上 下
20 / 35
天使?のショタ編ー完結ー

5

しおりを挟む
こうして準備を整えた翌日。僕は朝からせっせっと準備して、母と二人、控えの間で卒業パーティーで父が卒業生徒に激励を与え終わるのを待っていた。ちなみにまだ父は別室にて卒業パーティーに姿を現すまでの衣装着替えなどの準備で待機中だ。

それを理解した上で、僕は卒業パーティーに父が姿を現す前に乱入する腹積もりである。

この作戦を実行すれば母は卒業パーティーに参加できなくなるだろうけど仕方ない。これはアマリアを助けるためだから!

「おかあしゃま!」

「あらあら私の天使、どうしたの?」

椅子に座ってお茶を飲む母に駆け寄れば嬉しそうに頬を染める母。僕の容姿は明らかに母譲りだろうことがわかるほどに母の笑顔にお付きの侍女が見惚れている。僕にとってはそんな男女問わず見惚れさせる容姿を授かれたことは本当に幸運だと思う。

おかげで幼さは特に弱点だが、この容姿のよさは逆に武器になる。例えば

「いちゅもありがとね!だいちゅき!」

必殺☆尊死スマイル発動!………なんて必殺技ができちゃったりするし?

「ぐふぅっ」

え、まさかのお茶どころか血を吹いた母。この武器の威力………伝説級かもしれない。気絶させるだけでよかったのだけど。

「「王妃様!?」」

「可愛いは正義………がくっ」

驚く侍女たちに一言残して母は成仏……いや、気絶した。血はびっくりしたけど普段元気な母だからまあ大丈夫だろう。というわけで少し心配ではあるけど時間がないから僕は部屋の扉を急いで開けた。

「殿下?どうされました?まだ陛下はパーティーに姿すら………」

「おかあしゃまがきをうしなっちゃったの!」

「ええっ!?王妃様ご無事ですか!?って殿下!どこへ行かれるのですかー!」

驚いて中を覗く見張りの隙をついて走り出す。パーティー会場の場所は事前に調べていたけれど、何故か別室の父とは違って控え室の間からは遠い。あくまで幼児の足にとってとはなるが。

あれ?殿下?という声は無視して目指す場所はただひとつ。

ようやく辿り着くその場所から聞こえるは忌々しい声。

「ふんっ言い訳など聞きたくもない!ニヤーリカは私の伴侶となる!つまり未来の王妃!その王妃をいじめたんだ!つまり貴様は処刑だ!」

アマリアを処刑になんてさせるかああああっ

「ちょっとまっちゃああああっ」

そう叫びたいのに現実はなんとも格好がつかない。まあ4歳だし。

「は?」

兄は僕が現れたことが心底嫌そうだ。まあ、大方邪魔されたと気分を害しているのだろう。

「まあ、リバース殿下ですわ………なんとかわいらしい」

だろうね!本当はアマリアにかっこいいとこ見せたかったんだけどさ!

「ですが、何故ここに………王太子殿下を祝いにきたのかしら?」

誰があんな兄を祝うものか!

なんて内心ツッコミを入れながらも中々話せない。

「おに、おにぃ………ふぅ、ふぅ」

ここまでの道のりが僕にとっては長すぎたから。かっこつけるのが難しいのは幼い故に仕方ないと諦めてはいるけど、それでも大事な場面で息を切らすなんて………間に合っただけでも喜ぶべきなんだろうけど!

「おねえしゃまをいじめないで!いじめたらゆるしゃないよ!」

色々やりきれない思いもぶつけるように息切れが落ち着いてすぐ兄に指を差して言いのけた。

「リバース殿下、人に指を差してはいけませんよ」

「あ、ごめんなしゃい」

なのにこれさえも格好がつかずアマリアに注意をされる始末。でもアマリアに注意されるのは嫌いじゃないから素直に謝る。ちなみに指を差した兄に謝る気はない。謝る価値もないからね!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢は、あの日にかえりたい

桃千あかり
恋愛
婚約破棄され、冤罪により断頭台へ乗せられた侯爵令嬢シルヴィアーナ。死を目前に、彼女は願う。「あの日にかえりたい」と。 ■別名で小説家になろうへ投稿しています。 ■恋愛色は薄め。失恋+家族愛。胸糞やメリバが平気な読者様向け。 ■逆行転生の悪役令嬢もの。ざまぁ亜種。厳密にはざまぁじゃないです。王国全体に地獄を見せたりする系統の話ではありません。 ■覚悟完了済みシルヴィアーナ様のハイスピード解決法は、ひとによっては本当に胸糞なので、苦手な方は読まないでください。苛烈なざまぁが平気な読者様だと、わりとスッとするらしいです。メリバ好きだと、モヤり具合がナイスっぽいです。 ■悪役令嬢の逆行転生テンプレを使用した、オチがすべてのイロモノ短編につき、設定はゆるゆるですし続きません。文章外の出来事については、各自のご想像にお任せします。 ※表紙イラストはフリーアイコンをお借りしました。 ■あままつ様(https://ama-mt.tumblr.com/about)

私を選ばなかったせいで破滅とかざまぁ、おかげで悪役令嬢だった私は改心して、素敵な恋人できちゃった

高岩唯丑
恋愛
ナナは同級生のエリィをいびり倒していた。自分は貴族、エリィは平民。なのに魔法学園の成績はエリィの方が上。こんなの許せない。だからイジメてたら、婚約者のマージルに見つかって、ついでにマージルまで叩いたら、婚約破棄されて、国外追放されてしまう。 ナナは追放されたのち、自分の行いを改心したら、素敵な人と出会っちゃった?! 地獄の追放サバイバルかと思いきや毎日、甘々の生活?! 改心してよかった!

