢だなんて誰が思うだろう?
エリーナの話を信じるとしてもエリーナが悪いことするとは思えないし。エリーナが悪いことして死んじゃうなら僕は王子をやめてでも庇う。絶対げーむとかいう僕みたいにヒロインって子と浮気とかしない。
こんな可愛いエリーナを放って他の女の子と仲良くだなんてげーむの僕を殴りたいくらいだ。でもヤキモチ妬いて意地悪するエリーナは可愛いかもしれないけど……それでエリーナが死んじゃうなら阻止しないといけない。
そんな感じで僕たちは会える日を仲良く過ごしていたんだけど……ある日、教育係に言われた言葉で、僕は筆談なしにエリーナの言いたいことを理解しようという決意が宿る。
それは貴族内で珍しい恋愛結婚をしたと言われる教育係エドワイド・ラント先生からどうすればエリーナともっと仲良くなれるかと勉強の休憩時間に聞いたときだった。
「そうですなぁ、私たちは誰よりもラブラブであると言われたら否定できませぬ。何せ何も言わずとも意志疎通ができますからな」
「こ、ことばもなく?」
「相手を想う気持ちさえあれば時に言葉なく互いを理解できますとも」
この時、エドワイド先生が時と場合によると遠回しに言っていたつもりだったようだが、泣いて言葉を言えないエリーナに筆談させてばかりじゃ仲良くなれないんだと本気で思った僕。げーむとやらの話をきいてから仲良くなれないのはエリーナを不安にさせる一因でもあるということでもあった僕はその日からエリーナが僕に何を伝えたいかの特訓を開始した。
「ひっく……」
「りんごがたべたい!」
「うく……っ」
『おしいです。あっぷるぱいがたべたいです』
「あっぷるぱいかー!くそぅ……ジード、アップルパイ用意して!」
「……はい」
答えを出されて悔しい思いをしながらも近くにいた従者ジードにエリーナの食べたいものを用意するように言う。そういうわけで始まったエリーナと仲良くなる特訓はみるみるうちに上達し、ジードに何故わかるんです?と言われようともわかるからわかると返せるぐらいに成長した。
これでいつ泣いていても黙っていてもエリーナの言いたいことがわかるぞと確かな自信を持って。
「えぐ……っ」
「きにしなくていいよ!なくのはつかれをとるのにだいじなんだってエドワイドせんせいがいってたから!つかれをためるとしんじゃうこともあるみたいだからいっぱいないていいよ!」
おかげですぐエリーナの不安も汲み取れてよかったと思う。いつかエリーナに笑う日が来ることを願いながらも、泣くほどに未来を重く受け止めてそれがストレスになっているだろうエリーナの涙を止めることはできない。
だから今はたくさん泣いてその分思いっきり笑える日が来たらと願う。それまで不安や恐怖は僕が全て感じとってなくしてあげるから。
~宣伝幼少期編一部終了~
あとがき
思った以上に続き読みたいと言ってくださる方がいたことに驚きと喜びでいっぱいです。
書くとすれば改めて新作で出すかと思います。タイトルはもう少し短くできないかと検討中です。
泣いてばかりのヒロインになにこいつと思われないかひやひやだったための宣伝小説ですが、意外と受け入れてもらえているようで何よりです。
他にも意見あればぜひお願いします。爵位に関しては本編にて明らかにする予定のためあえての名前のみです。
話やキャラについての意見も嬉しいですが、タイトルについても意見いただけたら参考にしたいです!あまりにも長いので……。
ちなみに今回はあっさりと書きましたが、長編では特訓場面はもっと長くなるかと思います。
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