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「なんだか、学園にいた時間があっという間に感じるわ」
週末になり、帰った家ではウランを筆頭にメイドや執事が勢揃いで出迎えてくれた。オネエ様は私を抱き上げて馬車から下ろしてくれ、ウランが引いている車椅子へと乗せてくれる。
学園は私のような障がい者を迎えることがあまりないため、前世でいうバリアフリーに特化していない。だから、オネエ様にはかなり苦労をかけている自覚はあるけど、オネエ様は日常生活の一部とばかりに自然と私ができないことを解決できるよう動いてくれる。
時にひとりではできない場合は周囲の人手も借りながら。それは家に戻っても同じ。
「ウラン、ありがとう。部屋まで押してもらえる?……ウラン?」
「え、あ、はい……!」
どうしたのだろう?気のせいか、ウランがオネエ様を見て驚いているように感じた。でも、学園に復帰する前に散々見たはずだし、オネエ様に化粧を教えたのはウランだし、何故今更?と感じなくもない。
「何か顔についてたかしら?」
「い、いえ……その随分化粧の腕前が上達してるようだったので驚いてしまいました」
「あら、ありがとう」
私じゃわからないけど、オネエ様に化粧を教えたウランだからこそわかる何かがあるのだろう。オネエ様も満更じゃなさそうに微笑んだ。
そしてオネエ様とウランで部屋に戻る途中。はっとウランが何かを思い出したように止まった。
「ウラン?」
「すみません、帰ってすぐお伝えするつもりが忘れておりました。明日、メラニー・スミス嬢が訪問に来るとお手紙がありまして」
「メラニーが………」
複雑そうなオネエ様の顔を見て考える。色々あってすっかり忘れていたが、メラニー嬢も学園に通っているし、オネエ様の正体にユリアと同じく勘づく可能性はあった。もしかしたら気づかず留年についての話の関係もありそうだが、メラニー嬢がクラートを想う気持ちは本物。だからこそ、彼女なら気づくと感じていた。
でもオネエ様を受け入れるかどうかとなればわからない。オネエ様はオネエ様となる前、ユリアと不貞をしていたこともあるから。
そんな事情があるだけにオネエ様も会うのを躊躇うのだろう。でも………
「オネエ様………」
「心配かけちゃったかしら?大丈夫よ。ケジメは必要だもの。アタクシはクララ、それ以外に生きる気はないの。もし、メラニー嬢が望むなら婚約は白紙にして、慰謝料も払うわ」
「まあ当然ですね。では、精一杯おもてなしをさせていただいても?」
決意するオネエ様にばっさり言い捨てながらもウランが確認をとる。
「ええ、せめてどうなろうと、メラニーを歓迎している意思は見せたいわ」
「かしこまりました」
「悪いけど、ちょっとひとりになるわ。先に部屋行かせてもらうわね」
「はい、ではまた夕食に……」
「ええ」
そう言ってオネエ様は私とウランを置いてそそくさと行ってしまった。やはりメラニー嬢の訪問について頭を整理しときたいのだろう。オネエ様はユリアに洗脳されていたというけど、もし洗脳がなかったなら………メラニー嬢に想いを寄せていたんだろうか?ふとそんなことを思った。
それからは夕食時も落ち着かない様子のオネエ様を心配しつつ、ウランの配慮か、両親に会うことで気分を悪くすることもなく、夕食を最後に、オネエ様とは就寝を過ぎても声をかけることはなかった。
そうして迎えた翌日。
メラニー嬢に会うのに張り切ったのか、オネエ様は女性の姿でいつもより気合いの入れた装いだ。より美人さが増したので、これは婚約者相手に正解なのかどうなのかウランと二人で苦笑する。
しかし、オネエ様からすれば、今の自分を見てもらうためにはいつも以上の気合いが必要だったのかもしれない。メラニー嬢に少しでも認めてもらいたい……そんな気持ちが伝わる。
なんてのんびりしているわけにもいかず、色々している内に迎えたメラニー嬢の訪問時間。
「本日はお時間をいただきまして誠にありがとうございます」
馬車から出てくるメラニー嬢を出迎えようとしていた私たちはメラニー嬢を見て絶句。何せそこには髪をばっさり切って男装したメラニー嬢がいたのだから。
「め、メラニー……?その格好は………」
「ああ、婚約者が女性になるなら私は男性になれば釣り合うかと思いまして」
さすがのオネエ様も動揺したようで、問いかければまさかの答え。昔からメラニー嬢がクラートに対して一途だったのはアラビアンも知るところ。それでも不貞をされ、オネエ様となり、勝手が過ぎると怒ってもよかったはずなのに。
まさかここまでするなんて。どうあってもメラニー嬢は女性……。平民ならともかく、貴族で髪を切るなんて正気の沙汰じゃないと思われる行為だ。
