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使命、使命ってなんだっけ?

頭に声が響いてから聖王やウラン、オネエ様たちがみんな私に何かを言っているのに聞こえなくなった。

【早く魂の回収を】

逆に頭の中に響く声だけははっきりと聞こえる。

魂の回収?

【本来転生すべきだった魂を、回収してください】

本来転生すべきだった魂………ああ、そうだ。アラビアンに転生するはずだったを私は回収するために代わりに転生したんだ。

あれ?じゃあ、回収した後私はどうなる?アラビアンであってアラビアンじゃない私は………

【魂の回収は貴女にしかできないことです。あの魂がなければ、聖王も聖女との協力で闇の存在を祓えるでしょう】

私にしか、できないこと……。それができなければ今回みたいに聖王が……クランが命を投げ出してしまうかもしれない。

『君がいなくなるくらいなら、例え辛い道を歩むことになっても僕は………』

ああ、ああ、なんで忘れてたんだろう?あんなに優しい人を。私は身体の存在しない魂の存在。闇の存在と同じようにアラビアンの身体に入っているだけの存在だ。闇の存在と違ってアラビアンの魂と共存してるだけの………。

いや、共存じゃない。私が無理矢理神様の力を借りて本来入るはずだった魂の隙間に入っていただけ。だから、だ。私が意識のない間、アラビアンがユリアをいじめたのは。

アラビアンはわかっていた。自分じゃない自分が何故、アラビアンの中に住み込んでいたのか、だから何かしらのきっかけでユリアにその回収すべき魂があることがわかり、回収させようと必死だったのかもしれない。

いつ自分の身体が乗っ取られるかわからない不安で。死のうとしたのは、自分の身体を取り戻すだけだったつもりが、自分の人生を台無しにする未来物語を知ってしまったから。

記憶の共有ができていたわけじゃなく、断片的に私が眠っている間、アラビアンに記憶が流れていたのだろう。だからこんなことが起こってしまった。

記憶をなくした理由はわからない。アラビアンの記憶を引き継いだつもりで引き継ぎ切れてなかったのは、ただのアラビアンのひそかな抵抗。それで私は自分の使命を思い出せず、勝手にアラビアンに同情していた。

「私、私なんて、ことを」

私は私。ならアラビアンは今どこへ?私は気がつけばアラビアンの気配を感じていない気がする。消してしまった?知らぬ間に追い出してしまったんだろうか?隙間どころか覆い尽くしてしまった?

何故自分がアラビアンに転生したのだと勘違いしてしまっていたのだろう?私は転生じゃなく身体を乗っ取ったようなものなのに。

【勝手に解釈しないでくださる?】

なんて後悔の渦の中で、急に頭に響く声が変わった。それは考えるまでもなく、アラビアンそのものの声だった。
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