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「子供相手に何をしている?」

「はっ!誰かと思えば勇者パーティーを追い出されたカイザー様じゃないですかぁ?」

一瞬止められたことに怒りを見せたおじさんだけど、相手を見るなりまた煽り体勢に戻った。周りがざわざわしている辺り、庇ってくれた人は有名人のようだ。勇者パーティーねぇ……?

「…………」

「黙りですかぁ?俺はただこの大人をナメたガキに躾をしようとしただけだっつーの」

「子供を殴るのが躾なわけが……」

「ぼく、おじしゃんにしちゅけされたくないなぁ」

とりあえず、庇ってくれた人にこれ以上迷惑はかけられないし、おじさんにもしっかりを仕返す必要もあるようだ。

挑発するような言い回しに、庇ってくれた人は黙ってなさいとばかりに視線を向けてくれたけど、これは僕に売られた喧嘩だから。

「ガキ、庇われたからって調子乗るのも大概に……」

「おにもつぽいぽい!えーと、たしかぁ」

「異空間魔法……?」

「あんな子供が?」

僕の魔法にさらにざわつく周り。まあ、僕は天才魔法使いだからね!普通の子供じゃできないことをやってのけての反応には慣れっこである。

「あ!あった!まるひのーと!」

「あ?そのノートがなんだぁ?」

庇う人が手出ししないように動いてくれるためか、おじさんは僕を睨んで、怒鳴りはしても中々手を再び出すことない。止めてくれた人はバカにはされても実力のある人なのかも……。まあ、勇者パーティーってのを聞くとなんかよりそう思うよね?追い出されたってのが気にはなるけれど。

まあ今はおじさん退治をしないと。じゃないとゆっくり話せもしない。

「ギン、42しゃい、ぼうけんしゃりゃんくC」

そのためにまずは、あるページを読み上げていく。

「なんで俺の………」

驚くおじさんは無視して続ける。

「どくしんれきはねんれい、ふりゃれたかいしゅうフラれた回数94かい」

「な……っ!なんで知って……っいや、デタラメ言うんじゃ………」

顔を青くしたり赤くしたりと忙しいおじさんを庇ってくれた人がそのまま守ってくれるので、ご厚意に甘えてそのまま読み上げていく。

「いまねらってるのは、すでにけっこんしているリリーしゃん」

「は!?結婚?う、嘘だろ!?」

おじさんの素直な反応に、周りはようやく僕が何を読み上げているのか理解してきたらしい。面白おかしそうに聞き耳を立てているのが横目からわかる。

「リリーしゃんはおじしゃんにストーカーされていると、さいきんひがいとどけをだした」

「ひが……っ!?ちが、俺は見守っていただけで………」

ストーカーはみんなそう言うよね。知らないけど。

「おとこやこどもにかんしてはいちゃもんをつけるけど、じょせいにはウブ。ストーカーひがいとして、なんどもうったえりゃれている」

これ読んでると、学ばない人なんだなぁっていうのがわかる。

「あれは!全部間違いだ!俺は!違う!」

何かの伝手で秘密裏に処理してきたのか。周りも知ってたか?みたいに確認しあう様子が見られる。うーん、ギルド内で問題起こそうとする態度からテンプレとか軽く考えるべきではなかったかな?

裏に何かありそうだ。なんでこのおじさんに………とは思うけど、単純そうだもんね、この人。

「そうでしゅか?こんなひとにしちゅけされるのはいやだなぁとおもっちゃってごめんなしゃい?」

首をかしげて謝りながらも笑ってあげれば、みるみるうちに顔が真っ赤なおじさんが。

「ガキがぁ………!大人をからかってどうなるか、覚えてろよ……?」

庇う人の存在もあり、今回は諦めたようだ。逃げるように雑魚台詞のようなものを吐いて去っていった。後ろに頼る誰かがいるみたいだし、その誰かがわかるまで今はまだ躾に時間がかかりそうだね。

「……あんなに挑発をして………何をしたか、わかっているか?」

「ふふ、しんぱいちてくれてありがちょ!」

それはそうと今は冒険者になった後に使えそう………いや、頼れそうな人を逃がさないことを考えないとね?

元勇者パーティーさん?
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