ヤンキー女が悪役令嬢になりまして~神様から皇帝を恋に落として世界を救ってほしいと言われたが、頼むやつ間違ってねぇか?~

荷居人(にいと)

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1章いや、令嬢らしくとか無理なんで

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さらに一難去ってまた一難………次はディオにまで説教をされている。解せぬ。

「くろかみにするのもおどろきなのにあにうえにああいうことをしては……」

しかし、ディオの場合は黒髪のことではなく少し前のことにあった。少し時間を遡りディオに会う前に出会ったクソガキの話をしよう。

またしばらく父の顔を見れなくなりディオと会う日。私が黒髪になったからか、城の衛兵たちの警戒心が酷いこと。それにイライラしながらなんとか城内に入れたところでアレは現れた。

「やはり悪魔の婚約者は悪魔か」

えらっそうな上目線から、えらっそうなきんきらの服を着て、えらっそうに金髪靡かせたクソガキ。この時ほど黒髪にしてよかったと思わない日はないだろう。これとお揃いの金髪とか寧ろ髪をむしりたくなる。まあとにかくそれほど第一印象は最悪だったと言いたい。

「おまえがかおがうるさいガキか」

売られた喧嘩は買う主義な私は知らない人だが、知ってるとばかりに喧嘩を売りつける。喋らずともナルシスト臭がするこいつに対して瞬時に思うことは顔がうるさい以外思い付かなかった。

「な………っ!ガキにガキと言われる謂れはない!礼儀もなっとらんとは!しかも顔がうるさいとはどういう意味だ!」

父にいくらバカと言われてもわかる。自分より小さい私にガキと言われる謂れはないだけでガキである認識はあるのだと。顔がうるさいってそのままの意味なんだけどこいつバカなのか?というかいちいち大声出さないと喋れない病気かよ。

「あーうるさいうるさい。なら、じぶんよりちいさいやつにけんかうってんじゃねーよ!よわむしにもつれいぎなんてあってもすてるわ」

まずない礼儀を捨てるもなにもないわけだが。

「よ、よわ………!こ、この第二王子ナルシー・セバールと知っての暴言か!」

「ぶはっ」

まさかの名前に吹かずにはいられなかった。めっちゃ似合うじゃん!名付け親天才かよ!未来見えてたのレベル!

「何を笑っている!」

「あはははっわりぃわりぃナルシスト」

「ナルシーだ!いや、呼び捨てを許した覚えはない!」

「呼び捨ててねぇって、ナルシスト」

「私の名を知ってもバカにするとは!処刑して……」

「あ?」

「ひっ」

その時一気に笑いが冷めた。私は死ねだとか殺すだとか言った言葉を軽々しく言うやつが嫌いだ。しかもこいつは自分から喧嘩を売りながら私を処刑してやると?つまりこれはガキの喧嘩から殺し合いになったわけだ。それなら父みてぇに手加減はしてやらねぇ。

「しょけいじょうとう!しぬまえにてめぇをころしてやるよ!」

「ぎゃああああああ」

それからはナルシストとの追いかけっこが始まり、誰かが呼んだのか私が中々来ないから探しに来たかディオに止められ、今に至るというわけである。

………………私悪くなくね?アレ生きてるし。
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