【完結】婚約破棄断罪を企んでおられるようなので、その前にわたくしが婚約破棄をして差し上げますわ。〜ざまぁ、ですわ!!〜

❄️冬は つとめて
恋愛
題名変えました。 【ざまぁ!!】から、長くしてみました。 王太子トニックは『真実の愛』で結ばれた愛するマルガリータを虐める婚約者バレンシアとの婚約破棄を狙って、卒業後の舞踏会でバレンシアが現れるのを待っていた。

冤罪を掛けられて大切な家族から見捨てられた

ああああ
恋愛
優は大切にしていた妹の友達に冤罪を掛けられてしまう。 そして冤罪が判明して戻ってきたが

【コミカライズ決定】地味令嬢は冤罪で処刑されて逆行転生したので、華麗な悪女を目指します!~目隠れ美形の天才王子に溺愛されまして~

胡蝶乃夢
恋愛
婚約者である王太子の望む通り『理想の淑女』として尽くしてきたにも関わらず、婚約破棄された挙句に冤罪で処刑されてしまった公爵令嬢ガーネット。 時間が遡り目覚めたガーネットは、二度と自分を犠牲にして尽くしたりしないと怒り、今度は自分勝手に生きる『華麗な悪女』になると決意する。 王太子の弟であるルベリウス王子にガーネットは留学をやめて傍にいて欲しいと願う。 処刑された時、留学中でいなかった彼がガーネットの傍にいることで運命は大きく変わっていく。 これは、不憫な地味令嬢が華麗な悪女へと変貌して周囲を魅了し、幼馴染の天才王子にも溺愛され、ざまぁして幸せになる物語です。

悪役令嬢は攻略対象者を早く卒業させたい

砂山一座
恋愛
公爵令嬢イザベラは学園の風紀委員として君臨している。 風紀委員の隠された役割とは、生徒の共通の敵として立ちふさがること。 イザベラの敵は男爵令嬢、王子、宰相の息子、騎士に、魔術師。 一人で立ち向かうには荷が重いと国から貸し出された魔族とともに、悪役令嬢を務めあげる。 強欲悪役令嬢ストーリー(笑) 二万字くらいで六話完結。完結まで毎日更新です。

真実の愛に婚約破棄を叫ぶ王太子より更に凄い事を言い出した真実の愛の相手

ラララキヲ
ファンタジー
 卒業式が終わると突然王太子が婚約破棄を叫んだ。  反論する婚約者の侯爵令嬢。  そんな侯爵令嬢から王太子を守ろうと、自分が悪いと言い出す王太子の真実の愛のお相手の男爵令嬢は、さらにとんでもない事を口にする。 そこへ……… ◇テンプレ婚約破棄モノ。 ◇ふんわり世界観。 ◇なろうにも上げてます。

悪役令嬢より取り巻き令嬢の方が問題あると思います

恋愛
両親と死別し、孤児院暮らしの平民だったシャーリーはクリフォード男爵家の養女として引き取られた。丁度その頃市井では男爵家など貴族に引き取られた少女が王子や公爵令息など、高貴な身分の男性と恋に落ちて幸せになる小説が流行っていた。シャーリーは自分もそうなるのではないかとつい夢見てしまう。しかし、夜会でコンプトン侯爵令嬢ベアトリスと出会う。シャーリーはベアトリスにマナーや所作など色々と注意されてしまう。シャーリーは彼女を小説に出て来る悪役令嬢みたいだと思った。しかし、それが違うということにシャーリーはすぐに気付く。ベアトリスはシャーリーが嘲笑の的にならないようマナーや所作を教えてくれていたのだ。 (あれ? ベアトリス様って実はもしかして良い人?) シャーリーはそう思い、ベアトリスと交流を深めることにしてみた。 しかしそんな中、シャーリーはあるベアトリスの取り巻きであるチェスター伯爵令嬢カレンからネチネチと嫌味を言われるようになる。カレンは平民だったシャーリーを気に入らないらしい。更に、他の令嬢への嫌がらせの罪をベアトリスに着せて彼女を社交界から追放しようともしていた。彼女はベアトリスも気に入らないらしい。それに気付いたシャーリーは怒り狂う。 「私に色々良くしてくださったベアトリス様に冤罪をかけようとするなんて許せない!」 シャーリーは仲良くなったテヴァルー子爵令息ヴィンセント、ベアトリスの婚約者であるモールバラ公爵令息アイザック、ベアトリスの弟であるキースと共に、ベアトリスを救う計画を立て始めた。 小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。 ジャンルは恋愛メインではありませんが、アルファポリスでは当てはまるジャンルが恋愛しかありませんでした。

処理中です...