暴君皇帝は幼妻にご執心~皇帝サイド~

荷居人(にいと)

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宰相襲撃事件

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スモール家の帰宅を見送り、程なくして城がバタバタと慌ただしくなった。一体何があった?と思っていればようやく伝えに来たものが。

「へ、陛下、失礼します!」

「先ほどから騒々しい………何があった」

「宰相様が襲撃されまして!」

騒々しい理由がその一言でわかる。しかも宰相にはコルトリアとの結婚手続きを頼んでいたはずだ。まさか、俺の権威を少しでも男爵に授けたくない愚か者が動きでもしたか?にしてはあまりに早い決断と行動力だな。婚約をすっ飛ばした俺に焦りでもしたか。

「それで城の護衛は何をしていた」

「そ、それが、宰相様のいた部屋の近辺の護衛は皆………」

「殺されでもしたか」

「寝ていました」

「は?」

俺の城で護衛をサボっているやつらばかりだったと、こいつはそう言いたいのか?

「あ、あ、誤解をさせたいわけじゃないんですが、彼らは護衛の任務はしっかりやっておりました。ただ、急に強い眠気に襲われて気がつけば眠っていたようです。実際彼らは床に倒れるようにして眠っておりました」

「薬の類いか………?」

しかし、今回は急なことで護衛に薬を盛れるような暇はなかったはず。たまたまコルトリアを妻にしようと決めた日になっただけで、舞踏会で何かしら宰相に恨みを持つやつらが計画していた線もあるか。

全く………この様子じゃ手続きが済んだ様子もない。コルトリアを未だに妻にできぬどころか偶然か必然か邪魔者がいるとは…………。

「まずは宰相の安否確認だ。犯人は見つけ次第俺の前に連れてこい。俺が直々に処分してくれよう」

そんなつもりはなかったと言われようが結果的にコルトリアとの結婚手続きを邪魔したこと許されることではない。城の中で宰相を襲撃するような愚か者だ。どうせ大したことはない。

「かしこまりました。そう伝えます。あの、ですが……」

「まだ何かあるのか?」

うまくいかない事態にイライラし始めながら相手を睨み付けてやればびくりとしながら伝言役はびくりと怯える。当然ながらスモール家に怯えられたときみたいに罪悪感や良心は痛まない。

「手がかりがひとつもないのです……それで難航してまして………」

「お前らの目が節穴なだけだろう」

言い訳をするぐらいならとっとと犯人の目星ぐらいつけろと思う。そして早くコルトリアとの結婚手続きを進めてほしいものだ。

「犯人の手がかりはないですが、まずは宰相様が行方不明なのでそちらから当たれば宰相様が何やら知っている可能性もあります」

「なら、そうしろ。殺さず連れ去ったようなら何かしら殺さない理由もあるのだろう。死体になって見つかるようならまた考えるだけだ」

「は、はい」

手がかりもないのにどう探すのかは知らんが、城の中で犯行とは随分なめられたものだ。一応現場は見に行くべきか。あの様子では頼りにならんからな。

そうして俺はため息を吐きながら宰相の部屋へ向かった。
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