上 下
11 / 17
2章次に無駄なプライドをへし折るとしましょう

7

しおりを挟む
なんと醜く、なんと愚かで、なんと気色の悪いことか。気づいてないのは本人のみ。

奴隷はあの日以来私を怖がってか私を見るととたんに真っ青になる。それでもまだ立ったまま私を見れる辺り調教は必要ねと判断して1ヶ月。今は私を見てはすぐ頭を下げて私を様づけできるようにはした。

ちなみに奴隷が私の奴隷になったことを知るのは一部の者たちだけ。今だあの奴隷を殿下と慕うバカたちが面白いこと。いるだけで国を腐らせる屑たちはプライドだけは無駄に高い。

それがただの奴隷に媚びへつらう姿は見ものよね。あれらの前では私にかしこまる必要はないと許可はしている。

目では私に怯えながらもそれをあれらの前で出さず以前の屑さを見せる奴隷は腐っても王族の血を持つ者というべきだろうか。やるべきことはやれる。

本当真面目に生きていれば私もここまではしなかったのだけど。奴隷は努力型の天才。努力さえすればできる子なのだ。演技だろうと、勉強だろうと、運動だろうと。

バカ以下の阿呆な屑に成り果てたのは努力を怠るだけでなく、すべきことをせず我が儘だけで何もしなくなったから。

だから余計に腹が立つのだけど。まあこれから教育はしていくつもりだ。今は私に逆らえないよう調教をするだけだけど。

そうしてあの人の役に立てるかもしれないと思えば一度解放された怒りが再び沸き上がることはない。

そんな中で奴隷を調教する日々で、ふとそろそろかと思い足を向けた先はあのビッチのいる牢屋。牢屋に続く扉の中に入ったとたんあまりの臭さに見張りに申し訳なくなった。これからは扉の外で見張ればいいと言ってあげるべきだろうか。

今更ビッチを手助けするバカも、ビッチに逃げるようなこともできることはないだろうから。

そしてようやく見えたビッチの姿に笑みが思わず出た。男をたぶらかすあのビッチの姿はそこにはなかったのだから。

「ごきげんよう?アハーン嬢?」

「きさまあぁぁっ!」

今なら誰もが誘惑されようと引くだろう容姿に本人は気づいているのかしら?目は相変わらず汚れているようだけど。

私から見てもスタイルはよかった身体は醜く太りお腹も段ができている。ある程度の男は簡単に誘惑できた私には理解できない魅惑を醸し出す顔は肌が荒れ、口の周りはソースなんかでべとべととさせて頬はつきについた肉のせいか垂れている。髪は洗ってないせいかちりぢりでぼさぼさでつやもない。なんなら半分白髪になっている辺り今の生活がかなりのストレスなのが理解できるわ。

たった1ヶ月でよくこうも変化したものだわ。

その急激な変化の理由はカロリーの高い料理をさらにカロリー加算させるような料理とお菓子の時間も与えるようした私の命令によるもの。

牢屋では対して体も動かせず脂肪は増えるばかり。あらゆる急激なストレスで肌も荒れるのはもちろんだろうし、ストレスによってさらに太りやすい体に………本当ストレスってよくないわよ
ね。

「あらあら怖いわ」

ある意味で前より迫力があるわね。

「コエデル嬢様、あまり近寄っては危険です」

「これ以上は………」

見張りが私を庇うようにしてビッチに近づかないようにする。どちらにしろ私自身これ以上近づく気はない。

だってこの距離でもかなりの臭いよ?これは地獄ね。臭いが移りそう………いや、手遅れかもしれないわね。

にしても私に向ける殺意は立派なものだと思う。食事に困らないだけという点で意思を強く持っているのだろう。何より彼女は恐らく自分の今の姿を理解していないのだから。

だって私聞いちゃったもの………

『最初の内はともかく今ではあんな化け物みたいな不細工に誘惑されてもなぁ』

『臭いだけでも吐きそうだってのに』

そう交代で出てきただろう見張りが愚痴っていたところを。今だに見張りを誘惑して脱走を企てようと考えている様子があるだけに中々に図太い女だと思ったものよ。ある意味感心したわ。

