47 / 49
40
しおりを挟む
テオと両想いになったところで、使命を放り投げ出すなんてことはできるはずもなかった。私が回収しなければ、闇の存在以上に世界に混沌が生まれるかもしれない。
だから、闇の存在が復活したにも関わらず身体を探そうとしない不穏な動きは神様にも、私たちにも緊張をもたらした。
そしてその緊張感と共に迎えた魂回収の日。回収すべき魂の近くにいる闇の存在を迎え撃つには聖王の力が足りないと思われたけど、闇の存在が何故か聖女に狙いをつけていると、神様から言われて逃げ出した魂が闇の存在に影響しているのではないかと強行するしかなかった。
【アハはハははハハ!やっぱり私がいなくても悪役令嬢は生まれたじゃない!】
「いえ、わたしはあなたをとりこむためにきました。おとなしくてんせいしてください」
【はあ?嫌よ!嫌!なんで私が悪役令嬢なんか!】
闇の存在と一緒にいたせいか少し濁りつつある魂。回収と同時に浄化しなければ、アラビアンに悪い影響があるだろうと悟る。
それは私の魂が無事では済まないかもしれないことを表していた。
「………っく!」
私たちが現れたと同時に、襲ってきた闇の存在を今はテオが足りない力でなんとか抑え込んでくれている。最悪魂回収と同時に闇の存在から隠れてしまえるよう顔を特殊な仮面で隠したテオ。
私が回収さえすればテオはすぐに逃げることができ、また長い年月で必要な力をつけていけることだろう。どちらにしてもこの時は、闇の存在を祓うことなどできないと承知の上。
魂の回収さえできれば、本来流れるはずだった世界の時の流れが正常になる。だから早く回収しなければ、そう思うのに私の手は震えていて、魂の抵抗を押さえつけられなかった。
【悪役令嬢になんかなるものかあああああ!】
「だめ、私の使命は……」
魂の回収。神様の意思に従うこと。わかっている、わかっているのに頭の中で浮かぶテオとの日々。そして消えたくないなんて我が儘な気持ち。
ぐちゃぐちゃと複雑な気持ちが交差して、回収に集中などできるはずもなかった。
【なんだぁ、大したことナイじゃない】
おかげで向こうが油断してくれている。チャンスだ。今なら抵抗させる前に回収を、回収を………回収を?
「アン!」
「て、お………」
仮面越しでもわかる彼の辛そうな表情。
離れたくない……。消えたくない……。彼に会えなくなるのが怖い………!
その想いが勝ってしまった。願ってはいけない未来を想像してしまった。そんな気持ちで回収などできるはずもなかった。
だから、闇の存在が復活したにも関わらず身体を探そうとしない不穏な動きは神様にも、私たちにも緊張をもたらした。
そしてその緊張感と共に迎えた魂回収の日。回収すべき魂の近くにいる闇の存在を迎え撃つには聖王の力が足りないと思われたけど、闇の存在が何故か聖女に狙いをつけていると、神様から言われて逃げ出した魂が闇の存在に影響しているのではないかと強行するしかなかった。
【アハはハははハハ!やっぱり私がいなくても悪役令嬢は生まれたじゃない!】
「いえ、わたしはあなたをとりこむためにきました。おとなしくてんせいしてください」
【はあ?嫌よ!嫌!なんで私が悪役令嬢なんか!】
闇の存在と一緒にいたせいか少し濁りつつある魂。回収と同時に浄化しなければ、アラビアンに悪い影響があるだろうと悟る。
それは私の魂が無事では済まないかもしれないことを表していた。
「………っく!」
私たちが現れたと同時に、襲ってきた闇の存在を今はテオが足りない力でなんとか抑え込んでくれている。最悪魂回収と同時に闇の存在から隠れてしまえるよう顔を特殊な仮面で隠したテオ。
私が回収さえすればテオはすぐに逃げることができ、また長い年月で必要な力をつけていけることだろう。どちらにしてもこの時は、闇の存在を祓うことなどできないと承知の上。
魂の回収さえできれば、本来流れるはずだった世界の時の流れが正常になる。だから早く回収しなければ、そう思うのに私の手は震えていて、魂の抵抗を押さえつけられなかった。
【悪役令嬢になんかなるものかあああああ!】
「だめ、私の使命は……」
魂の回収。神様の意思に従うこと。わかっている、わかっているのに頭の中で浮かぶテオとの日々。そして消えたくないなんて我が儘な気持ち。
ぐちゃぐちゃと複雑な気持ちが交差して、回収に集中などできるはずもなかった。
【なんだぁ、大したことナイじゃない】
おかげで向こうが油断してくれている。チャンスだ。今なら抵抗させる前に回収を、回収を………回収を?
「アン!」
「て、お………」
仮面越しでもわかる彼の辛そうな表情。
離れたくない……。消えたくない……。彼に会えなくなるのが怖い………!
その想いが勝ってしまった。願ってはいけない未来を想像してしまった。そんな気持ちで回収などできるはずもなかった。
0
お気に入りに追加
6,581
あなたにおすすめの小説
婚約破棄先手切らせていただきます!
荷居人(にいと)
恋愛
「お前とはこん………」
「私貴方とは婚約破棄させていただきます!」
女が男の都合で一方的に婚約破棄される時代は終わりです!
自惚れも大概になさい!
荷居人による婚約破棄シリーズ第五弾。
楽しんでいただければと思います!
第四弾までは(番外編除く)すでに完結済み。
お姉様の婚約者を好きになってしまいました……どうしたら、彼を奪えますか?
奏音 美都
恋愛
それは、ソフィアお姉様のご婚約を交わす席でのことでした。
「エミリー、こちらが私のご婚約者となるバロン侯爵卿のご令息、オリバー様ですわ」
「よろしく、エミリー」
オリバー様が私に向かって微笑まれました。
美しい金色の巻髪、オリーブのような美しい碧色の瞳、高い鼻に少し散らしたそばかす、大きくて魅力的なお口、人懐っこい笑顔……彼に見つめられた途端に私の世界が一気に彩られ、パーッと花が咲いたように思えました。
「オリバー様、私……オリバー様を好きになってしまいました。私を恋人にしてくださいませ!!」
私、お姉様からご婚約者を奪うために、頑張りますわ!
婚約破棄してくださって結構です
二位関りをん
恋愛
伯爵家の令嬢イヴには同じく伯爵家令息のバトラーという婚約者がいる。しかしバトラーにはユミアという子爵令嬢がいつもべったりくっついており、イヴよりもユミアを優先している。そんなイヴを公爵家次期当主のコーディが優しく包み込む……。
※表紙にはAIピクターズで生成した画像を使用しています
私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。
「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる