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初日から別々に登下校を繰り返してから一週間も経たぬうちに気のせいか1年生によく声をかけられるようになった。

「立川先輩ですよね?龍くんのお兄さんの」

「あ、まあ……」

最初こそ龍のファンや龍に好意を持つ人たちの質問攻めが始まるのかと思っていたのだが……。

「私たち龍くんとお兄さんを仲直りさせたくて!」

そういうわけでなくこういう子が増えた。龍がモテるがために同じようなことが何度も。まあ龍が魅力的なのは仕方がない。だけど何故俺は龍と喧嘩したことになっているのかと常々疑問だがまあ何か勘違いが起こってそうなっているのだろうと自己完結した。

下手に探って兄離れのことを話すことになれば恐らく女子全員は龍の味方になるだろう。いくら龍のためとはいえそれほどに龍は人を味方にするのも好意を持たせるのもうまい。

まあ一番龍のことを考えているのは俺だがな。

「よく言われるけど喧嘩はしてないからね?俺ら」

もう何度この言葉を言ったか。兄離れに反対したい龍の差し金かとすら思うほどに毎日違う女子が来る。最初こそ羨ましがってた男子たちも休み時間から放課後まで時間ある度の同じ訪問に今は同情の目である。俺の疲れが滲み始めたせいだろう。

「でも龍くんいつも兄さんに許してもらえなくて寂しいって」

それって明らかに兄離れ終了の許可がとれないからだよな?毎日スマホの通知で兄離れはまだしなきゃだめ?と来るし。いや、一週間も経ってないうちから許可できるはずもない。

しかもその言い方じゃ誤解されるわけである。

「待ち受けもお兄さんにするくらいにいつも落ち込んでて見てられないんです!」

今まで知らなかった事実が今日の後輩の言葉によって明らかになっていく。よく喋るだけに龍情報がわかるのはいいもののそれだめじゃんと頭を抱えたくなった。

待ち受け俺か~と。明らかに兄離れできない要因になりかねない。まだ彼女作ってデレデレしてくれた方がいい。兄の待ち受けはないだろう……。兄は嬉しいけどね?

彼女に言われてから俺ですら弟の待ち受けはしないようにしているだけに画像とか消させなきゃだなと思う。まあ思い出のアルバムまで燃やす気はないからとりあえずスマホの中にある俺の画像は消させるべきだろう。

「うーん、わかった。今日は一緒に帰るよ」

「本当ですか!龍くんに言ってきますね!」

「きっと龍くん喜びます!」

恐らく期待した通りにはならないことを心の中で謝罪しつつスマホにある俺の写メを削除させるために仕方なく龍とその日一緒に下校することとなった。
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