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突然だが、みなさんは占いを信じたことがあるだろうか?

私は信じない。だけどまあ、占い師も立派な仕事だから、占い師を完全否定するわけじゃない。

だけど、いや、ありえないだろと思うことを連発されたらどんな占いも信じられないのが普通だと思う。

何故そんな話をするのか?私は初めて占いを信じればよかったとそう感じた出来事があったからだ。

それは仕事の帰り道。明らかに占い師っぽい格好をして、椅子や机もなく、ただ水晶を持って立つおじいさんに声をかけられたことが始まりだ。

「お嬢さん!占いに興味はないかね?」

「いえ、別に」

鴨だと思われでもしたのかとすぐ断ったものの、そのおじいさんは水晶を手に追いかけてきた。何故私なんだと思いながらも足を止めれば楽しげに笑うおじいさん。

「まあまあ今お試し無料だからやっておくれよ。わし、外したことないからのぉ」

「わかったわよ……占うなら早くして」

妙に自信満々で言って来る上に、無料。それに、このまま無視したら家までついてくるような気がして、それならそれで警察を呼んでもよかったが、早く帰って休みたい私は諦めて占いをすることにした。

「ふぉっふぉっふぉっお主は変わったオーラをもっとるで、気になったのじゃよ」

「はぁ……そうですか」

なんだ、オーラって。と思わなくはなかったが、こういうのは下手に聞くと余計に長引くのは理解しているので、適当に相槌をうつ。

「さてさて、君にはどんな未来が…………ほええええ!?」

「な、なんですか………」

こんな人のいる場所でおじいさんが叫ぶものだから、ただでさえ視線が痛いのに、余計に視線を集める結果となる。そのせいか、この数分で物凄く疲れた。

「お主、わしに感謝するがええぞ。ここでわしが引き留めなかったら家に隕石が直撃して死んどったな」

「隕石……」

ありえない。普通に考えてありえない。ありそうなことを占いと言っていうのかと思えば現実的に中々ありえないことをいうおじいさんに一体何がしたいのかと呆れる。

「信じられんのも無理はない。お主の家だけに小さな隕石が落ちて跡形もなくなっておるからな」

しかも、被害は私の家だけとかどんな確率なのか。ふざけてるようにしか思えない。

「もうどうでもいいんで帰っても………」

「おおっ!」

「次は何よ………?」

明らかに聞く気のないおじいさんがまたもや驚くように叫ぶ。

「家が隕石で跡形もなくなって呆然とするお主に、白馬の王子様が来てプロポーズするぞ」

「いや、白馬の王子って」

ここは都会だよ?王子様も意味わからないけど、どこの誰が馬に乗って都会を走るというのか。

「それを君が断ったあと、次は石油王からプロポーズをされる」

「いや、いるはずないでしょう?」

プロポーズを二回もされる日なんかあるはずがない。しかも、王子もだけど石油王も出会うことすらまずありえないのに。

「石油王は散歩してたら君に一目惚れらしいぞ」

「いや、散歩って」

石油王が散歩……想像すらつかないし。

「まあ年が年だからそれも断った後、16歳の子にプロポーズされる」

「いやいやいやいや」

私を犯罪者にしたいのか。すでに婚期逃した20代後半だぞ!

「君は断れずに付き合うことになるだろう」

「なんで!?」

ありえない連続話に逆に先が気になる。何故16歳と付き合うことになるわけ……?

「そこは後にわかる」

「いや、わかんないけど!?」

気になるところは教えない辺りやはり作り話なのだろう。それでもなんか知れないとなるともやもや………。

「しかも付き合った翌日結婚ぞ」

「早すぎか?」

もうツッコミ係よ?私

「初夜でベッドインじゃ」

「セクハラセクハラ」

展開早すぎだよ。セクハラだよ。意味わかんないよ。その16歳こえぇよ。

「しかも束縛激しいからファイトじゃぞ!じゃ、おつかれじゃ!」

「えー………」

マイペースですか?もう言いたいことだけ言って去ったおじいさん。きっとこれから占い師に会ってもあれほど適当な占いはないだろう。そんなことを思いながらも帰宅すれば………

「うそん………」

私の家だけが消え去り、人だかりが。

「ここが隕石の落ちた場所です!現在こちらは……」

と近づけばそう話しているアナウンス。隕石………隕石!?

まさかの一番ありえない占いが当たったことに、当然、私は驚きを隠せなかった。たまたまというには当たりすぎていて………というか私どこで寝泊まりすれば……。

そんな時だった白馬に乗って、頭に王冠をつけたイケメン不審者が現れたのは。





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