今の姿を見たら余計にね。

「なんで、なんでなんで!あんたがそこで笑ってんのよぉおぉぉ!」

元気のいいこと。扇子で口の笑みを隠すも笑っていることはバレバレだろう。このビッチは私こそその牢屋に入れたいと願っているでしょうね。

女に非道をするやり方はたくさんある。それこそ目の前の女のような生活だったり、輪姦だったり、毎日痛みつける。色んなやり方が。

とはいえ、ビッチは特殊。本来なら食事をとれる環境はまずないのだから。

これは私なりのビッチへの罰になりうるのだから構わないけれど。本人が気づかない内は幸せ者ね。

「私は貴女に売られた喧嘩に勝っただけですわ。それとね、アハーン嬢。貴女もそんなヒステリックに叫ばなくても牢屋生活は終わりよ。私はそこに入る気はないけど」

「………え?」

私の言葉にきょとんとするビッチ。たった一ヶ月で解放されると考えていなかったのだろう。もう少し牢屋にいさせる気だったけど、あまりの醜さに予定より早くやりたいことが実行できそうだ。

1ヶ月大変だったでしょうけど、貴女の絶望は今からよ?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】逆行悪役令嬢、ざまぁ(※される方)のために頑張ります!〜皆さん、ヒロインはあちらです!〜

葉桜鹿乃
恋愛
「ニア・ユーリオ伯爵令嬢、君との婚約は破棄する。そして、アリアナ・ヴィンセント子爵令嬢への殺人未遂で捕らえさせてもらう」 グレアム・ミスト侯爵子息からの宣言に、私は死を悟った。 学園の卒業パーティー、私からグレアム様を掠め取ったアリアナ嬢が憎くて、憎くて、憎くて……私は、刃物を持ち込んでしまった。そして、殺人を犯す間際にグレアム様に刃物を叩き落とされた。 私の凶行によって全て無くし、死刑を待つ牢屋の中で、どうしてこうなったのかを考えていたら……そもそも、グレアム様に固執するのがよくなかったのでは無いか?あんな浮気男のどこがいいのか?と、思い至る。 今更気付いた所でどうにもならない、冷たい鉄の板に薄布が敷かれた寝台の上で「やり直せるなら、間違わないのに」そう呟いた瞬間、祖父からもらった形見のネックレスが光を放って……気付けば学園入学時に戻っていた?! よくわからないけどやり直せるならやり直す!浮気男(共)の本性はわかっている、絶対に邪魔はしない、命あっての物種だ! だから私、代表して晴の舞台で婚約破棄というざまぁをされます! さぁ皆さん、ヒロインのアリアナ嬢はあちらです! ※感想の取り扱いについては近況ボードを参照ください。 ※小説家になろう様でも別名義で連載しています。

魅了魔法…?それで相思相愛ならいいんじゃないんですか。

iBuKi
恋愛
私がこの世界に誕生した瞬間から決まっていた婚約者。 完璧な皇子様に婚約者に決定した瞬間から溺愛され続け、蜂蜜漬けにされていたけれど―― 気付いたら、皇子の隣には子爵令嬢が居て。 ――魅了魔法ですか…。 国家転覆とか、王権強奪とか、大変な事は絡んでないんですよね? 第一皇子とその方が相思相愛ならいいんじゃないんですか? サクッと婚約解消のち、私はしばらく領地で静養しておきますね。 ✂---------------------------- カクヨム、なろうにも投稿しています。

作られた悪役令嬢

白羽鳥(扇つくも)
恋愛
血塗られたエリザベス――胸に赤い薔薇の痣を持って生まれた公爵令嬢は、王太子の妃となる神託を受けた。 けれど王太子が選んだのは、同じく胸に痣のある異世界の少女。 嫉妬に狂ったエリザベスは少女を斧で襲い、王太子の怒りを買ってしまう。 罰として与えられたのは、呪いの刻印と化け物と呼ばれる伯爵との結婚。 それは世界一美しい姿をした、世界一醜い女の物語――だと思われていたが……? ※作中に登場する名前が偶然禁止ワードに引っ掛かったため、工夫を入れてます。 ※第14回恋愛小説大賞応募作品です。3月からは不定期更新になります。 ※「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。

