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6.5章実は泣いていたミーアと裏話を知りましょう
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ミーアは見た目でこそこそ言われようとも、ネコ、大天使、魔王のおかげで手まで出されることはなかった。手を出せばより酷い目に合うのはミーアにいじめとも言える手を出したものたちである。
さて、問題といこう。手を出す以前にそれを行おうとするものを魔王たちは放置するか否か。答えは否である。答えが早すぎる?問題が出される前からわかる答えだ、これでも遅いくらいだろう。
さあそんな簡単な問題はともかく、本当の問題は魔王たちとは誰を指すのかである。
まずは秘密裏に話されたある人物たちの会話を聞いていただきたい。
「入学式から一ヶ月、ミーア様から涙の跡が消えておりません。ミーア様の学園での現状報告及び、ミーア様が泣く理由を探る会議を始めます」
「では一番に私から。ミーア様はやはり見た目のせいで呪い子と学園でも遠巻きにされているようです」
「それに関しては街でもそうですし、ミーア様が毎日泣く理由にはならないでしょう。学園に期待されていたなら別でしょうが・・・」
「ルキ様たちも常にお側にいらっしゃるので寂しさはない分、その点は大丈夫かと」
「私たちも変身魔法が使えたならミーア様に学園でも尽くしますのに」
悔しそうにするひとりの女性。その周りで聞いていた人物たちもうんうんと納得するように頷いている。
「気持ちはわかります。ですが、ミーア様から離れられないルキ様に代わってミーア様のためにできることをするのが私たちです。というわけで念には念をと早朝からミーア様のいない学園を見張っていたところ、ミーア様の靴箱にある令嬢が紙をひとつ入れてましてね、確認したわけです」
「嫌な予感しかしませんね」
「はい。簡単に言えばルキ様から離れろ、呪い子なんかには似合わない、死ねのようなことが書かれておりました」
「お前が死ね!と激しく叫びたくなりました」
同じように怒りを露にする人物たち。報告した本人の声も今だに怒りが湧くのか低い声だ。ちなみに学園にいたのは不法侵入。この人物たちはミーアが学園に通い始めて毎日不法侵入を繰り返している。
決して学園のセキュリティが甘いわけではない。この者たちが優秀すぎるのだ。
ある意味ではついでとばかりに学園の不審者をミーアに近づけさせないために、誰も知らないところで警備もどきにもなっているため学園のセキュリティは寧ろあがっているわけだが。
「もちろんミーア様が来る前に紙は処分し、その令嬢を調べあげて毎日令嬢の靴箱に虫の死骸を入れてあげております」
「それは怒り狂うか、もしくはミーア様だと言いふらしたりするのでは?」
「ミーア様に触れそうな言葉を発しようとしたとたんに何度も命の危険に晒されれば恐怖で言えなくなるものです」
「学園の怪奇現象の原因は貴方だったんですね」
「学園の怪奇現象、ですか?」
報告者の言葉になるほどと頷く人物がひとり。この会議を仕切る女性がなんだそれはと首を傾げる。
「そうですね・・・会話の途中、令嬢の目の前にギリギリに植木鉢が落ちてきたものの、落ちてきたはずの階には誰もいなかったり」
「姿を見せれば不法侵入者とバレますしね」
「急に低い段差とはいえ階段から背中を押されて落とされ、押された本人と一緒にいた人物がすぐ振り向いたものの誰もいなかったり」
「姿を見せれば不法侵入者と殺す気はないといっても令嬢に危害を意図的に被った時点で罪に問われますからね」
「会話をしている途中に窓を突き破った勢いあるナイフが令嬢のギリギリ頬を掠め、多く人がいたにも関わらず誰が投げたのかわからないどころか人影すら見えなかったり」
「目撃されるようなら他の方法をとります」
「そんなわけで狙われる令嬢は、毎度虫の死骸に喚く令嬢ただひとりが見えない何かの危機に晒され、幽霊の仕業とまで言われる怪奇現象とされています。入学式から一ヶ月の間、ミーア様を前にしてこそこそ言う友人を止めるなどするいい方だなと思っていましたがなるほど、確かにミーア様について言葉に触れようとすれば徹底的に狙われることに気づき、怯えていたわけですか」
「虫の死骸に喚くことも最近はありません。大人しくなり、いい教育ができたというものです」
「許す気はないのがよくわかります」
二人の話を聞いて反省か怯えかわからぬ令嬢を報告者は許す気がないため虫の死骸を送り続けるのがわかるというもの。
「当然でしょう?」
「「それは確かに」」
ミーアを確実に泣かせるだろうミーアの死を願う紙ひとつの結果がこれである。
「って、待ってください。そういったことを事前に止められているならばミーア様が泣く理由がないではないですか」
「彼が言ってくれたではありませんか、幽霊の仕業と言われた怪奇現象を」
報告者がにっこりと笑った。つまりはそういうことである。
「ミーア様を泣かせる原因をつくってどうするんですか!」
「幽霊を怖がるミーア様可愛くないですか?いや、泣かせてしまう原因になったのは申し訳ないんですが」
「暗殺部隊、この者を一ヶ月ミーア様を見られない令に処します」
「そ、そんな!侍女長お慈悲を!」
「反省しろ」
「リーダー!」
