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11~第二王子視点~
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ユリに不安など抱く必要はないと俺の愛を理解してもらうため、部屋に連れてきて、さらには俺を夫だと認識してもらうために言葉を選んだつもりだった。
なのにただユリに幸せになってほしいと伝えたつもりが、何故か俺のユリは俺を見て震えながら涙を流し始めた。涙を流すユリはとても神秘的で涙ひとつなくすのが惜しいけれどそれどころではない。
素の自分は怖がられると抑えたつもりだが………何故?表情が出にくいと自覚しているからこそ気を付けてもいた……だろう?なのに、何故………何を間違った?
「ゆ、ユリ……?」
「わ、私は、人形じゃ、ありません」
「に、人形……?何を言って……」
震えながら静かに涙を流すユリが必死に俺に訴えるように言うが理解が追い付かない。俺はユリを人形だなんて思ったことはないのだから。
「考える必要がないって……っ私は、私は、人間です……っ!」
「わかっているが……」
何を言っているのか?ただ俺はユリが苦しんだり、辛かったりすることは俺が背負うから、これからは幸せだけを考えればいいと伝えただけだ。
『? 大丈夫だ。ユリは(今まで我慢してきた分、辛いことや悲しいこと、自らの負担になることは)何も考えなくていい。ただ私の隣にいて(自分のことだけを考えて)幸せであればいいのだから(今までみたいに嫌なことを我慢しながら)考えるのは疲れるだろう?ユリを支えると決めた。(今までのように嫌なことを)考えれば(結局我慢を積み重ねて)疲れるだけ……ならばユリの代わりに私が(不幸を)いくらでも(背負って)頭を使おう』
あまり長々と話せば説明的すぎて余計怖がらせるかもしれない。ただでさえ結婚に断りを入れられ焦った末に省略したが、それがいけなかったのか?
「なんで私なのかわかりませんが、私の容姿が好みなら人形もあるんですからそれで満足してください!私は人形みたいに何も考えず貴方の隣で貴方の望みを大人しく聞いてあげられるほどいい子ではありません……!もう、もう人に振り回されるのは嫌なんです……っ!」
そう思考していれば会場でひとり泣きわめいた時と変わらぬユリの泣き姿に、俺は思考が途切れ血の気が引く思いとなる。このままでは俺があの嫌っていた男と同じことをしていることになるんじゃないかと。
このままではいけない。何より何故か俺は誤解されている気がしてならなかった。容姿だけ?まさか部屋がユリの絵や写真で埋め尽くされているせいだろうか?
不安を与えないためにどれだけユリが好きかのアピールのつもりだったが、そもそもその選択が間違っていたというわけか……!なんという罪深いことを!
「ち、違う!私はユリの容姿ももちろん愛しているが、声も、内面も、全てが好きだ!人形ではなく人間のユリでなければだめに決まっている!信じられないようなら一週間……いや、寝ずにはさすがに厳しいと思うので一ヶ月ほど貴女の好きなところを言わせていただくがいいだろうか!」
もはや言葉で伝える他なしと焦りと罪悪感に狭まれ俺が考えたついたのはユリの好きなところを全て言い尽くすという単純なことだった。
なのにただユリに幸せになってほしいと伝えたつもりが、何故か俺のユリは俺を見て震えながら涙を流し始めた。涙を流すユリはとても神秘的で涙ひとつなくすのが惜しいけれどそれどころではない。
素の自分は怖がられると抑えたつもりだが………何故?表情が出にくいと自覚しているからこそ気を付けてもいた……だろう?なのに、何故………何を間違った?
「ゆ、ユリ……?」
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「考える必要がないって……っ私は、私は、人間です……っ!」
「わかっているが……」
何を言っているのか?ただ俺はユリが苦しんだり、辛かったりすることは俺が背負うから、これからは幸せだけを考えればいいと伝えただけだ。
『? 大丈夫だ。ユリは(今まで我慢してきた分、辛いことや悲しいこと、自らの負担になることは)何も考えなくていい。ただ私の隣にいて(自分のことだけを考えて)幸せであればいいのだから(今までみたいに嫌なことを我慢しながら)考えるのは疲れるだろう?ユリを支えると決めた。(今までのように嫌なことを)考えれば(結局我慢を積み重ねて)疲れるだけ……ならばユリの代わりに私が(不幸を)いくらでも(背負って)頭を使おう』
あまり長々と話せば説明的すぎて余計怖がらせるかもしれない。ただでさえ結婚に断りを入れられ焦った末に省略したが、それがいけなかったのか?
「なんで私なのかわかりませんが、私の容姿が好みなら人形もあるんですからそれで満足してください!私は人形みたいに何も考えず貴方の隣で貴方の望みを大人しく聞いてあげられるほどいい子ではありません……!もう、もう人に振り回されるのは嫌なんです……っ!」
そう思考していれば会場でひとり泣きわめいた時と変わらぬユリの泣き姿に、俺は思考が途切れ血の気が引く思いとなる。このままでは俺があの嫌っていた男と同じことをしていることになるんじゃないかと。
このままではいけない。何より何故か俺は誤解されている気がしてならなかった。容姿だけ?まさか部屋がユリの絵や写真で埋め尽くされているせいだろうか?
不安を与えないためにどれだけユリが好きかのアピールのつもりだったが、そもそもその選択が間違っていたというわけか……!なんという罪深いことを!
「ち、違う!私はユリの容姿ももちろん愛しているが、声も、内面も、全てが好きだ!人形ではなく人間のユリでなければだめに決まっている!信じられないようなら一週間……いや、寝ずにはさすがに厳しいと思うので一ヶ月ほど貴女の好きなところを言わせていただくがいいだろうか!」
もはや言葉で伝える他なしと焦りと罪悪感に狭まれ俺が考えたついたのはユリの好きなところを全て言い尽くすという単純なことだった。
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