婚約破棄された悪役令嬢が聖女になってもおかしくはないでしょう?~えーと?誰が聖女に間違いないんでしたっけ?にやにや~

荷居人(にいと)
恋愛
「お前みたいなのが聖女なはずがない!お前とは婚約破棄だ!聖女は神の声を聞いたリアンに違いない!」 自信満々に言ってのけたこの国の王子様はまだ聖女が決まる一週間前に私と婚約破棄されました。リアンとやらをいじめたからと。 私は正しいことをしただけですから罪を認めるものですか。そう言っていたら檻に入れられて聖女が決まる神様からの認定式の日が過ぎれば処刑だなんて随分陛下が外交で不在だからとやりたい放題。 でもね、残念。私聖女に選ばれちゃいました。復縁なんてバカなこと許しませんからね? 最近の聖女婚約破棄ブームにのっかりました。 婚約破棄シリーズ記念すべき第一段!只今第五弾まで完結!婚約破棄シリーズは荷居人タグでまとめておりますので荷居人ファン様、荷居人ファンなりかけ様、荷居人ファン……かもしれない?様は是非シリーズ全て読んでいただければと思います!

婚約破棄の特等席はこちらですか?

A
恋愛
公爵令嬢、コーネリア・ディ・ギリアリアは自分が前世で繰り返しプレイしていた乙女ゲーム『五色のペンタグラム』の世界に転生していることに気づく。 将来的には婚約破棄が待っているが、彼女は回避する気が無い。いや、むしろされたい。 何故ならそれは自分が一番好きなシーンであったから。 カップリング厨として推しメン同士をくっつけようと画策する彼女であったが、だんだんとその流れはおかしくなっていき………………

婚約破棄の次は爵位剥奪ですか? 構いませんよ、金の力で取り戻しますから

ひじり
恋愛
「エナ、僕は真実の愛を見つけたんだ。その相手はもちろん、きみじゃない。だから僕が何を言いたいのか分かるよね?」  男爵令嬢のエナ・ローリアは、幼い頃にリック・ティーレンスからのプロポーズを受けた。  将来を誓い合った二人は両家公認の仲になったが、ティーレンス家が子爵に陞爵した日を境に、すれ違う日が増えていった。  そして結婚式を前日に控えたある日、エナはリックから婚約を一方的に破棄されてしまう。  リックの新しい相手――カルデ・リスタは伯爵令嬢だ。しかし注目すべきはそこじゃない。カルデは異世界転生者であった。地位や名誉はもちろんのこと、財産や魔力の差においても、男爵令嬢のエナとは格が違う。  エナはリックの気持ちを尊重するつもりだったが、追い打ちをかける出来事がローリア家を襲う。  カルデからリックを横取りしようとした背信行為で、ローリア家は爵位を剥奪されることになったのだ。  事実無根だと訴えるが、王国は聞く耳を持たず。異世界転生者と男爵家の人間では、言葉の重みが違う。貴族の地位を失った父――ロド・ローリアは投獄され、エナ自身は国外追放処分となった。 「悪いわね~、エナ? あんたが持ってたもの、ぜーんぶあたしが貰っちゃった♪」  荷物をまとめて王都を発つ日、リックとカルデが見送りにくる。リックに婚約破棄されたことも、爵位剥奪されたことも、全てはこいつのしわざか、と確信する。  だからエナは宣言することにした。 「婚約破棄の次は爵位剥奪ですか? 構いませんよ、金の力で取り戻しますから」 ※異世界転生者有り、魔法有りの世界観になります。

人殺し!………これは処刑よ?あなた頭がおかしいんじゃない?

naturalsoft
恋愛
この国の第一皇女シオン・グランツは次期女王になる事が決まっていた。 そして、王家主催のパーティ会場にて、とある騒ぎが起きた。 婚約者であり、王配となるアッシュ侯爵家の次男アード・アッシュが王家の遠縁であるミリア・ガーデン伯爵令嬢と一緒にエスコートしながらやってきたのだ。 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ 連載の息抜きで書きました。 ゆるふわ設定なので鋭いツッコミはお許し下さい。

お望み通りに婚約破棄したのに嫌がらせを受けるので、ちょっと行動を起こしてみた。

夢草 蝶
恋愛
 婚約破棄をしたのに、元婚約者の浮気相手から嫌がらせを受けている。  流石に疲れてきたある日。  靴箱に入っていた呼び出し状を私は──。

処理中です...