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元の始まりはざらめ様との出会い。そこから陛下は重度の猫好きになり、猫を拾いに拾ってはざらめ様が仲間が増えたと喜ぶので調子に乗ったそうな。
最初こそ自ら面倒を見るため黙認していた王妃様だったが……。
「これ以上は隠しきれませんよ!」
「別に隠さなくていいではないか~」
「貴方がデレデレを隠せるなら私だって……っ!それに、国の民のお金を使っていることを承知でしょう?」
「おお、それは心配ない。最近、城の地下で野菜栽培をして売っている。それが結構好評なんだ」
「は……い?」
まさかの陛下が畑をあろうことか城内でつくり、商売をしているなど本来ならありえないこと。下手をすれば民の仕事を奪いかねないと危惧した王妃様は猫を何とか国のために利用できないかと考えたそうだ。
働かざる者食うべからずを猫にもさせようとしたらしい。そして思い付いたのが猫と会話……まあ、猫の気持ちを感じ取れる陛下の能力を信じた上で猫に他国の密偵や犯罪に関わりながらうまく隠し通して尻尾を見せない自国の貴族の証拠品強奪ができないかというもの。
結果は大成功だったらしい。おかげで国を腐らせる貴族の半分以上が猫様の手柄とか。すごい。
何よりも他国との商談を有利に進められたらしい。けどこれは陛下にしかできないことであり、なんとか他でもできる方法がないか模索中だとか。てっきり一部始終見てわかったふりをしていた可能性のあった陛下が、本当に猫語がわかるんだとひと安心した私は決しておかしくない。当然の心理だろう。
しかし、成功したとはいえ誰も猫のおかげと信じるかと言われれば無理な話。そういうことで今回のユーザ殿下の企みを利用したのだとか。
そして無事ユーザ殿下の犠牲のもと猫様たちはお給金のもらえる部隊結成となった。とはいえ猫に小判、猫へのお給金は猫のおもちゃと働きに応じた豪華な餌をあげるらしいが。まあさすがに猫にお金は渡せないわけだし妥当だろう。
「まあ愚息の犠牲が無駄にならずに済んだというわけですね。それに猫達のために国のお金を使える正当な理由もできましたし」
「ちなみに今、猫達は何匹いらっしゃるんでしょう?」
「百匹をちょうど超えたところですね」
「ひゃ………っ!?」
猫天国じゃないですか、それ!……じゃなくて、いくら城が広くともよく隠せたなと思う。
「さて、お話はそれくらいにしてラフィーナ嬢、私の話を聞いていただけますか?」
「あ、はい……」
呆然とした私に語りかけたのは改まった様子のラーダ殿下。そういえば今回のことを話した後話があると言っていたななんてすっかり頭から抜けていた。話があまりにも衝撃的すぎて。
そしてラーダ殿下の話に変わると知れると周囲の雰囲気ががらりと変わった気がした。なんだか生暖かい……なんとも言えない、そんな雰囲気が漂う。
なんだろう、今にも逃げ出したいようなこの気持ち……。
最初こそ自ら面倒を見るため黙認していた王妃様だったが……。
「これ以上は隠しきれませんよ!」
「別に隠さなくていいではないか~」
「貴方がデレデレを隠せるなら私だって……っ!それに、国の民のお金を使っていることを承知でしょう?」
「おお、それは心配ない。最近、城の地下で野菜栽培をして売っている。それが結構好評なんだ」
「は……い?」
まさかの陛下が畑をあろうことか城内でつくり、商売をしているなど本来ならありえないこと。下手をすれば民の仕事を奪いかねないと危惧した王妃様は猫を何とか国のために利用できないかと考えたそうだ。
働かざる者食うべからずを猫にもさせようとしたらしい。そして思い付いたのが猫と会話……まあ、猫の気持ちを感じ取れる陛下の能力を信じた上で猫に他国の密偵や犯罪に関わりながらうまく隠し通して尻尾を見せない自国の貴族の証拠品強奪ができないかというもの。
結果は大成功だったらしい。おかげで国を腐らせる貴族の半分以上が猫様の手柄とか。すごい。
何よりも他国との商談を有利に進められたらしい。けどこれは陛下にしかできないことであり、なんとか他でもできる方法がないか模索中だとか。てっきり一部始終見てわかったふりをしていた可能性のあった陛下が、本当に猫語がわかるんだとひと安心した私は決しておかしくない。当然の心理だろう。
しかし、成功したとはいえ誰も猫のおかげと信じるかと言われれば無理な話。そういうことで今回のユーザ殿下の企みを利用したのだとか。
そして無事ユーザ殿下の犠牲のもと猫様たちはお給金のもらえる部隊結成となった。とはいえ猫に小判、猫へのお給金は猫のおもちゃと働きに応じた豪華な餌をあげるらしいが。まあさすがに猫にお金は渡せないわけだし妥当だろう。
「まあ愚息の犠牲が無駄にならずに済んだというわけですね。それに猫達のために国のお金を使える正当な理由もできましたし」
「ちなみに今、猫達は何匹いらっしゃるんでしょう?」
「百匹をちょうど超えたところですね」
「ひゃ………っ!?」
猫天国じゃないですか、それ!……じゃなくて、いくら城が広くともよく隠せたなと思う。
「さて、お話はそれくらいにしてラフィーナ嬢、私の話を聞いていただけますか?」
「あ、はい……」
呆然とした私に語りかけたのは改まった様子のラーダ殿下。そういえば今回のことを話した後話があると言っていたななんてすっかり頭から抜けていた。話があまりにも衝撃的すぎて。
そしてラーダ殿下の話に変わると知れると周囲の雰囲気ががらりと変わった気がした。なんだか生暖かい……なんとも言えない、そんな雰囲気が漂う。
なんだろう、今にも逃げ出したいようなこの気持ち……。
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