土下座男により、報告者は一ヶ月ミーアを見られないことに泣いた。結局のところミーアに手を出すものがいないのではなく、使用人たちによって事前に手出しを成功させることもなく報復することにより塞がれていたという話。
さて、問題といこう。手を出す以前にそれを行おうとするものを魔王たちは放置するか否か。答えは否である。答えが早すぎる?問題が出される前からわかる答えだ、これでも遅いくらいだろう。
さあそんな簡単な問題はともかく、本当の問題は魔王たちとは誰を指すのかである。
まずは秘密裏に話されたある人物たちの会話を聞いていただきたい。
「入学式から一ヶ月、ミーア様から涙の跡が消えておりません。ミーア様の学園での現状報告及び、ミーア様が泣く理由を探る会議を始めます」
「では一番に私から。ミーア様はやはり見た目のせいで呪い子と学園でも遠巻きにされているようです」
「それに関しては街でもそうですし、ミーア様が毎日泣く理由にはならないでしょう。学園に期待されていたなら別でしょうが・・・」
「ルキ様たちも常にお側にいらっしゃるので寂しさはない分、その点は大丈夫かと」
「私たちも変身魔法が使えたならミーア様に学園でも尽くしますのに」
悔しそうにするひとりの女性。その周りで聞いていた人物たちもうんうんと納得するように頷いている。
「気持ちはわかります。ですが、ミーア様から離れられないルキ様に代わってミーア様のためにできることをするのが私たちです。というわけで念には念をと早朝からミーア様のいない学園を見張っていたところ、ミーア様の靴箱にある令嬢が紙をひとつ入れてましてね、確認したわけです」
「嫌な予感しかしませんね」
「はい。簡単に言えばルキ様から離れろ、呪い子なんかには似合わない、死ねのようなことが書かれておりました」
「お前が死ね!と激しく叫びたくなりました」
同じように怒りを露にする人物たち。報告した本人の声も今だに怒りが湧くのか低い声だ。ちなみに学園にいたのは不法侵入。この人物たちはミーアが学園に通い始めて毎日不法侵入を繰り返している。
決して学園のセキュリティが甘いわけではない。この者たちが優秀すぎるのだ。
ある意味ではついでとばかりに学園の不審者をミーアに近づけさせないために、誰も知らないところで警備もどきにもなっているため学園のセキュリティは寧ろあがっているわけだが。
「もちろんミーア様が来る前に紙は処分し、その令嬢を調べあげて毎日令嬢の靴箱に虫の死骸を入れてあげております」
「それは怒り狂うか、もしくはミーア様だと言いふらしたりするのでは?」
「ミーア様に触れそうな言葉を発しようとしたとたんに何度も命の危険に晒されれば恐怖で言えなくなるものです」
「学園の怪奇現象の原因は貴方だったんですね」
「学園の怪奇現象、ですか?」
報告者の言葉になるほどと頷く人物がひとり。この会議を仕切る女性がなんだそれはと首を傾げる。
「そうですね・・・会話の途中、令嬢の目の前にギリギリに植木鉢が落ちてきたものの、落ちてきたはずの階には誰もいなかったり」
「姿を見せれば不法侵入者とバレますしね」
「急に低い段差とはいえ階段から背中を押されて落とされ、押された本人と一緒にいた人物がすぐ振り向いたものの誰もいなかったり」
「姿を見せれば不法侵入者と殺す気はないといっても令嬢に危害を意図的に被った時点で罪に問われますからね」
「会話をしている途中に窓を突き破った勢いあるナイフが令嬢のギリギリ頬を掠め、多く人がいたにも関わらず誰が投げたのかわからないどころか人影すら見えなかったり」
「目撃されるようなら他の方法をとります」
「そんなわけで狙われる令嬢は、毎度虫の死骸に喚く令嬢ただひとりが見えない何かの危機に晒され、幽霊の仕業とまで言われる怪奇現象とされています。入学式から一ヶ月の間、ミーア様を前にしてこそこそ言う友人を止めるなどするいい方だなと思っていましたがなるほど、確かにミーア様について言葉に触れようとすれば徹底的に狙われることに気づき、怯えていたわけですか」
「虫の死骸に喚くことも最近はありません。大人しくなり、いい教育ができたというものです」
「許す気はないのがよくわかります」
二人の話を聞いて反省か怯えかわからぬ令嬢を報告者は許す気がないため虫の死骸を送り続けるのがわかるというもの。
「当然でしょう?」
「「それは確かに」」
ミーアを確実に泣かせるだろうミーアの死を願う紙ひとつの結果がこれである。
「って、待ってください。そういったことを事前に止められているならばミーア様が泣く理由がないではないですか」
「彼が言ってくれたではありませんか、幽霊の仕業と言われた怪奇現象を」
報告者がにっこりと笑った。つまりはそういうことである。
「ミーア様を泣かせる原因をつくってどうするんですか!」
「幽霊を怖がるミーア様可愛くないですか?いや、泣かせてしまう原因になったのは申し訳ないんですが」
「暗殺部隊、この者を一ヶ月ミーア様を見られない令に処します」
「そ、そんな!侍女長お慈悲を!」
「反省しろ」
「リーダー!」
土下座男により、報告者は一ヶ月ミーアを見られないことに泣いた。結局のところミーアに手を出すものがいないのではなく、使用人たちによって事前に手出しを成功させることもなく報復することにより塞がれていたという話。
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