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へんた………王太子編ー完結ー

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「全く変態どころか不貞までやらかしとるとはな………」

「いや、あの……」

不貞。それを言われたら否定はできない。だが、それはニヤーリカがいじめられているから悲しんでいるところを慰めて………いや、そもそもニヤーリカを婚約者にするつもりだったのだから不貞ではないはずだ。

なのに父に何を言ってもどうせ私のことは信じてくれないのだと思うと口ごもるばかり。誰か誰でもいいから助けてほしい。なのにそんな人はいなくて自分はそこまで人望がないのか?と悲しくもなった。

そんな時

「陛下!発言よろしいでしょうか?」

天の助けだろうか?そう思うタイミングでわざわざ父に発言を許可する人物が。このタイミングならばまさか助けてくれるのだろうか?そうだろう、そうだろう!だって私は王太子。もしこのものが見事に父を説得したなら、褒美をあげてもいい!

少しだけ救われた瞬間だった。

「よい、申せ」

さあ言ってやれ!私は無実だと!これで茶番は終わるかもしれないなんて希望は

「変態殿下…………失礼、変態殿下はどうやらそこの変態令嬢との営みを」

一瞬で砕け散った。

「それは言うなぁあああ!」

それじゃなああああああい!まさかのまさか、天の助けどころか地獄からの敵だった。止めたことで言うなということがよく伝わったことだろうと止めれたことにどきどきとしながら安心したその時

「リバース殿下に見せていたとの話もありました。陛下はまだいらっしゃらなかったので知っておくべき事実かと思いまして」

止める間もなく実にあっさりと続けられた。

「な……あ………ちが…………」

まずいと、そう感じた。何故、止めたのに言うのか。私が余計父に睨まれるのがわからなかったとでもいうのか?嘘なのに、逆に止めたことで父に怪しまれたのではと思わざるえない。案の定、父が怒りで顔が赤くなるのがわかり身体が震えた。

「リバーになんてものを……!穢らわしい!」

「違う……違うのにぃぃ………っ」

そう怒鳴られた瞬間、私はもう我慢の限界だった。人前での羞恥心すらも気にかける余裕もなく涙が溢れた。出るのは否定の言葉だけ。

しかし、いくら違うと言っても軽蔑するような視線はなくならない。心がぽきりと折れそうだった。十分追い詰められているというのに

「おとうしゃま………おにいしゃまじぶんのもね、しゃわれっていってきたんだよ………きもちわるかったの」

こいつ悪魔かよおおおおっ!

「この変態がぁああああっ!」

弟のとんでもない嘘に父は火山を噴火させたかのようにして激怒した。今まで父がかつてここまで怒った試しはあっただろうか?少なくとも私自身は初めてだ。もう、涙どころか鼻水すら出てきたが、私だって必死なのだ。誤解を解きたいと必死なのに

「ちがうのにぃいいいっ!」

そんな同じ言葉しか繰り返すことができなかった。もはやあまりの出来事に考える力さえ失われていた。
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