まあメラニー嬢は、元々父親似で父親に似た顔立ちや女性にしては高い身長に悩んでいたようなので、逆にそれがうまくマッチして美青年そのもの。二人して性別逆転が元の性別の顔よりも似合いすぎて反応に困る。
「髪は女の命でしょう……?」
「私が命よりも大切にしているのは、あなたを想うこの気持ちですから」
しかも言うことがイケメン。ふっと笑う表情に私まで惚れてしまいそう。メラニー嬢ならオネエ様と同じくモテそうである。……特に令嬢に。
「そ、そう……で、でも、アタクシはあなたを裏切り続けて……」
メラニー嬢がイケメン過ぎて、オネエ様がたじたじだ。自分は想われる資格などないとばかりに俯いている。不思議と男女逆転しているように見えない。
「クララ、こちらを向いてください」
「は、はい………」
「あれは私に魅力が足りなかったのです。クララの目には今の私がどう見えますか?」
「え、あ、え………」
「私の目には女性になろうと魅力的なクララが映っています。心は嘘をつけません。例え、あなたが他の人を好きになっても、私はあなたを諦められない。あなたを振り向かすために努力をするだけです。それに性別など関係ありませんよ。私が好きになったのはあなた自身ですから。ただ女性になられたなら、エスコートが必要でしょう?だから私が男性になったまでです。私はクラートでもクララでもあなたがあなたであるならそれでいいんですから」
「くう………っ」
メラニー嬢………いや、メラニー様かっこよすぎではないだろうか。オネエ様頬に手まで添えられて顔が真っ赤だし、さっきから責める言葉ひとつない紳士的な対応。正直世の中の男性として一番理想的な人では?女性だけれど。
「お、お嬢様……わ、私、同じ女性なのにどきどきが止まりません」
「だ、大丈夫よ、ウラン。私もだから」
なんだか恋愛ドラマのワンシーンを生で見ているようなそんな感覚。メラニー様が来て婚約がどうなってしまうのかという緊張など、あっという間にどこかへ行ってしまった。
しかし、二人は気づいているだろうか。ここは屋敷の外であることを。まあ塀で囲まれた場所ではあるから、目撃者は私たち以外にメラニー様を一緒に迎えたメイドや執事たちくらいだけど。
しっかりおもてなしするためにいささか人数が多めだ。顔つきを変えないのは流石は公爵家に仕える人たちではあるけど、少し頬を赤らめているメイドや執事もいる。
まあ、盛大な愛の告白みたいな現場だから仕方ないとは思う。
週末になり、帰った家ではウランを筆頭にメイドや執事が勢揃いで出迎えてくれた。オネエ様は私を抱き上げて馬車から下ろしてくれ、ウランが引いている車椅子へと乗せてくれる。
学園は私のような障がい者を迎えることがあまりないため、前世でいうバリアフリーに特化していない。だから、オネエ様にはかなり苦労をかけている自覚はあるけど、オネエ様は日常生活の一部とばかりに自然と私ができないことを解決できるよう動いてくれる。
時にひとりではできない場合は周囲の人手も借りながら。それは家に戻っても同じ。
「ウラン、ありがとう。部屋まで押してもらえる?……ウラン?」
「え、あ、はい……!」
どうしたのだろう?気のせいか、ウランがオネエ様を見て驚いているように感じた。でも、学園に復帰する前に散々見たはずだし、オネエ様に化粧を教えたのはウランだし、何故今更?と感じなくもない。
「何か顔についてたかしら?」
「い、いえ……その随分化粧の腕前が上達してるようだったので驚いてしまいました」
「あら、ありがとう」
私じゃわからないけど、オネエ様に化粧を教えたウランだからこそわかる何かがあるのだろう。オネエ様も満更じゃなさそうに微笑んだ。
そしてオネエ様とウランで部屋に戻る途中。はっとウランが何かを思い出したように止まった。
「ウラン?」
「すみません、帰ってすぐお伝えするつもりが忘れておりました。明日、メラニー・スミス嬢が訪問に来るとお手紙がありまして」
「メラニーが………」
複雑そうなオネエ様の顔を見て考える。色々あってすっかり忘れていたが、メラニー嬢も学園に通っているし、オネエ様の正体にユリアと同じく勘づく可能性はあった。もしかしたら気づかず留年についての話の関係もありそうだが、メラニー嬢がクラートを想う気持ちは本物。だからこそ、彼女なら気づくと感じていた。
でもオネエ様を受け入れるかどうかとなればわからない。オネエ様はオネエ様となる前、ユリアと不貞をしていたこともあるから。
そんな事情があるだけにオネエ様も会うのを躊躇うのだろう。でも………
「オネエ様………」
「心配かけちゃったかしら?大丈夫よ。ケジメは必要だもの。アタクシはクララ、それ以外に生きる気はないの。もし、メラニー嬢が望むなら婚約は白紙にして、慰謝料も払うわ」
