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「な……っな……っ!リアンヌはじじ専だったのか!」

「愚息よ、今すぐ殺されたいようだな?ん?」

「にゃあにゃ、にゃ?」

リアンヌの叫びにより反応した殿下の言葉に陛下がキレております。バカなのかな、ユーザ殿下……。陛下の真似をするざらめ様は可愛いけど。

「ひぇ……」

「ふふ、私で争わないでと言ったばかりなのに……ふふ、ふふふ……あはははっ!やっぱり私は愛されヒロインなのねぇえぇぇ!?」

狂ったヒロインの間違いじゃないかな。なんて思った瞬間だった。

「なぁ~う!」

ざらめ様が今日一番の鳴き声を急にあげたその時……どどどどどと鳴り響く音と共に現れる猫、ネコ、ねこ……が尻餅をついたユーザ殿下と狂った叫び声で立ち笑うリアンヌに飛びかかった。

「フシャーッ!」

「うにゃーっ!」

「にゃう~!」

「な、なんだ!やめろぉ!」

「い、いやっ!何よ!このくそ猫がっ!私は、猫が嫌いなのよ!私はヒロインなんだから~っ!」

ざらめ様一匹の時とは比べ物にならないほどの攻撃が繰り広げられる。顔どころかドレスなどの着ているものすら引き裂かれ、リアンヌのはぽろぽろと何かが落ち、ユーザ殿下からは信じられないものが姿を見せた。

「え、リアンヌって男なんですか!」

乙女ゲームじゃヒロインなのに!胸パッドがぽろりとし、あまりの胸のなさに実はBでLのゲームだったかと疑ったが……

「女よ!貧乳で悪かったわね!ってか見ないでよ!」

女であっていたようだ。それよりもリアンヌと会話が成立したことの方が驚きというか……。まさか、これが猫様パワー……?あれから正気に戻すなんてすごい。

いや、それはそれとして……ユーザ殿下は……いや、でも、ええ……っ?

「さて、私の弟は弟であって妹だった覚えはないが……」

「う、うううるさい!これがないと落ち着かないんだ!」

リアンヌがかなりの貧乳以上に注目されたのはユーザ殿下の露になった胸につけられたブラジャー。まあ、前世でそういう人がいるのは知ってたしそこまで気にすることじゃないけど、この世界では……ねぇ。

何よりユーザ殿下はこれからはわからずとも王族なわけだし……。もしかしてざらめ様知ってた?

あの猫様たち攻撃したかのように見せかけて言うほどお二人に怪我は………顔以外はないし。そんなに二人の顔に恨みでも?

怒りでいっぱいのリアンヌ、羞恥でいっぱいのユーザ殿下に痛みを感じている様子はないけど、陛下よりもひどい出血量なのは見るからにわかる。

「にゃふん」

「さすがはザラにゃんだなー!自らやり返すとは!」

「「「なぁう!」」」

「おお、お前たちもよくやったな~!」

あ、やっぱり陛下の猫様なんですね。一体何匹飼ってるんです?

陛下に集まる猫様たちにより私の視界からリアンヌとユーザ殿下は外された。あれを見るくらいなら猫様見て癒されたいですし。

陛下……羨ましいぃぃっ!きっとこの気持ちはリアンヌの怒りにも負けない。
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