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「みぃんな、照れ屋さんで可愛いです……。大丈夫、私はみぃんな大好きですよ?ふふふ」
「こんな嬉しくない告白はないよね」
「だからってラーダ殿下押さないでください~!」
エヴァン様は何とか犠牲にならずに済んだようです。ふふふと気味悪く笑うリアンヌが立ち止まったために。猫様もうしばらく大丈夫そうですからカーテンから離れましょう?
「やっぱり私は愛されるために生まれたのね!ふふ、あははっ!ラーダ様、その婚約受け入れます!エヴァン様、お気持ちは嬉しいですがすみませんね……ふふ」
一人で勝手に話を進めていくリアンヌは狂っていると言ってもいい。ラーダ殿下が一言もリアンヌに求婚してもしていなければ、エヴァン様はリアンヌを拒否しかしてないのだから。
まるで自分の都合の悪いことは聞かないとばかりの妄想の世界に一人いるようなそんな感じ。これがヒロインだなんて誰が信じるだろう?
「随分遅いから来てみれば……何をやっている?ラーダ」
「ち、父上!兄上が、兄上が王太子になるとは真ですか!?」
そんな中、そんな事態を打ち砕くかのように現れた存在はこの国の王様。それに気づいてすぐさま声をあげたのは言わずもがなユーザ殿下。
「そうだが?問題でもあるか」
「そ、そんな……何故、何故です!?」
いくら息子といえど陛下にしがみつくのは些か不敬ではないだろうかと思いながらも止めはしない。恐らくそう思っているのは私だけではないだろう。というより私は陛下が現れた瞬間から気になっている点がある。寧ろそこを問いただしたい。ユーザ殿下は自分のことに必死で気づいてないのだろうか?
「何故?お前が言うのか、何故と」
「へ?」
「ふふふ、ああっ!お義父様、ようやくお会いできましたわ」
そして私が陛下を凝視していれば二人の会話を遮ったリアンヌ。あまりの不敬さに空気が一気に冷たくなる。ひとりくすくすと楽しそうに笑うのはリアンヌのみでユーザ殿下もさすがに顔が真っ青だ。
それを思えばユーザ殿下はまだリアンヌよりまともなのかもしれない。あくまで今のリアンヌよりもだけれど。
「貴様のような者に娘と名乗る資格を与えた覚えはない」
さすがの陛下も怒り顔。自ら破滅に進んでいるようにしか見えないリアンヌに同情する人はいないだろう。何がリアンヌをそうさせているのか全くわからない。そこまでして王妃になりたいのだろうか?
寧ろそれでは一生なれないだろうに。そうじゃなくても厳しいだろうに。
「ふふ、そうですね。お初お目にかかります。ラーダ様の婚約者になりました陛下の娘となるリアンヌ・バッハです」
何をもってそうですね……なのか、そんな私の思いを知ることもなく陛下の言葉を無視するかのように勝手に自己紹介を始めるリアンヌ。そして初めて聞いたヒロインのラストネームは、音楽でも得意そうな名だったために聞き覚えがあるものだった。
「こんな嬉しくない告白はないよね」
「だからってラーダ殿下押さないでください~!」
エヴァン様は何とか犠牲にならずに済んだようです。ふふふと気味悪く笑うリアンヌが立ち止まったために。猫様もうしばらく大丈夫そうですからカーテンから離れましょう?
「やっぱり私は愛されるために生まれたのね!ふふ、あははっ!ラーダ様、その婚約受け入れます!エヴァン様、お気持ちは嬉しいですがすみませんね……ふふ」
一人で勝手に話を進めていくリアンヌは狂っていると言ってもいい。ラーダ殿下が一言もリアンヌに求婚してもしていなければ、エヴァン様はリアンヌを拒否しかしてないのだから。
まるで自分の都合の悪いことは聞かないとばかりの妄想の世界に一人いるようなそんな感じ。これがヒロインだなんて誰が信じるだろう?
「随分遅いから来てみれば……何をやっている?ラーダ」
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そんな中、そんな事態を打ち砕くかのように現れた存在はこの国の王様。それに気づいてすぐさま声をあげたのは言わずもがなユーザ殿下。
「そうだが?問題でもあるか」
「そ、そんな……何故、何故です!?」
いくら息子といえど陛下にしがみつくのは些か不敬ではないだろうかと思いながらも止めはしない。恐らくそう思っているのは私だけではないだろう。というより私は陛下が現れた瞬間から気になっている点がある。寧ろそこを問いただしたい。ユーザ殿下は自分のことに必死で気づいてないのだろうか?
「何故?お前が言うのか、何故と」
「へ?」
「ふふふ、ああっ!お義父様、ようやくお会いできましたわ」
そして私が陛下を凝視していれば二人の会話を遮ったリアンヌ。あまりの不敬さに空気が一気に冷たくなる。ひとりくすくすと楽しそうに笑うのはリアンヌのみでユーザ殿下もさすがに顔が真っ青だ。
それを思えばユーザ殿下はまだリアンヌよりまともなのかもしれない。あくまで今のリアンヌよりもだけれど。
「貴様のような者に娘と名乗る資格を与えた覚えはない」
さすがの陛下も怒り顔。自ら破滅に進んでいるようにしか見えないリアンヌに同情する人はいないだろう。何がリアンヌをそうさせているのか全くわからない。そこまでして王妃になりたいのだろうか?
寧ろそれでは一生なれないだろうに。そうじゃなくても厳しいだろうに。
「ふふ、そうですね。お初お目にかかります。ラーダ様の婚約者になりました陛下の娘となるリアンヌ・バッハです」
何をもってそうですね……なのか、そんな私の思いを知ることもなく陛下の言葉を無視するかのように勝手に自己紹介を始めるリアンヌ。そして初めて聞いたヒロインのラストネームは、音楽でも得意そうな名だったために聞き覚えがあるものだった。
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