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「クララを想い続ける理由、か……単純だと思われるかもしれないけど、やっぱりプロポーズされたときかな」
「プロポーズ!?」
「え」
え、オネエ様がクラート時代に?………って、なんでオネエ様は驚いた顔なの?まさか覚えてないとか?
「ふふ、売り言葉に買い言葉みたいなプロポーズだったからね。覚えてないのも仕方ない」
「その、ごめんなさい」
「構わないよ。次は私からプロポーズをするから。婚約してはいるけど、結婚前にはね」
「う……」
話の途中でいちゃつくのはやめてほしい。この二人を見てると無性に恋人がほしくなる。そんなことを思えるのは私が前向きになってきている証拠かな……。
「まあ、今はプロポーズの話は置いといて、まだ幼いときなんだけどね。私は男女とからかわれているときがあったんだ」
「最低……」
確かにメラニー様は昔から身長が高いし、男性寄りの顔つきだったかもしれないけど、女の子に向かって男女はない。子供とはいえ、許されないことだろう。
その言葉に怒りを見せる私にくすっと笑って話を続けるメラニー様。
「でもあの時の私は臆病で、男の子もいたからね……言い返せもせず耐えるしかなかったんだ。そんな時だった。クララが私を庇ってくれたのは」
『お前らいい加減にしろ!』
そう言ってクラートは最初こそ止めに入っただけらしい。しかし、まだ身分がよくわかってない子供たちは、集団故に止められたことが気に入らず言い返したようだ。
『ふん、そんな男女庇ってかっこつけかよ!』
『女ひとりに集団で向かうような男からすれば、さぞ俺がかっこよく見えるだろうな』
しかし、言い返しにびくともせず寧ろクラートは挑発したらしい。それにより集団の中にいた令嬢にくすくすと笑われ、腹が立った子息はあろうことかこう言った。
『そこまで言うならそいつと婚約できんのかよ!男女によ!』
『それは……』
そういう話じゃないないのにと、これはメラニー様自身も思ったし、クラート自身も同じ気持ちだろうことをメラニー様は察したらしいが、その時すら何も言えなかったのだとか。周りの令嬢が婚約話を決めていく中、メラニー様にはろくな婚約話がなかったのは事実だったらしいから。
『ちょっと可哀想じゃない。クラート様なら選り取り見取りなのに』
『男女にクラート様はもったいないわよねぇ』
そんな時、その子息に便乗する令嬢。令嬢からすれば見た目のいいクラートが自分じゃない誰かを庇うのが気に触ったのだろう。メラニー様をバカにするように、クラートが選ぶわけがと言い出した。
メラニー様はそんなのわかっていると思いながらも、泣きそうになったのだとか。まあ謂れのないことを言われ続ければ子供には耐えきれない悪口ばかりだ。
しかし、そこでキレたのがクラートだったらしい。
『メラニー嬢と婚約する!お前たちよりよっぽどメラニー嬢の方が綺麗だ!』
クラートにとっては、庇った相手が言われるがままになるのが嫌だったのだろう故の言い分。それでもメラニー様は嬉しかったらしい。初めて綺麗だなんて言われたから。
『う、嘘……嘘よね、クラート様!』
クラートを想っていた令嬢だろう。信じたくないとばかりに出された言葉をクラートは無視してメラニー様に向き直り言ったらしい。
『メラニー嬢、誰がなんと言おうと貴女は綺麗で魅力的なレディです。どうか俺と……私と結婚の約束をしてください』
公開プロポーズを。
『はい………っ』
メラニー様はまるで夢のような出来事に了承し、後日あの場だけのことかと思えばちゃんと義理堅く、婚約を取り付けたいとの手紙を送って来て、メラニー様と家族を驚かせたようだ。
それがメラニー様とオネエ様の婚約の経緯とのこと。そして、メラニーがオネエ様に一途になった理由。
本当に自分に恋をしたわけじゃないとわかっていたからこそ、クラートに蔑ろにされようと魅力磨きをやめなかったらしい。いつかは自分に振り向いてもらえる日が来ると信じて。
「オネエ様、ひどい!ひどいわ!」
「うぐ……っその、本当に悪かったわ」
話を聞いた後あまりのメラニー様の健気さに泣いた。なのにオネエ様は勢いとはいえ、プロポーズしたことさえ忘れて、洗脳とはいえユリアに……!
オネエ様もより罪悪感を感じたのか、話を聞いた後縮こまってしまった。
「謝ってほしいわけじゃない。ただ、もし今の姿がクララにとって魅力的なら、それだけで私の努力は報われる。私は好きな人に謝られるより、笑って今の私が素敵だと言ってくれる方が嬉しいよ」
「「「「「「素敵ですっ」」」」」」
「あはは」
もはやオネエ様どころか、私、ウラン、話を聞いていたメイドと執事までもが口を揃えて言った。その様子にひとり、メラニー様はおかしそうに笑うのだった。
「プロポーズ!?」
「え」
え、オネエ様がクラート時代に?………って、なんでオネエ様は驚いた顔なの?まさか覚えてないとか?
