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「貴様とは婚約破棄だ!」
そうこの国の王子様であり、同時に私の婚約者に言われたのは卒業パーティーでのこと。それを聞いたとたんやっぱりこうなるんだと私は悲しくなる。
私は決して予知能力とかがあったわけではなく、ただ前世にしていた乙女ゲームの悪役令嬢に転生しただけの中身はただの庶民の高校生だった。
それでもそれを理解してからこの未来で婚約破棄からの処刑を回避しようと私なりに色んな人と仲良くして勉強も頑張って、優等生であろうと励んで攻略対象でもあった婚約者の王子様の隣に立てるように……頑張ったつもりなのに……。
やっぱりヒロインには敵わないの?と王子様の隣にいる女性を見る。愛らしい顔に庇護欲の誘う小柄な正にヒロインに相応しいお姿。
「婚約破棄、ですか……ちなみに殿下その女性は……?」
声が震えてないだろうか、なんとか処刑だけでもなんとかならないだろうかと震える手を押さえて考える。
「知らぬふりとは……リアンヌだ。私の婚約者に相応しい未来の王妃さ」
「ユーザ様……」
ああ、二人の言葉に、様子に涙が出そうだ。これは私の絶望するなき未来への涙か、元々の悪役令嬢ラフィーナの殿下を想う涙か。
「……っ」
なんて弱いのか。ゲームのラフィーナは悪役の中の悪役で、私でさえやりすぎだと思うほどだったけど、それ以上に強く凛々しかった。その強さが今は羨ましく感じる。
悔しい……っそれは努力をしてきた私を嘲笑うかのようにヒロインが王妃に相応しいと宣う殿下に対してか、いとも簡単に殿下をものにしたヒロインに対してか。
頭の中がぐちゃぐちゃとしてわからないが、ただただ悔しかった。涙を我慢できないほどに。
「ふん、泣けば許されるとでも?知らぬとは言わせん、リアンヌを嫉妬でいじめたことは……」
「ふざけないでくださいませ!こんの……っクソ王子!」
さらに追い討ちとばかりにゲーム通り、しかし冤罪である罪を責められかけた時だった。そんな殿下を侮辱する令嬢の声が響いたのは。
「だ……誰だ!私を侮辱したのは今すぐ不敬罪に……!」
当然それを無視するわけにもいかず、殿下のプライドにも癪に障ったのだろう。冷静さをかいたように怒鳴り散らす。
「私が言いました」
「な……っ今のはどう聞いても」
そう自白したのはどう見ても令息で、さっきの声はどう聞いても令嬢だったためにわなわなと震える殿下。私は何が起きているのか当然ながらついていけない。
「私も言いましたわ、クソ王子」
「き、きさ……」
「私も言ってしまいました……はしたなくもクソ王子と……。あまりにお似合いな愛称でしたので」
「~~~っ!」
これは何……?次々と令嬢、令息と私が、私もと殿下を挑発する。まるで自ら不敬罪を下せるならどうぞとばかりに笑顔で。
そうこの国の王子様であり、同時に私の婚約者に言われたのは卒業パーティーでのこと。それを聞いたとたんやっぱりこうなるんだと私は悲しくなる。
私は決して予知能力とかがあったわけではなく、ただ前世にしていた乙女ゲームの悪役令嬢に転生しただけの中身はただの庶民の高校生だった。
それでもそれを理解してからこの未来で婚約破棄からの処刑を回避しようと私なりに色んな人と仲良くして勉強も頑張って、優等生であろうと励んで攻略対象でもあった婚約者の王子様の隣に立てるように……頑張ったつもりなのに……。
やっぱりヒロインには敵わないの?と王子様の隣にいる女性を見る。愛らしい顔に庇護欲の誘う小柄な正にヒロインに相応しいお姿。
「婚約破棄、ですか……ちなみに殿下その女性は……?」
声が震えてないだろうか、なんとか処刑だけでもなんとかならないだろうかと震える手を押さえて考える。
「知らぬふりとは……リアンヌだ。私の婚約者に相応しい未来の王妃さ」
「ユーザ様……」
ああ、二人の言葉に、様子に涙が出そうだ。これは私の絶望するなき未来への涙か、元々の悪役令嬢ラフィーナの殿下を想う涙か。
「……っ」
なんて弱いのか。ゲームのラフィーナは悪役の中の悪役で、私でさえやりすぎだと思うほどだったけど、それ以上に強く凛々しかった。その強さが今は羨ましく感じる。
悔しい……っそれは努力をしてきた私を嘲笑うかのようにヒロインが王妃に相応しいと宣う殿下に対してか、いとも簡単に殿下をものにしたヒロインに対してか。
頭の中がぐちゃぐちゃとしてわからないが、ただただ悔しかった。涙を我慢できないほどに。
「ふん、泣けば許されるとでも?知らぬとは言わせん、リアンヌを嫉妬でいじめたことは……」
「ふざけないでくださいませ!こんの……っクソ王子!」
さらに追い討ちとばかりにゲーム通り、しかし冤罪である罪を責められかけた時だった。そんな殿下を侮辱する令嬢の声が響いたのは。
「だ……誰だ!私を侮辱したのは今すぐ不敬罪に……!」
当然それを無視するわけにもいかず、殿下のプライドにも癪に障ったのだろう。冷静さをかいたように怒鳴り散らす。
「私が言いました」
「な……っ今のはどう聞いても」
そう自白したのはどう見ても令息で、さっきの声はどう聞いても令嬢だったためにわなわなと震える殿下。私は何が起きているのか当然ながらついていけない。
「私も言いましたわ、クソ王子」
「き、きさ……」
「私も言ってしまいました……はしたなくもクソ王子と……。あまりにお似合いな愛称でしたので」
「~~~っ!」
これは何……?次々と令嬢、令息と私が、私もと殿下を挑発する。まるで自ら不敬罪を下せるならどうぞとばかりに笑顔で。
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