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1章手始めに食い下がりといきましょう

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《やだあっ!もう、バイカ様ったら》

《お前の身体は最高だな》

映し出された映像は上半身裸の二人の男女。下はうまく映像が切れているのが救いね。

「あら、私としたことが間違って不貞行為の映像を流してしまいましたわ」

ちなみにバイカとは目の前のバカで無能な王子目の前の王子のこと。名はバイカ・イヲヌケ。これほどバカに相応しい名はないとここだけは認めてますの。

にしても、名呼びとは随分親しいことね。

ってそんな話はどうでもよろしいことだったわ。それよりもバカとビッチが顔を真っ赤にしているけど、羞恥か怒りかどちらかしらね?私なら恥ずかしいわ。こんな場面大勢の前で見せられたら明らかに不貞なのが丸わかりだもの。

婚約破棄を宣言したのは今日だというのに………ねぇ?

ちなみに、この映像わざとではないし、狙って撮ったわけじゃないのよ?バカ王子の部屋にプレゼントのつもりで映像機器を持ってでかけたら、調べたはずなのにいらっしゃらなくて王子のわかりやすく机に置いていったつもりが、起動してバカ王子からはわかりにくい位置になっていただけ。

で、何の反応もないようだからしばらくして様子を見にまた調べたつもりがいらっしゃらなかったから置いただろう場所を確認すればその映像が撮られていたみたいで、不貞を働くクズにプレゼントはいらないわねということで回収しただけなのよ?

これは撮れた映像で、残していたもの。誰にも見せる気はなかったのよ?

「間違ったとはいえ流したものは仕方ありません。最後までお楽しみくださいな」

一度見たら続きは気になるものよね?わかるわ、その気持ち。見せる気はなかったとしても見せたものは別に止める必要もないわよね。

「や、やめなさいよ!変態!」

『バイカ様のは太くてもっと欲しくなってしまいますわ』

「変態は貴女のようですわよ?」

「これは!」

言い訳すればするほど恥ずかしくはなくて?私はとてもじゃないけれどあんなこと言えないわ。

にしてもあらあら、一部のご子息とご令嬢たちが引いているわね。頬を赤らめてはしたなくもガン見する人たちは………この場で顔を緩められる辺りろくでもないバカ王子に近い存在な気がいたします。

「貴様こんなこと許されると………!」

「許されないのですか?許されなければどうなるのでしょう?処刑以外に怖いことがおありで?バカで無能でクズの男に何ができましょう?」

「貴様………っ!」

「ああ!そうでした!こんなバカで生まれ直しても無駄そうな方でも王子でしたわね!許されないなんて私は何をされてしまうのでしょう?怖いわ!あ、でも、処刑以外の罰の言葉を知っていらっしゃるの?その中身がなさそうな脳みそでは難しいでしょう?」

「処刑以外にも知っているに………」

『まあ待てビビッチ。あんな婚約者、さっさと婚約破棄して処刑してやる。そうすればずっと一緒だ。ビビッチと俺の邪魔する奴等は皆処刑してやればいい』

『まあ、素敵ね』

「処刑以外する気がないようですわね?国外追放という言葉知っています?」

「バカにするな!」

「まあ!バカにされていたことにお気づきで?」

「わかるに決まって………!」

「あら、バカにするなと言いませんの?バカにしましたのに」

「どこまで俺を………っ」

何もなしに口で、身分で私を陥れようなんて馬鹿げたことをするから恥をかくことにいい加減気づかないものかしら?

これでは負け犬の遠吠えを聞いているようね。食い下がるのは私のはずが、向こうが私を陥れようと食い下がっているようにしか見えない。

簡単すぎて呆気のないこと………。これが私とバカ二人だけなら(二人だけの)悪役の勤めをやめてあげられましたけど。

これでもね?私、本当に怒ってますの。

国の王子でありながらの不貞行為。

大勢の前での婚約破棄宣言。

調べすらしていない一人の言葉だけを信用して作られた罪で処刑という言葉。

怒りものですわよね?

でも私、処刑はともかくそれ以外は特にどうでもいいとも思っていますの。バカはバカなことしかしないのはわかりきったことですから。

人にトイレをするなと言っても、漏らすわけにはいかないから身体が自由であるなら行くでしょう?バカな人にバカなことをするなと言っても、バカをせずにはいられないからバカなのであるそれと同じことです。下品な例えを謝罪しますが、バカ王子にはお下品な例えがお似合いでしょう?

婚約破棄に関しては寧ろ喜ばしいくらいですが、私この国が好きですから政略結婚をふいにするわけにはいかない責任感はあるつもりですの。だからこそあくまでバカの茶番に今付き合っているわけですが。これは物事を決めるのに適当をすると痛い目に合うという教訓です。

ついつい本音が出るのはご愛嬌ですわよね?普段どれだけ我慢してきたことか………でもあくまで教訓、私決して楽しんでいませんわよ心の奥の本音・実は楽しんでいますけど
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