「ふふ、売り言葉に買い言葉みたいなプロポーズだったからね。覚えてないのも仕方ない」
「その、ごめんなさい」
「構わないよ。次は私からプロポーズをするから。婚約してはいるけど、結婚前にはね」
「う……」
話の途中でいちゃつくのはやめてほしい。この二人を見てると無性に恋人がほしくなる。そんなことを思えるのは私が前向きになってきている証拠かな……。
「まあ、今はプロポーズの話は置いといて、まだ幼いときなんだけどね。私は男女とからかわれているときがあったんだ」
「最低……」
確かにメラニー様は昔から身長が高いし、男性寄りの顔つきだったかもしれないけど、女の子に向かって男女はない。子供とはいえ、許されないことだろう。
その言葉に怒りを見せる私にくすっと笑って話を続けるメラニー様。
「でもあの時の私は臆病で、男の子もいたからね……言い返せもせず耐えるしかなかったんだ。そんな時だった。クララが私を庇ってくれたのは」
『お前らいい加減にしろ!』
そう言ってクラートは最初こそ止めに入っただけらしい。しかし、まだ身分がよくわかってない子供たちは、集団故に止められたことが気に入らず言い返したようだ。
『ふん、そんな男女庇ってかっこつけかよ!』
『女ひとりに集団で向かうような男からすれば、さぞ俺がかっこよく見えるだろうな』
しかし、言い返しにびくともせず寧ろクラートは挑発したらしい。それにより集団の中にいた令嬢にくすくすと笑われ、腹が立った子息はあろうことかこう言った。
『そこまで言うならそいつと婚約できんのかよ!男女によ!』
『それは……』
そういう話じゃないないのにと、これはメラニー様自身も思ったし、クラート自身も同じ気持ちだろうことをメラニー様は察したらしいが、その時すら何も言えなかったのだとか。周りの令嬢が婚約話を決めていく中、メラニー様にはろくな婚約話がなかったのは事実だったらしいから。
『ちょっと可哀想じゃない。クラート様なら選り取り見取りなのに』
『男女にクラート様はもったいないわよねぇ』
そんな時、その子息に便乗する令嬢。令嬢からすれば見た目のいいクラートが自分じゃない誰かを庇うのが気に触ったのだろう。メラニー様をバカにするように、クラートが選ぶわけがと言い出した。
メラニー様はそんなのわかっていると思いながらも、泣きそうになったのだとか。まあ謂れのないことを言われ続ければ子供には耐えきれない悪口ばかりだ。
しかし、そこでキレたのがクラートだったらしい。
『メラニー嬢と婚約する!お前たちよりよっぽどメラニー嬢の方が綺麗だ!』
クラートにとっては、庇った相手が言われるがままになるのが嫌だったのだろう故の言い分。それでもメラニー様は嬉しかったらしい。初めて綺麗だなんて言われたから。
『う、嘘……嘘よね、クラート様!』
クラートを想っていた令嬢だろう。信じたくないとばかりに出された言葉をクラートは無視してメラニー様に向き直り言ったらしい。
『メラニー嬢、誰がなんと言おうと貴女は綺麗で魅力的なレディです。どうか俺と……私と結婚の約束をしてください』
公開プロポーズを。
『はい………っ』
メラニー様はまるで夢のような出来事に了承し、後日あの場だけのことかと思えばちゃんと義理堅く、婚約を取り付けたいとの手紙を送って来て、メラニー様と家族を驚かせたようだ。
それがメラニー様とオネエ様の婚約の経緯とのこと。そして、メラニーがオネエ様に一途になった理由。
本当に自分に恋をしたわけじゃないとわかっていたからこそ、クラートに蔑ろにされようと魅力磨きをやめなかったらしい。いつかは自分に振り向いてもらえる日が来ると信じて。
「オネエ様、ひどい!ひどいわ!」
「うぐ……っその、本当に悪かったわ」
話を聞いた後あまりのメラニー様の健気さに泣いた。なのにオネエ様は勢いとはいえ、プロポーズしたことさえ忘れて、洗脳とはいえユリアに……!
オネエ様もより罪悪感を感じたのか、話を聞いた後縮こまってしまった。
「謝ってほしいわけじゃない。ただ、もし今の姿がクララにとって魅力的なら、それだけで私の努力は報われる。私は好きな人に謝られるより、笑って今の私が素敵だと言ってくれる方が嬉しいよ」
「「「「「「素敵ですっ」」」」」」
「あはは」
もはやオネエ様どころか、私、ウラン、話を聞いていたメイドと執事までもが口を揃えて言った。その様子にひとり、メラニー様はおかしそうに笑うのだった。
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