ヤンキー女が悪役令嬢になりまして～神様から皇帝を恋に落として世界を救ってほしいと言われたが、頼むやつ間違ってねぇか？～

1章いや、令嬢らしくとか無理なんで

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髪を黒くした。でもどんな力を手に入れたかは追い追いわかるみたいで神様でも何を得たか、いつどこでそれがわかるのかはわからないみたいだ。既に手にしているのは確実らしいがそれが何なのかは自分で気づかないといけないらしい。

まあそのうちわかんだろ！とわくわくしている私の気分を急降下させたのは髪を黒くした私を見て怯える姿を見せる使用人たち、そして…………

「る、ルルリア……！なんと、なんということを…………！」

最近私の頭突きで肋骨を折り、ようやく復帰した父から絶望したような表情を見せたかと思えばかなりの説教が始まる。髪を黒くしただけでまるでおばけにでもなった気分だ。前世の世界にこいつら連れてったら失神するんじゃね？なんて考えながら今の父の説教を聞き流す。

「それにこれでは家庭教師を探すのがより困難に………！」

そんな長々しい説教でもこれだけは聞き逃さなかった。家庭教師を探すのが困難……つまり勉強から逃げずとも勉強をしなくていいと！最高じゃん！黒髪ばんざーい！単純な私は力の出現を前にテンションをあげた。

「よっしゃあ！ならいっしょうべんきょーはなしだな！」

「ルルリア！お前……お前というやつは………！これでは本当に殿下以外と結婚ができないではないか………」

ため息と共に言われる言葉にテンションあげあげの私は首をかしげる。

「こんやくしてんだからそうなんのはあたりまえじゃん」

「はぁ……バカで、やんちゃ通り越した力の強いバカな礼儀をどこかに置いてきたバカ娘でも愛する私の娘に変わりはない。だからこそ王命で結ばれた悪魔に呪われた殿下との婚約をなんとか覆して他の相手を見つけて幸せな結婚をさせてやりたいという親の気持ちをわかれ」

バカ言いすぎだろ……。でもなんだかんだ色々やらかしても説教こそ長いが見捨てることのない姿はいい親だと思わなくもない。まあディオを悪魔と言う辺りディオを傷つける人物の一人っていうのが複雑だが。でもそれよりディオと結婚するのが不幸と決めつけてるのは許せない。

「あたいはディオとけっこんしたほうがしあわせだし！」

ディオはいいやつだ。それに見た目だけで関わりもせず決めるような奴らと結婚するほうが不幸になる。せっかくあがったテンションもそのせいでまた下がりイライラが募るばかり。父が私のためを想うのが嫌なわけではない。だけど何も知らない癖にディオが悪い、ディオといれば不幸になると決めつけるのがどうしようもなくイライラする。

「だがな……」

「ディオをわるくいうなー！」

その日私は、父に飛び蹴りをして父の肋骨を再び折ることとなったとだけ言っておこう。