「まあ当然ですね。では、精一杯おもてなしをさせていただいても?」
決意するオネエ様にばっさり言い捨てながらもウランが確認をとる。
「ええ、せめてどうなろうと、メラニーを歓迎している意思は見せたいわ」
「かしこまりました」
「悪いけど、ちょっとひとりになるわ。先に部屋行かせてもらうわね」
「はい、ではまた夕食に……」
「ええ」
そう言ってオネエ様は私とウランを置いてそそくさと行ってしまった。やはりメラニー嬢の訪問について頭を整理しときたいのだろう。オネエ様はユリアに洗脳されていたというけど、もし洗脳がなかったなら………メラニー嬢に想いを寄せていたんだろうか?ふとそんなことを思った。
それからは夕食時も落ち着かない様子のオネエ様を心配しつつ、ウランの配慮か、両親に会うことで気分を悪くすることもなく、夕食を最後に、オネエ様とは就寝を過ぎても声をかけることはなかった。
そうして迎えた翌日。
メラニー嬢に会うのに張り切ったのか、オネエ様は女性の姿でいつもより気合いの入れた装いだ。より美人さが増したので、これは婚約者相手に正解なのかどうなのかウランと二人で苦笑する。
しかし、オネエ様からすれば、今の自分を見てもらうためにはいつも以上の気合いが必要だったのかもしれない。メラニー嬢に少しでも認めてもらいたい……そんな気持ちが伝わる。
なんてのんびりしているわけにもいかず、色々している内に迎えたメラニー嬢の訪問時間。
「本日はお時間をいただきまして誠にありがとうございます」
馬車から出てくるメラニー嬢を出迎えようとしていた私たちはメラニー嬢を見て絶句。何せそこには髪をばっさり切って男装したメラニー嬢がいたのだから。
「め、メラニー……?その格好は………」
「ああ、婚約者が女性になるなら私は男性になれば釣り合うかと思いまして」
さすがのオネエ様も動揺したようで、問いかければまさかの答え。昔からメラニー嬢がクラートに対して一途だったのはアラビアンも知るところ。それでも不貞をされ、オネエ様となり、勝手が過ぎると怒ってもよかったはずなのに。
まさかここまでするなんて。どうあってもメラニー嬢は女性……。平民ならともかく、貴族で髪を切るなんて正気の沙汰じゃないと思われる行為だ。
まあメラニー嬢は、元々父親似で父親に似た顔立ちや女性にしては高い身長に悩んでいたようなので、逆にそれがうまくマッチして美青年そのもの。二人して性別逆転が元の性別の顔よりも似合いすぎて反応に困る。
「髪は女の命でしょう……?」
「私が命よりも大切にしているのは、あなたを想うこの気持ちですから」
しかも言うことがイケメン。ふっと笑う表情に私まで惚れてしまいそう。メラニー嬢ならオネエ様と同じくモテそうである。……特に令嬢に。
「そ、そう……で、でも、アタクシはあなたを裏切り続けて……」
メラニー嬢がイケメン過ぎて、オネエ様がたじたじだ。自分は想われる資格などないとばかりに俯いている。不思議と男女逆転しているように見えない。
「クララ、こちらを向いてください」
「は、はい………」
「あれは私に魅力が足りなかったのです。クララの目には今の私がどう見えますか?」
「え、あ、え………」
「私の目には女性になろうと魅力的なクララが映っています。心は嘘をつけません。例え、あなたが他の人を好きになっても、私はあなたを諦められない。あなたを振り向かすために努力をするだけです。それに性別など関係ありませんよ。私が好きになったのはあなた自身ですから。ただ女性になられたなら、エスコートが必要でしょう?だから私が男性になったまでです。私はクラートでもクララでもあなたがあなたであるならそれでいいんですから」
「くう………っ」
メラニー嬢………いや、メラニー様かっこよすぎではないだろうか。オネエ様頬に手まで添えられて顔が真っ赤だし、さっきから責める言葉ひとつない紳士的な対応。正直世の中の男性として一番理想的な人では?女性だけれど。
「お、お嬢様……わ、私、同じ女性なのにどきどきが止まりません」
「だ、大丈夫よ、ウラン。私もだから」
なんだか恋愛ドラマのワンシーンを生で見ているようなそんな感覚。メラニー様が来て婚約がどうなってしまうのかという緊張など、あっという間にどこかへ行ってしまった。
しかし、二人は気づいているだろうか。ここは屋敷の外であることを。まあ塀で囲まれた場所ではあるから、目撃者は私たち以外にメラニー様を一緒に迎えたメイドや執事たちくらいだけど。
しっかりおもてなしするためにいささか人数が多めだ。顔つきを変えないのは流石は公爵家に仕える人たちではあるけど、少し頬を赤らめているメイドや執事もいる。
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