冤罪見せしめ婚約破棄現場から救ってくれたのはストーカー?の不動の王子様でした

荷居人(にいと)

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「さて、まずは私を夫として認識してもらうためにこれからのことを話そう」

お、落ち着かない……。あれから混乱する私を第二王子殿下が連れてきたのは殿下の部屋らしき場所。いや、殿下の部屋なのだろう。

その部屋には私にそっくりな人形や私そっくりな写し絵に、私そっくりな写真、私そっくりな声が延々と流れていた。………うん、私そっくりというか私だ!や、やっぱり第二王子殿下は私の……?いやいや、そんなはず、そんなはず……うん。さすがに認めるしかない。

第二王子殿下は私のストーカーだって。

「あの、ですね?わ、私は婚約を破棄されたばかりで……」

「ああ、それは問題ない。婚約を破棄されたのはあの男になる。何せ罪人だからな。君は被害者、適切な処理というものだ」

ああ、そう言えば滅多にないとはいえ、夫もしくは婚約者相手が犯罪者であり妻もしくは婚約者相手がそれに関わっていない場合に限り、女性側からの離婚、婚約破棄が成立する法があった気がする。

何事も男性側が決める世の中でありながら、女性側が権限を持つ例は少ないためなんとなく覚えてはいた。

本当にダメンズは罪人になってしまうのかと改めてそう感じる。いや、改めても何も………ダメンズって気がつけば罪人にされていたような?

「あの、私の元婚約者は何の罪を……」

「未来の王妃に対しての不敬罪だ」

「そうですか……未来の王妃に……?未来の王妃って……?」

「まだ自覚がないユリも可愛らしい。君のことだ。偽証発言でユリを責め立てるだなんて立派な不敬だろう?」

いや、確かに王族ならそうでしょう。けど私はダメンズよりも身分は下だったし、未来の王妃だなんてとってつけたような理由で罪人に仕立てるなんて許されるんだろうか……?

許されそうだな ………ふとそう思ってしまった。

いやいやいや、それより……

「第二王子殿下の前に第一王子殿下がいらっしゃいますよね?私に王妃なんて務まりませんし……」

あれ?この話し方だと私第二王子殿下との結婚を認めてるような……?いや、そんなつもりはないから大丈夫大丈夫……。

「ああ、兄上は王位継承権を放棄している。兄上が愛した人物が男性だったからな、子が作れないのを理由に」

「はぁ……なるほど、男性……男性!?え?じゃあ、エミリー様は!?」

もし第一王子殿下の言っていたエミリー様が男性だったなら、ダメンズは男性にまで手を伸ばしていたことになる。それはさすがに初耳だ。

「あまり私以外の男性の名を呼ばないように」

「え……えぇっ!?」

その答えの意味はつまりそういうことだろう。もはや何に驚けばいいのかわからない。

「まあ、兄上が私にわざわざ罪人の処罰を譲るように許可を得ようとしたのは、私を次期王として認めるという意味もあったから周囲にも伝わっただろう」

全然伝わってないと思います……。とは私の口からは出せなかった。あまりにも自信満々に言い切られてしまったから。勝手にそう見えているだけかもしれないけど。
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