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4~第二王子の従者視点~

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あー、こりゃだめだ。僕は今、今までの苦労が台無しにされている場面を目撃している。それを台無しにする人物はこの国の第二王子殿下、フドウ・ノストーカー様。幼い頃から彼に仕えている僕は、彼がどれだけユリ・ラーレン嬢に惚れているか誰よりも知っている。

彼の部屋はとてもじゃないが、ラーレン嬢どころか他人に見せられたものじゃない。フドウ様の部屋に入ったとたんたくさんのラーレン嬢に自分が見られている気すらする部屋と言えば察してもらえるだろうか?

それほどにラーレン嬢にぞっこんなフドウ様を僕は幾度と抑えてきた。もしもラーレン嬢と恋仲にでもなったら必ずフドウ様が暴走すると踏んで。

最初はラーレン嬢に婚約者がいると知れば

「……ふぅ……脅してなかったことにしてくる」

権威で脅す気満々だったので

「はは、人の婚約者を脅すような人ラーレン嬢が好きになりますかねぇ」

内心引きながらそれで止めた。好きな人に嫌われてでもとなったらどうしようとは思ったが。

しかし、その婚約者ダメンズ・ショーモナーがろくでもない男だとわかった時は大変だった。

「私のユリを蔑ろに………!触れるのは許さんが、あの態度も許せん!殺す!」

「あれでも侯爵家のご子息ですからまずいですって!」

「あんなのに生きる価値はない!」

「落ち着きましょうよ!婚約者を殺した人とラーレン嬢は結婚したがると思いますか!?恐がられても知りませんよ!」

「ぐぐ………っ」

ラーレン嬢のことにはラーレン嬢。それでまたもやなんとか回避できたが、しばらくフドウ様は苛立った様子でそれはそれでラーレン嬢の写真や持ち物で機嫌をとるので大変だった。持ち物は新品と入れ換えましたから問題はないですよ?

そして今日ついにあのダメンズはよっぽど死にたいのかこんな大勢の前でラーレン嬢を陥れようとした。もはやフドウ様を抑えるのは無理だったし、余計なこと言うなとは思ったが止められそうにない。

それでも余計なことを言いながらもフドウ様はなんとか自分を抑えていたことには驚いた。ラーレン嬢が隣にいたからだろうか?しかし、それもリなんたら嬢が余計に煽る真似をするから意味をなくしたが。

あれで勘違いだと認めればまだ穏便に済んだだろうに。バカの周りにはバカしか寄らないのだろうか。おかげでフドウ様が言わなくていいことをどんどん話す。周囲が引こうと気にもせず。

明らかにフドウ様はラーレン嬢に近づけたことで暴走していた。

ラーレン嬢には気の毒だが、諦めてもらおう。もはやフドウ様の中ではもう貴女はフドウ様の婚約者決定事項なので。

しかし、意外にもフドウ様の初めて見せる笑みに貴方笑えたんですねという率直な気持ちより、頬を赤らめるラーレン嬢を見る限り可能性はありそうでほっとする。とはいえ、フドウ様のスト……んん、疑惑によりラーレン嬢への重すぎる想いに関してはどうしようもできないが。

ああ、今までフドウ様を抑え、そのストほにゃららの疑惑をもたれないように努力してきた苦労は一体……。ラーレン嬢が隣にいるだけでこれだけ暴走するフドウ様に、僕は頭を抱えるしかなかった。
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