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1章いや、令嬢らしくとか無理なんで

12~ディオ視点~

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ついに会ってしまった。リアと王太子の兄上が。今日会う前に、ナルシー兄上を追いかけ回して殺そうとしていたのには驚いたけど、リアがナルシー兄上に惹かれてない様子に安心してしまう自分がいた。それでもそのせいでリアがいらぬ敵を作るのはよしとしないので注意はしたけど。

それはそれとしても王太子となるシューン兄上はどちらかと言えば善良な人だから真っ直ぐで素直なリアが惹かれないかハラハラしている。いつだって人を悪く言うときは黒いもやが見られるシューン兄上はリアとは逆に素直じゃないだけ。時折素直になるのは自分のバカさ加減にはっとして油断したとき。

悪い人とは言いきれないけど僕はシューン兄上が本心で僕を悪く言うナルシー兄上より嫌いだった。

何をしても許され、褒められる存在がただ妬ましかったのかもしれない。いくら頑張っても怖がられ、悪意に晒され、僕を褒める存在なんていなくて、それだけに誰よりも褒められ、周りに囲まれるシューン兄上が羨ましくて大嫌いだった。だからこそ怖い。リアがもしシューン兄上に他の人と同じように好意を抱いたら?冷静でいられる自信がない。

なのにシューン兄上をフォローするようなことを言う自分が嫌になる。

「リア………シューンあにうえとこんやくしたいとおもう…………?」

「え、いやだけど」

こうももやもや、ハラハラするのに耐えきれず聞けば即答の声。リアの表情を見れば何言ってんだ?とばかりに怪訝な様子を見せた。黒いもやなんてなくどこまでも真っ直ぐに答えてくれるリアにひどく安心した。

「あにうえとけっこんしたらおうひになれるよ?」

気がつけば安心ついでにとそんなことまで言ってしまう。

「いや、おうひとかあたいにはむり。まあそれでもディオがこうていにでもなるならあたいもとなりでがんばるよ」

「こうてい……って」

リアはその意味をわかっているんだろうか?皇帝は王となるシューン兄上さえも上回る世界の支配者とも言える地位。それに僕がなれると彼女は思っているのだろうか?悪魔と恐れられる僕が。

「ふん、さっきから聞いてれば世迷い言を……悪魔が王なんて……」

「おうさまはむりだけどそのうえにいけるんだよ、ディオはな。じゃらじゃらにはおうさますらもったいねぇけど」

「な………っ」

「リア……」

確信してるとばかりに僕を信じてくれるのは嬉しいけど、何故リアはこうも恐れ知らずとばかりに喧嘩を売っていくんだろうか?これは本当にリアのために皇帝にでもならないとリアを守れそうにないななんて思ってしまう。

悪魔の力……いらぬものと考えていたけれど、リアのためなら利用するのもいいかもしれない。

なんて思考している間にもリアがシューン兄上と一悶着ありそうだったのでナルシー兄上の件と同様に再び止めに入ったのは言うまでもない。
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